食卓に欠かせないホウレンソウ
ホウレンソウは、ややクセがある野菜ですが、うまみと栄養価が非常に高い代表的な緑黄色野菜です。葉がうすく切れ込みが深く入った東洋種と、厚くて丸い葉が特徴の西洋種の2種類が存在し、現在おもに市場に流通しているのは東洋種と西洋種の交配種です。
ホウレンソウといえば、必ずアク抜きが必要というイメージがあるかもしれません。近年では、下ごしらえが不要でアクの成分であるシュウ酸が少なく、サラダとして生食できる品種も誕生して人気を集めています。
ホウレンソウの原産地は現在のイラン付近の西アジアと言われており、イスラム教徒によって世界に広められたと考えられています。日本には中国を経由して16世紀頃に東洋種がもたらされ、19世紀半ばの江戸末期にフランスから西洋種が伝わったとされています。
ホウレンソウが日本中で使われるようになったのは、高度経済成長の頃。それからずっと私たちの食卓には欠かせない葉物野菜として重宝されています。
鮮度の良いおいしいホウレンソウの見分け方
鮮度のいいホウレンソウは、葉の色が鮮やかでツヤがあり、根元から葉先までピンと伸びてハリがあります。茎が変色していない弾力があるのも特徴です。根は切り口が太くて、乾いていないものを選びましょう。
ホウレンソウの栄養
100グラム中2.0ミリグラムもの鉄分を含んでおり、他の野菜に比べてカロテンも多く含んでいます。しかし植物の鉄分は体内に吸収されにくいという特徴があるので、貧血予防にとホウレンソウを頼りにしすぎないようにしましょう。
ホウレンソウの栄養といえば鉄分ばかりが目立つ傾向にありますが、冬採れホウレンソウはビタミンCも多く含む上、血液を作り、細胞の再生を助ける葉酸も多く含んでいます。
ホウレンソウの保存方法
ホウレンソウを保存するときは、乾燥しないように湿らせた新聞紙で包んでポリ袋に入れてから冷蔵庫の野菜室に入れましょう。ホウレンソウのような葉物野菜は、畑にある状態と同じように根を下にして保存するともちがよいと言われています。
長く保管しすぎてしおれてしまった場合は、冷水につけることで蘇生することができます。ビタミンなどの栄養素は時間の経過とともに失われていくので早めに調理するのがおすすめです。
ホウレンソウの旬と時期
ホウレンソウは年間を通して市場に出回っています。どの季節でもおいしくいただけますが、冬採れのホウレンソウは他の季節のものに比べて栄養価が高く旨味や甘みも強くなり、冬に食べると風邪の予防などに効果が期待できます。
ホウレンソウの下ごしらえ
アクが強い野菜なので、基本的には調理の前に下茹でする必要があります。
きれいな色に下茹でするコツ
きれいな緑色に茹で上げるには、たっぷりの熱湯で茹でることが大切です。沸騰したお湯にホウレンソウを根から入れ、再度沸騰してから1〜2分でザルにあげます。すぐに冷水でさらします。冷めたら根元から揃えて束にし、水気をしっかり切ります。水にさらし過ぎるとせっかくのうまみや風味が無くなるので注意しましょう。
炒めてアク抜きする方法
ホウレンソウを炒め物にしたいときは、下茹でせずにアク抜きする方法があります。フライパンに油を熱し、ホウレンソウを入れる前に塩をひとふり入れ、炒めた後にホウレンソウからでた水分を捨てます。
ホウレンソウをおいしくするワンポイント
乳製品と相性抜群
ホウレンソウは牛乳や生クリーム、チーズなどの乳製品やベーコンなどの動物性の食材と非常に相性がいい野菜です。和食以外にも積極的に取り入れるようにしましょう。
ホウレンソウは根の赤い部分も食べられる?
ホウレンソウは根が赤いほどに甘みが強いと言われています。赤い部分はアクの元であるシュウ酸が多く含まれていますが、栄養もたっぷり含まれているので、下茹ですれば赤い部分もおいしくいただけます。
常備菜にして日々の献立に
ホウレンソウは日々の献立を、 一品増やす常備菜に最適です。胡麻和えやおひたしはもちろん、ごま油と塩で味付けしてもおいしくいただけます。
ホウレンソウの種類
サラダホウレンソウ
アクが少ない生食向けの品種。茎が長めで葉が丸くやわらかいのが特徴です。
ちぢみホウレンソウ
地面を這うような姿で育つホウレンソウです。葉が厚く凹凸があって甘みが強く、加熱調理に向いています。
赤軸ホウレンソウ
茎が赤く、葉が尖っています。生食できるのでサラダにもおすすめ。
日本ホウレンソウ
根が赤く葉の切れ込みが深いのが特徴です。やわらかな食感で食べやすく、加熱調理に向いています。
ホウレンソウはとにかく万能な野菜。和食にも洋食にも冷蔵庫にあればいつでも使える、家庭料理には欠かせない存在です。加熱しておひたしやソテーにするものおいしいですが、サラダホウレンソウもぜひ試してみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)