「糖度が高い=甘い」ではない
果物の甘さなどを表す際に使われる糖度ですが、果物に含まれる甘み成分には「果糖」「ブドウ糖」「ショ糖」などの種類があります。糖度とは、果汁100グラムの中に糖分が何グラム含まれているかを表します。また糖度として表示される数値は、糖度計で測定した場合Brix値(ブリックス値)で表示しています(※)。この場合、「水に溶けている固形分の量」の指標であり、糖だけの量を示すものではないとされています。糖分の他に塩分、酸などが含まれる場合もあり、糖度が高いからといって必ずしも甘いというわけではありません。
甘みと酸味とのバランスで味が決まる
果物のおいしさには糖度と酸味、さらには温度や食感などが関係しています。その中でも、特に甘みと酸味が重要です。オレンジやグレープフルーツなど柑橘類のように酸味も強い果物の場合は、糖度が高くても酸味が勝る場合があります。対して、スイカやメロンなど酸味の弱いものは、糖度の高さが甘みやおいしさにつながりやすいと考えて良いでしょう。このように、野菜や果物のおいしさには、糖度と酸味のバランスが重要なのです。
なお、種類が異なる果物で糖度を比較しても、甘さを判断することはできません。また、同じ種類の果物でも、産地や収穫時期、栽培方法、天候などによって糖度と酸味のバランスが変わってくるため、糖度だけで判断することは難しいでしょう。
平均的な果物の糖度と酸度
農林水産省より発表された「果樹をめぐる情勢」(※2014年6月)をもとに、主な果物の平均的な糖度を確認してみましょう。
甘い果物が好きな人は、平均的な糖度よりも高い物を選ぶと良いかもしれません。買い物をするときに参考にしてみてはいかがでしょうか。
果実の糖度
・グレープフルーツ 10.0%
・オレンジ 10.3%
・キウイフルーツ 11.2%
・みかん 12.1%
・りんご 15.0%
・ぶどう 17.5%
・バナナ 21.0%
糖度はどうやって測るの?
実際に、糖度はどのように測定されているのでしょうか。果物の糖度を測る際には、「糖度計」という計測器が用いられます。糖度計の仕組みや種類についても見ていきましょう。
糖度計の仕組み
糖度計は屈折計とも呼ばれ、光が水中や空気中でまっすぐに進む性質を利用して糖度を計測します。ショ糖が含まれている液体を計測すると光の屈折が起こるため、屈折率によって糖度を算出することができます。
糖度は「Brix(ブリックス)」という値で算出され、ラーメンやタレなど、可溶性固形物の濃度を調べる際にも使用されます。
糖度計の種類
糖度計は主に、アナログタイプとデジタルタイプ、ペンタイプの三つがあります。各糖度計の特徴を見ていきましょう。
アナログタイプ
アナログタイプの糖度計は、果汁1~2滴を機器に垂らし、レンズをのぞいた窓から見えるメモリから糖度を計測します。メモリを自分で読む必要がありますが、計測方法も簡単で比較的安価な物が多いのが特徴です。
デジタルタイプ
デジタルタイプの糖度計は、果汁を垂らすと自動的に糖度が数値化されます。アナログタイプに比べて、必要な果汁の量は少し多く必要になります。携帯に便利な小型の糖度計もあり、手軽に糖度を計測したいという人におすすめです。水分含有量が少ない作物の場合には測定が難しいこともあるため、測定したい作物の特徴に合わせて利用しましょう。
ペンタイプ
ほとんどの糖度計は果汁を垂らして計測を行いますが、ペンタイプは果汁に浸けて計測を行います。液体をかき混ぜながらでも糖度を測ることができるため、濃度にむらが出やすい試液でも計測しやすいという特徴があります。
糖度について正しく理解しよう
果物の甘さを測る指標の一つである、糖度について紹介しました。農業従事者が糖度について正しい知識をつけることはもちろん大切ですが、消費者も糖度の見方を知っておくことで、果物や野菜を購入する際のめやすとなります。いつも買っている果物がどのくらいの糖度なのか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。