「生産」「営業」を完全分担! 新しい農業を生み出す「青木農園」

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「生産」「営業」を完全分担! 新しい農業を生み出す「青木農園」

「生産」「営業」を完全分担! 新しい農業を生み出す「青木農園」

最終更新日:2018年09月11日

大規模な農業法人でない限り、農業では生産者が生産から販路決め、顧客・取引先へのヒアリングなど、すべてを担うイメージが強いかもしれません。しかし、家族農園でありながら、生産と宣伝・販売を分業し、成功している農家があります。今回お話を伺ったのは、神奈川県三浦市で代々農家を営む青木農園の青木紀美江(あおき・きみえ)さん。生産と販売の分業制や、オーダー野菜といった新しく柔軟な発想はどうやって生まれたのでしょうか。また、分業制から見えてきた新しい目標についてもお聞きしました。

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長女である自分にとって、就農は自然な流れだった

農作業をする青木さん

神奈川県三浦市で、代々農業を営む青木農園。新鮮な野菜はもちろん、一つ一つの料理に合わせた野菜などレストランやスーパーからのニーズに応えて作る「オーダー野菜」も現在人気の同農園は、常に新しい農業に挑戦しています。今回お話を伺った代表の青木さんは、幼いころから家族が農作業をする姿を見て育ち、高校卒業後に就農したそうです。

「祖父や父の背中を見ながら育ったので、長女である私が農園を継ぐのは自分にとって自然な流れでしたね。特に反発はありませんでした」。そんな農家のサラブレッドとして育った彼女ですが、高校進学の際、同学年の農家の後継ぎたちが農業高校への進学を決めていく中、あえて農業高校には進まず一般の高校へ入学します。

「祖父が『農業は外で教わらなくても家で一緒にやって覚えるもの。自分の手足で感じないとダメだ!』という考えの持ち主で、あえて農業高校へは行きませんでした。私が入学したのは、ほとんどの生徒が大学進学を目指す進学校で、就農を目指している自分と周りとの環境の違いをすごく感じましたね。でも、この時農業以外の環境や人に触れることができたからこそ、古い考えに縛られない発想ができるようになったんだと思います」と青木さんは言います。

「農業って、まだまだ昔からの“見えない縛り”みたいなものがある分野で、『絶対にこうでないといけない』という考えが強い。でも、私は人と違うことにチャレンジしても、最終的にそれが良い方向に進むんだったら、どう思われても気にしませんし、まったく問題ないと思います。そういう柔軟な発想ができるようになったのは、周りと全く異なる環境に身を置いた高校時代の経験があったからなのではと思います。もしかして農業高校に入って、同業の仲間たちの中で農業だけを学んでいたら、今のような発想はできなかったかもしれません」

オーダー野菜に、分業制……“新しい”を生み出す柔軟性

青木農園の野菜たち

青木さんはその柔らかな思考を生かして、シェフであるお客さんとの会話をきっかけに「オーダー野菜」を作り始めたり、日本では珍しい野菜の栽培も始めたりするようになっていきます。宣伝と生産の部門を分ける「分業制」も、そんな青木農園ならではの新しい取り組み。青木農園は、青木さんをはじめとする生産担当と、販売などに携わる宣伝担当とに分けられた分業制をとっています。この制度は、三浦野菜の中の一つのブランドとして青木農園を売り出して行こうという話が出た時に生まれたものです。

「私たちは、生産に関して努力することはできるけど、販売・宣伝に関しては努力のベクトルもわからない素人です。そこで、もともとうちの野菜の販売を手伝ってくれていた野菜販売のプロの方に、宣伝担当として入ってもらえないかとお願いをしたんです。分業を始めてから畑仕事に集中できるようになったことはもちろん、販売の仕組みやお客さんのニーズにも興味が出てきましたね」と青木さんは言います。

宣伝担当は、現場から「今この作物はこういう様子だ」「この作物はこんな状態だから営業をたくさんかけてほしい」などの情報や要望を聞き出して、それを端的にお客さんに伝えたり、逆にお客さんからのニーズをくみ取り、わかりやすく落とし込んだものを現場に共有したりします。

「分業制にして、生産〜販売のサイクルがより効率的に回るようになったことはもちろん、そういったやりとりを販売のプロとしていく中で、私たち生産サイドの興味の幅も広がりました。以前は生産するだけで終わっていたのに、できたものをお客さんがどうやって食べているのか、世の中の食のトレンドはどうなのかなど、調べて、考えながら生産をするようになっていったんです」

これからの青木農園

農園の様子

そんなお客さんのニーズに興味を持った青木さんが、これから作ってみたいのは「優しい野菜」とのこと。

「野菜に詳しいお客さんが、野菜に含まれる栄養素や効能などを考えながら野菜を選んでいることを知って、体に優しい野菜作りに興味を持ち始めました。例えば、この品種とこの品種を組み合わせたミニトマトは、こういう栄養があるからこういう風に体に優しい野菜なんだよ、このカボチャはこういう食べ方をするとたくさん栄養素が取りやすいんだよ、といったように、特徴のある野菜を作り、その食べ方も提案していきたいなと思います」と青木さん。

「もともとうちは、野菜にも人にも無理のないような野菜作りをしています。例えば、大根は冬の野菜なのに、夏に作ると旬である冬の味に劣ってしまうだけではなく、季節に逆らって栽培をすることになるので、農薬や化学肥料などを必要以上に使わなければならないこともあります。さらに、生産者たちも、季節に逆らった野菜を苦労して作って結果が出ないと気持ちが沈んでしまったり、夏の疲れが溜まった後、せっかく体を休めるために夜が長くなるのに、自然の流れに逆らって働くとストレスになってしまいます。そういった流れに逆らうのではなく、自然に沿って無理のない農業をするのが青木農園の野菜作りです」

このような自然の流れと、柔軟な発想とを組み合わせて作られる青木農園の野菜たち。今後も生まれるであろう新しいアイデアに注目です。

 
青木農園

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