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農にまつわる日本のお祭り 〜近畿、中国3選〜

農にまつわる日本のお祭り 〜近畿、中国3選〜

迫力のスピードで行われる屋台の曳き廻し(ひきまわし)や、野菜で飾り付けられた神輿(みこし)、皆が腰を低くしてその姿を見守る厳かな大行列など、現在でも私たちの周りでは、伝統の風習を引き継いださまざまな祭りが行われています。日本だけでなく世界中から多くの観光客が訪れる日本の祭りですが、中には農業が起源となるものも数多く存在します。そこで今回は、近畿・中国地方において、毎年たくさんの人でにぎわう「農業が起源となった祭り」についてご紹介します。
(画像はずいき祭。提供:北野天満宮)

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地元民の熱い思いがみなぎる「大阪府・だんじり祭」

大阪府・だんじり祭(画像提供:岸和田市)

大阪府岸和田市で毎年9月・10月に開催される「だんじり祭」。「だんじり」とは、祭りで使用される山車の呼び名で、主に西日本で親しまれている言葉の一つです。だんじり祭の始まりは今から約300年ほど前で、当時の岸和田藩主・岡部長泰(おかべ・ながやす)によって五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するために行われた稲荷祭がその起源といわれています。もともとは芝居や狂言といった芸事を演じた後、神社への参拝をするという祭りでしたが、時代とともに地域の風習が反映され、今では太鼓や篠笛などを使って奏でる「だんじり囃子(ばやし)」や、だんじりに施された、神話や地元に伝わる伝説をモチーフとした美しい彫り物などで、多くの見物客を魅了する盛大な祭りとなっています。

だんじり祭の大きな見どころのひとつが「やりまわし」です。やりまわしとは、山車や屋台が曲がり角で方向転換をする様子のこと。他の地域の祭りでは、山車は慎重に角を曲がることが多いのですが、岸和田のだんじり祭では勢いよく走りながら素早く方向転換をするのが特徴。そのスピードと迫力によって、祭りは大きな盛り上がりを見せます。祭り期間中、だんじりは定められた曳行路(えいこうろ)を何周も駆け回り、曲がり角ごとに名物のやりまわしが披露されます。山車の重さは約4トンあるため、まさに熟練の技の見せどころ。また、正確にやりまわしを行うためには、だんじりを曳く青年団や旋回のきっかけをつくる前梃子(まえてこ)など、それぞれのタイミングを合わせることも必要不可欠です。岸和田だんじり祭からは、大阪・岸和田市民の地元にかける熱い思いとともに、強い団結力を感じることができます。

野菜を使った神輿が特徴の「京都府・ずいき祭」

京都府・ずいき祭(画像提供:北野天満宮)

毎年10月1日から5日に行われる京都の「ずいき祭」。その起源は古く、天慶9(946)~康保4(967)年頃に始まったと言い伝えられています。北野天満宮のご祭神・菅原道真公が大宰府で彫ったとされる木像を、お供だった京都・西ノ京の神人(じにん)が持ち帰って祀(まつ)り、秋の収穫の際に農作物をお供えしたのが祭りの始まりといわれています。

祭りでは“ずいき”と呼ばれる里芋の葉の柄や、乾物などを使って作られた御輿が出され、一年の収穫に対する感謝の気持ちを表現します。御輿には、赤ずいき・青ずいきで覆った屋根のほか、茄子、唐辛子などの乾燥させた野菜で作る隅瓔珞(すみようらく:神輿の四隅に垂れ下がる飾り)や、麦わらを貼り付けた鳥居、野菜や果実の種で作った桂馬(けいま:動物などをモチーフとした飾り)など、古くからの伝統を今も継承する独特の飾り付けが施されています。

地域から選ばれた女児による「八乙女舞(やおとめまい)」と呼ばれる舞の奉納や、牛が曳く御羽車(おはぐるま)、神様の御霊(みたま)を移して運ぶ鳳輦(ほうれん)などが連なり巡行する神輿行列など、にぎやかな祭りとはまた違い、厳かな雰囲気で執り行われるのもずいき祭の特徴のひとつ。紅葉狩りでにぎわう秋の京都の代表的な祭りとして、毎年多くの見物客が訪れます。

腰を低くして大名行列を観覧する「岡山県・土下座まつり」

岡山県・土下座まつり(画像提供:新見商工会議所)

岡山県新見市で10月半ばに行われる「御神幸武器行列(ごしんこうぶきぎょうれつ)」。「土下座まつり」と呼ばれるこの祭りは、その名の通り、行列に対して土下座のように腰を低くして拝観をする珍しい祭りです。元禄10(1697)年に新見を築いた初代藩主・関長治(せき・ながはる)が、五穀豊穣を祈願する、船川八幡宮の秋の例大祭の御神幸の時に行った大名行列が始まりといわれているこの祭り。現在でも当時のしきたりを忠実に継承し、人々は、座るか、腰を低くして行列を出迎えなくてはなりません。もし、立った人がいる場合は行列が止まります。行列を横切ることも禁止されています。

総勢64人からなる行列は、青竹を手にした先払い(身分の高い人が通るときに通行人を追い払う役)を先頭に、白熊(はぐま)と呼ばれる大槍(おおやり)を持つ者、なぎなた、鉄砲といった武器を持つ者たちが、列をなして町を歩きます。格調高い祭典行事として、1974年に同市の重要無形民俗文化財にも指定された土下座まつり。祭りの日には国税庁の特別許可を得て、新見船川八幡宮で造られたご神酒(じんしゅ)が参詣者に振る舞われます。

 
格式高い行列や迫力ある山車など、一度は見てみたい日本の有名な秋祭りたち。各地域に受け継がれる伝統芸術は見る者を魅了するだけでなく、改めて祭りの楽しさを教えてくれます。

 
だんじり祭
2018年9月2日(日)・14日(金)・15日(土)・16日(日)・30日(日)、10月6日(土)・7日(日)

ずいき祭
2018年10月1日(月)~5日(金)

土下座まつり
2018年10月15日(月)

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