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第2の人生は米粉パン専門店! 神戸の元サラリーマン夫婦が米粉普及へ

第2の人生は米粉パン専門店! 神戸の元サラリーマン夫婦が米粉普及へ

最終更新日:2018年09月12日

神戸市で米粉パン専門店Le・Riz(ルリ)を営む山本典夫(やまもと・のりお)さん(63歳)、みさ子さん(62歳)夫妻。5年前、典夫さんは勤めていた会社を早期定年退職。専業主婦だったみさ子さんと共に、パン屋として生きていく道を選びました。「もっと米粉のおいしさを広めたい」と語る山本さん夫妻を訪ねました。

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会社を退職し、突然パン屋に!?

農業

──2人はなぜ米粉パン専門店を始めたのでしょう。

典夫さん:私は以前、某大手企業で営業の仕事をしていました。パン屋をやりたいと妻から提案があり、58歳で早期定年退職をして2人で米粉パン専門店をスタートしたのです。

みさ子さん:私は専業主婦をしていました。2人の子供が自立してからは、夫婦で何かお店をやりたいねっていう話をよくしていて。もともと、友人が米粉パン専門店をやっていて、「店舗を引き継いでくれる人を探してほしい」と相談され、私で良ければと引き受けたのがパン屋になったきっかけです。

──それまでパン屋とは縁がなかったのに、突然パン屋を引き継いだのですか。

みさ子さん:昔から手作りが好きで、よく家のホームベーカリーでパンを焼いていたのもあって「パン屋さんか……やってみたい!」って。初めて米粉パンを食べたときに、「こんなに米粉パンがおいしいなら、もっと世の中に米粉を広めた方がいいんじゃないか」と米粉のおいしさに感激したんです。特別な修行などはせず、パンの製造を手伝いながら店の経営も学び、軽い気持ちで始めました。最初は息子達には反対されましたよ、そんな大変なことやめておけって。

農業

典夫さん:いつかお店をやるといっても、私は洋服屋や雑貨屋をイメージしていたので戸惑いました。でも、小麦を代表とする食物アレルギーの子供が増えていることや、グルテンフリーダイエットなどが話題になっていることから「米粉」には将来性があると考えました。それに米の消費量が上がれば、食料自給率も向上するんじゃないかと。今までパンを作ったことなんて無かったんですよ。一念発起して、見よう見まねでパンをこねました。

米粉の需要は上がっている

米粉パンの定番「白パン(左)」の他、デニッシュ系も豊富な品ぞろえ。「モチチョコクロワッサン(右)」がお店の一番人気。米粉のデニッシュは、サクサクだけどモッチリ!

──米粉パンを買いに来るお客さんはどんな人なのでしょう。やはり小麦アレルギーの人が多いのですか。

みさ子さん:小麦アレルギーといっても、いろんな人がいます。全然食べられない人もいるし、1日1個までなら大丈夫という人も。私たちは製粉業者から「国産米粉80%+小麦抽出グルテン20%」の粉を仕入れてパンを製造しています。小麦アレルギーの人には、あらかじめ成分をご説明して、その上でお買い求めいただいています。クッキー・ケーキなどの焼き菓子は米粉100%のグルテンフリーで作っていますので、小麦が全く食べられない人はそちらを買っていかれます。

農業

小麦アレルギーのお子さんは、確かに増えているようです。アレルギーの孫にパンを食べさせたいと言うおばあちゃんが、よく買いに来られます。あと、卵アレルギーの子も多いですね。私の孫も卵アレルギーがあるんです。そういった方は、先にご相談いただければ卵なしでパンをお焼きしています。デニッシュなどは上に卵を塗っていますのでね。

典夫さん:私たちはアレルギーに対応するため、というよりは「米粉」のおいしさをより多くの人に知ってもらうことを一番にパンを作っています。そのために、グルテン成分を加えた粉を使用しています。

──グルテンを制限している人は増えているのでしょうか。

みさ子さん:病院で食事制限の指導を受けている年配の人が買いに来られます。米粉は小麦に比べて消化がゆるやかで、血糖値の上昇がおだやかなんです。

典夫さん:つまり腹持ちが良いということでもあります。米粉パンは、同じ量の小麦パンに比べるとカロリーを抑えられます。米本来のおいしさがあるので、バターや砂糖を控えられるんです。米粉パンと言えば、独特のもちもち食感と米ならではの優しい甘みが特徴で、小麦と比べると栄養価も高いのですよ。

──お米を食べ続けてきた日本人にとって、体に優しいのかもしれませんね。

典夫さん:小麦粉は主成分がたんぱく質ですが、米粉はでんぷん質でアミノ酸が豊富です。ビタミン類も多く含まれます。

みさ子さん:おいしくて健康にも良いのですが、米粉パンがなかなか普及しない理由に“扱いにくさ”があるようです。小麦パンに比べると生地の粘りが強いため、伸ばしづらいなどのデメリットがあります。従来のパン職人には敬遠されるケースが多いみたいです。

──ほかに米粉のデメリットはあるのですか。

みさ子さん:小麦パンより原価は高くなってしまいますね。スーパーで米粉を買うにしても、小麦粉より高くなりますでしょ。製粉技術が進歩して米粉そのものの認知度は高まりましたが、日常的に米粉パンを食べている人はまだ少ないと思います。てんぷらの衣やシチューのとろみ付けにも利用できますけど、家庭でもまだなじみが薄いですよね。

地元農家とのコラボパンやマルシェ出店で話題作り

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──米粉パン普及のために、工夫していることがあれば教えて下さい。

典夫さん:店舗で販売するだけでなく、神戸市のファーマーズマーケットやイベントのマルシェにも定期的に出店しています。地域の米粉パン専門店として、お店の名前を知ってもらう目的もあります。

ファーマーズマーケットで地元の農家さんと仲良くなったことは、大きな糧になっています。農家さんが頑張っている姿を見ると張り合いになりますよ。彼らの果物や野菜を使ったコラボパンを作って販売しているので、それを楽しみにマーケットに来てくれるリピーターさんもいます。

次男のお嫁さん(左)もお店を手伝っています

──地域にもとけこんで順風満帆に見えますが、一番の苦労は何でしょうか。

みさ子さん:パン作りは何とかなったのですが、2度の店舗移転のために資金不足になってきたり、少ない資金で必死に物件を探したりして、若い時に経験してこなかった事業経営の苦難を知りました。辛い時もありましたよ。

典夫さん:お店を大きくするとかは考えていなくて、自分たちのできる範囲でやっていこうって2人で話しています。大量生産はできないので、早い時間に売り切れてしまうこともあります。逆に、売れ残って落ち込む日もあって商売の難しさを実感しています。

──お店をやる楽しみは。

みさ子さん:この仕事「おいしい」って言ってくれるのが本当に幸せなんです。主婦業でも、子供が手料理をおいしいって言ってくれたらうれしいですけれど、それとはちがううれしさ。その「おいしかったよ~」が本っ当にうれしくて、パン屋になって良かったなぁって、しみじみ思うの。それがやりがいです。

典夫さん:実は私、若い時は洋服屋になりたかったんです。でも両親に反対されて企業に就職し、営業マンとして生きてきました。洋服屋ではないけど、店をやるという夢をセカンドライフで実現して、今、いろんな楽しみがありますよ。パン屋だからこそ出会えた農家さんやお客さんがたくさんいて、その出会いが宝です。辛い時も助け合いながら、これからも笑顔を絶やさずに頑張っていきたいです。

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米粉パン Le・Riz(ルリ)

写真提供:米粉パン Le・Riz(ルリ)

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