新しい農業のカタチ。「植物工場」とは?
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LEAFRUで販売されている野菜
LEAFRUの運営会社であるプランツラボラトリーは、東京大学と共同開発した「プットファーム」と呼ばれる植物工場システムの開発・運営も行っています。植物工場とは、天候に左右されず、屋内で計画的に農作物を生産する栽培施設のことで、一年を通して安定的な野菜の栽培が可能です。
一般的な植物工場がコンクリートで基礎工事を行った上で建設される大がかりなものであるのに対し、プットファームはパイプを中心としたシンプルな構造であるため、簡易的な作業のみで設置が可能。作業や工法が簡単な分、初期費用も従来の植物工場の約3分の1に抑えられます。また、構造がビニールハウスと似ているため、農地にも簡単に建てることができます。
着工してから約2カ月で完成し、早くから栽培に着手することができるため、出荷までの期間が短いこともプットファームの大きなメリットだといいます。独自開発の「遮熱シートパネル」で室内の環境を一定に保ち、エアコンの稼働を少なく抑えて植物を育てることができます。さらに、もともと医療用に開発されたという調湿機を農業用にアレンジして湿度コントロールを行い、外気から植物の成長に必要な二酸化炭素を取り込むことで、クリーンかつ植物の成長に適した環境を作り出しています。
屋内農場野菜専門店立ち上げのきっかけ、こだわりとは
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LEAFRU店舗内の様子
もともとは、プットファームなど植物工場の企画・販売を手掛けていたプランツラボラトリー。屋内農場野菜専門の八百屋「LEAFRU」を立ち上げたきっかけは、農地にプットファーム導入を検討していた人から、「実際にどのような野菜が生産できるのか?」という質問が多く寄せられたことだといいます。
「植物工場の野菜が安心・安全でおいしいことを、より広くたくさんの人々に知っていただきたいと考えました。また、消費者の声を身近なところから直接伺って、商品開発や研究に反映させたいと思い、小規模ではありますが自社ブランド『LEAFRU』を立ち上げました」(立川さん)
LEAFRUで販売されている野菜は、東京大学のキャンパス内にあるプットファームで生産したもの。店頭に並ぶ野菜の種類は7~8種類ほどです。通常の栽培方法で育てた野菜との味や食感の違いについて立川さんに伺うと、「食感が柔らかく、エグみが少ないという特徴があります」とのこと。野菜に含まれている「アク」が少ないため、味もクセのない食べやすい仕上がりになっているそうです。
「LEAFRU」おすすめの屋内野菜とその食べ方をご紹介!
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LEAFRUの野菜たち
LEAFRUで特に人気の野菜は「レタス」だそう。
「レタス系は人気があります。リーフレタス、バタビアレタスは使い勝手も良いようです。また、水菜やパクチーといった食感や風味が特徴的なものもよくお求めいただいております。食べ方はシンプルにサラダがおすすめです。どんなドレッシングにも合うと思いますし、完全無農薬で栽培していますので、さっと水に流すだけでそのままお召し上がりいただけます。栄養素や風味を失うことなく、野菜本来の味を楽しむことができますよ」と立川さん。
また、以前取り扱っていた数量限定のサラダも人気だったそう。LEAFRUの野菜を高く評価していたミシュラン二つ星獲得の精進料理・醍醐さんプロデュースのサラダで、常連客からの「また食べたい!」という要望に応え、再開の準備を進めているそうです。
LEAFRUをオープンしてから特に宣伝などは行っていないそうですが、近隣の常連客から好評を得ているほか、飲食店への卸も行っており、出店依頼や小売店からの商品供給の要望もあるそうです。また、野菜を生産しているプットファームについても、生産者や新規就農者、新規事業として農業分野へ参入を検討中の企業から、多数問い合わせがきているそうです。
“環境をコントロールできる”という植物工場・プットファーム。天候の影響を受けず、経済的にも作業効率としても安定しており、安心・安全な野菜を消費者に提供することができます。そんな、プットファームで生産された野菜を食べることができる「LEAFRU」。「新商品の開発など積極的に活動してまいりますので今後のLEAFRUにご期待ください」と立川さんは話します。まずは一度、新しい農業が生み出した野菜を食べてみてはいかがでしょうか。
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