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いま注目の「植物工場」とは? ハウス栽培とどう違う?農薬は必要?

連載企画:農業キーワード

いま注目の「植物工場」とは? ハウス栽培とどう違う?農薬は必要?

みなさんは「植物工場」という野菜の栽培施設を知っていますか? 農作物は太陽や雨など自然の恵みを受けながら育つイメージを持っている人が多いかもしれませんが、植物工場ではICTを活用して施設内の光や水の量をデータ管理し、1年間を通して計画的に出荷することができます。
天候の影響を受けずに安定して生産できることなどが魅力で、最近では家庭用のコンパクトな植物工場も誕生しているそうです。一体どんなものなのか、詳しくご紹介します。

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ハウス栽培とは違うの? いま注目の「植物工場」とは

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植物工場は、屋外ではなく施設内で野菜などを育てる生産システムで、太陽光を全く用いず蛍光灯やLEDによって栽培する「完全人工光型」と、太陽光をベースにして補助的に人工光を使用する「太陽光利用型」の二つに大きく分かれます。

太陽光をベースに植物を育てる「太陽光利用型」はハウス栽培と何が違うのか、疑問に思う人もいるかもしれません。植物工場は、光・水・二酸化炭素といった環境条件を、作物の生育データに基づいて自動で最適な状態に調整するなど、ハウス栽培よりも高度な環境制御を行っていることが特徴の一つとして挙げられます。また、離れた場所からスマートフォンなどの携帯端末で成長具合を確認したり、施設内の環境を調整したりすることも可能です。

年間を通して計画的に栽培・収穫できるのが魅力で、全国の植物工場ではレタスやクレソン、トマトなどさまざまな野菜が生産されています。大きさや形、風味などが安定したものを育てられる植物工場は、2018年2月時点で、全国に370カ所余り設置されています(「一般社団法人日本施設園芸協会」調べ)。

害虫の心配がないため農薬は不要! さらに雇用にもつながる

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施設内で栽培管理するため、悪天候だけでなく、病害虫による被害を受けないというメリットもあります。農薬を使用せずに済むので安全面はもちろん、洗わずに食べられることも便利ですね。

あらゆる場所に設置しやすいのも利点の一つです。例えば、植物工場に野菜を売る店舗を併設すれば、輸送のコストや時間がかかりません。さらに1日の販売量を見込んで計画的に生産することで、廃棄ロスをなくすこともできます。できたての野菜を、売れる分だけ、すぐにお店に並べることができるのです。

また、地域の雇用にも役立ちそうです。屋外よりも作業しやすいため、車椅子の方でも栽培に携わりやすく、障害者や高齢者雇用の場としても活用が期待されています。

未来の農業のカギとなるのか

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計画的な生産ができる一方で、ICT導入・施設整備にかかる初期費用、水道料金や電気代などの維持コストが課題とされている植物工場。導入を考える際は、誰にどれだけ売るかという販路目標を事前にきちんと立て、本当に必要な設置機器はどれかを見分けることや、いかに電力を抑えるかなどの戦略を立てることが必要となるでしょう。

大手電機メーカーなどは、家庭のキッチンスペースに収まるコンパクトな植物工場の開発に取り組んでいます。栽培品目は小松菜やコカブなどで、苗の状態から約2~3週間で収穫できるようです。
一般家庭でも、冷蔵庫の隣などですくすく育った新鮮な野菜を摘み取るのが当たり前の時代が来るかもしれませんね。

参考
特集 野菜をめぐる新しい動き 植物工場の可能性(aff(あふ)2010年2月号):農林水産省
大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査(PDF):一般社団法人日本施設園芸協会

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