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農にまつわる日本のお祭り 〜四国、九州、沖縄3選〜

農にまつわる日本のお祭り 〜四国、九州、沖縄3選〜

世界中から多くの観光客が押し寄せる日本の祭り。ほかでは見ることのできない巨大な美術工芸品や大松明(おおたいまつ)、大綱引きなど、そのスケールの大きさに目を見張るものも多くあります。五穀豊穣(ほうじょう)の願いや収穫への感謝が込められた、「農業」が起源の日本の祭りを紹介する本シリーズ。今回は、四国・九州・沖縄地方において、毎年たくさんの人でにぎわう「農業が起源の祭り」を3つご紹介します。
(画像は唐津くんち。提供:唐津観光協会)

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巨大な曳山(やま)が旧城下町を巡行する「佐賀県・唐津くんち」

佐賀県・唐津くんち(画像提供:唐津観光協会)

佐賀県唐津市にある唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」。毎年11月2~4日に開催され、多くの観光客でにぎわいます。「くんち」とは主に九州地方で使われている秋祭りの呼び方で、一説では、収穫した作物を神にお供えする日、すなわち「供日(くにち)」がもとになっているともいわれています。

ユネスコ無形文化遺産登録や国指定重要無形民俗文化財指定もされている、唐津くんちの「曳山行事」は、文政2(1819)年に唐津市刀町の石崎嘉兵衛(いしざき・かへえ)が京都で見た祇園山笠から着想を得て「赤獅子」を作り、刀町が奉納したことが起源とされています。和紙や漆、金箔(きんぱく)などで仕上げられた世界最大級の乾漆造(かんしつづくり)の美術工芸品である曳山には、赤獅子・青獅子、亀と浦島太郎、源義経のかぶと、鯛など、10以上の種類があり、これらが街を巡行する様子は、毎年多くの観客を魅了します。また、祭りの一番の見どころである曳(ひ)き込み、曳き出しでは、曳子(ひきこ)の掛け声と観客の声援が一体となり、祭りで人々が一つになる瞬間に酔いしれることができます。

土佐三大祭りの一つ「高知県・久礼八幡宮秋季大祭」

高知県・久礼八幡宮秋季大祭(画像提供:中土佐町役場 水産商工課)

土佐三大祭りの一つとして知られているのが、毎年9月に高知県高岡郡中土佐町の久礼八幡宮で行われる「久礼八幡宮秋季大祭」です。戦国時代から続く伝統あるこの祭りには、秋の豊作への感謝の念が込められています。県内外からの観光客も訪れるにぎやかな祭りですが、なんとスタートは深夜0時。最大の見どころである「御神穀様(おみこくさま)」では、秋の豊作に感謝の気持ちを捧げながら、高さ約6メートル、重さ約1トンもある大松明の行列が神社まで練り歩きます。

役目が終わった大松明は境内に投げ出され、この松明の残りを大勢の人々が一斉に拾いあう「熾き拾い(おきひろい)」が行われます。この松明を拾うと一年間無病息災で暮らすことができるという言い伝えもあり、拾った人はお守りとして松明を家に持ち帰ります。

また、午後3時頃より行われる「御神幸(おなばれ)」では、天狗(てんぐ)や獅子の舞などを見ることができます。「子どもが獅子に噛んでもらうと悪いことから守ってもらえる」という言い伝えもあり、小さな子どもを連れた家族連れにも人気の行事です。夜には花火が打ち上げられ、出店はたくさんの人々でにぎわいます。

中秋の名月に行われる綱引き合戦「沖縄県・糸満大綱引」

沖縄県・糸満大綱引(画像提供:糸満市)

毎年旧暦8月15日に沖縄県糸満市で開催される「糸満大綱引」。北組(ニシカタ)、南組(フェーカタ)に分かれて行われるこの大綱引き合戦は、伝統行事でありながら、誰でも参加することができます。南北それぞれのチームから、糸満に伝わる伝説上の人物「イチマンマギー」「マカビチャーン」に扮した若者が綱の中央でにらみ合った後、大綱引きが始まります。

糸満大綱引は五穀豊穣、大漁祈願、家内安全、無病息災を祈願し、勝負の結果によって吉凶を占う伝統行事として親しまれてきました。もともと、日本に伝わる綱引き行事は農業と関連があるといわれています。稲の不作と害虫に悩んでいたある農民が、父親から「田の畦(あぜ)で大綱を引き、太鼓を打ち鳴らし、松明を振りかざしなさい」と言われて従ったところ、害虫が全滅したことから、毎年欠かさずに綱を引くようになったという伝承もあります。そのため、沖縄に伝わる糸満大綱引も農業と関連がある祭事とされています。

綱引きの綱に使用される稲わらは総重量で約10トン、綱の太さは最大で直径1.5メートル、長さは合計180メートルと、まさに大綱。沖縄では、他にもさまざまな地域で綱引きが行われていますが、そのいくつかは祝祭日に行い観光化されています。しかし、糸満市では伝統を守り、旧暦の8月15日のみに綱引きを行っています。糸満を代表する伝統行事である糸満大綱引。10メートル綱を引いた組が勝つというルールですが、果たして今年の軍配は南北どちらに上がるのでしょうか。

 
今回ご紹介した祭りは、すべて農業に関わりがあるとされています。日本の伝統的な祭りに込められた人々の思いを、目の前で堪能してみてはいかがでしょうか。

 
唐津くんち
2018年11月2日(金)・3日(土)・4日(日)

久礼八幡宮秋大祭
2018年9月23日(日)・24日(月)

糸満大綱引
2018年9月24日(月)
※ご案内は近日掲載予定です。前回の様子はこちら

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