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【全国47都道府県】ご当地農業事情 〜関東甲信地方〜

連載企画:ご当地農業事情

【全国47都道府県】ご当地農業事情 〜関東甲信地方〜

「関東」と聞いて農業をイメージする人はあまり多くないかもしれません。しかし、日本一広い平野である関東平野では、昔から野菜の生産が盛んであり、特に千葉県や茨城県は全国有数の農業県となっています。また、都心に近い立地も、生産される作物の種類や農業のスタイルに大きな影響を与えているようです。「ご当地農業事情」今回は、実は農業ととても関係の深い「関東甲信地方」についてご紹介します。

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関東甲信地方の特徴は?

広大な関東平野

関東平野にある野菜畑の面積は、なんと全国の約4分の1を占めるほどの大きさです。関東甲信地方の付近には人口の多い大都市がいくつもあるため、都市で生活をする人に向けて都市の近くで野菜を作る「都市近郊農業」というスタイルの農業が、関東平野を中心として盛んに行われています。

遠くから野菜を運んでくると、輸送費が余分にかかる上、鮮度も落ちてしまいます。しかし、都市の近くで農産物を作れば、安い輸送費で鮮度が高いものをたくさんの人に届けることができます。関東甲信地方ではこのような土地の利点を生かし、鮮度が落ちやすい野菜や草花などが多く生産されています。

都市部を支える生産地、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県、長野県

茨城県に広がる水田

では、どの県でどんなものが生産されているのかを見ていきましょう。

まずは、農業産出額全国2位の茨城県です。かんしょ(サツマイモ)、白菜、メロンなどが主要な農産物ですが、実は米の農業産出額も山形県に次いで全国5位。茨城県には利根川や久慈川、那珂川などの川や湖があり、水がとても豊富です。こういった川や湖の沿岸部を水田として生かしているため、茨城は関東一の米どころとなっているのですね。

茨城のお隣、栃木県はイチゴの産地として有名です。首都圏に近いことと、冬場の日照量が多いことを生かして県内全域で栽培されており、生産量は長年日本一を記録しています。また、イチゴだけではなく、生乳の産出額が北海道に次いで全国第2位という酪農王国でもあります。

全国のこんにゃくの大半を生産しているのは群馬県。こんにゃく製品はその成分の大部分を水が占めています。群馬県には利根川の源流があるため、きれいな水を使ったおいしいこんにゃくをたくさん作ることができるんですね。また、高地では夏の涼しい気候を生かしたキャベツの生産も盛んです。

そのお隣、埼玉県は、都心にほど近い首都圏内でありながら耕地率(県土面積に占める耕地面積の割合)は全国4位を誇り、花きの他、サトイモ、小松菜、ネギなど多様な野菜の産出額が全国トップクラス。深谷市で作られる「深谷ねぎ」は、軟らかく甘みが強いことが特徴です。

千葉県は、農業産出額全国4位。茨城県に次ぐ、関東が誇る農業県です。温暖な気候と豊かな自然、広い県土を生かした農業を行い、ホウレンソウ、大根、ネギ、ナシなど数多くの作物が産出額全国1位を誇ります。また、「早場米」という通常よりも早い時期に収穫できる米の産地でもあり、関東エリアの中で通年で安定供給できる品種のうち最も早く収穫できる米「ふさおとめ」の栽培も行っています。

山梨県では、「昼夜の温度差が大きい」「春先の日照時間が長い」などの特徴を持つ甲府盆地を中心に、皮が軟らかくおいしいナスや甘いスイートコーンなどが作られ、八ヶ岳南麓や富士北麓の高冷地では、夏の冷涼な気候を生かしてトマトやキュウリなどが作られています。また、栽培面積と収穫量ともに日本一のブドウやモモ、スモモをはじめとした多くの果物が生産されている山梨県は、まさに「フルーツ王国」と言えますね。

レタス、セロリなどの野菜や、果物、花きなど多くの分野で全国生産量トップクラスを誇るのは長野県。面積が大きく、地域によってさまざまな気候を持つ長野県では、いろいろな農作物が作られています。また、東京だけではなく名古屋、大阪といった大都市へのアクセスも良く、出荷がしやすい立地も特徴です。

神奈川、東京での農業は?

神奈川県内の大根畑

次は、都市部の印象が強い、神奈川県、東京都の農業を見てみましょう。

神奈川県では、それぞれの地域で特色ある農業が展開されています。比較的温暖で全国有数の露地野菜産地である横須賀三浦地区では大根やキャベツの栽培、県内の米の主な産地でもある湘南地区ではトマトやバラをはじめとする生産性の高い施設園芸や畜産が盛んです。県内で最も都市化の進む横浜川崎地区においても、ナシ、ホウレンソウ、メロンなど多様な農産物が生産され、大消費地であるという利点を生かした直売なども多く行われています。

大都市のイメージが強い東京においても農業はしっかりと根付いています。農地が多く残る多摩地域は東京農業の中核となっており、ホウレンソウやニンジンをはじめとしたさまざまな野菜のほか、山間部ではジャガイモ、ソバなども生産されています。また南多摩地区では古くから畜産が行われ、果樹栽培も盛んです。都市部では小松菜、キャベツ、ブロッコリーなどの他、練馬大根や三河島枝豆、馬込半白キュウリなどといった「江戸東京野菜」という伝統野菜の生産も行われています。

 
関東、甲信の農業、いかがでしたか。都市部やその周辺では、その立地をうまく生かした農業が営まれているんですね。

※ 生産量・産出額はいずれも2016年、農林水産省調べ。

参考
関東の農業の特徴:関東農政局
統計キッズ-農業(のうぎょう)-:茨城県
農林業:栃木県
ぐんまキッズページ:群馬県
2017年 埼玉の食料・農林業・農山村(PDF):埼玉県
ちばの農林水産物ランキング!(順位別):千葉県
農業生産:山梨県
長野県の農業:長野県
地域の特色を生かした農林水産業(わたしたちのくらしと神奈川の農林水産業)(PDF):神奈川県
東京農業の概要:JA東京中央会

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