東北地方の特徴は？
日本の穀倉地帯ともいわれる東北地方。中には生産している農産物の大半を米が占めている県もあり、東北の米が全国に占める収穫量の割合は、2017年産で27.0%と全国トップです。東北で稲作が盛んな理由の一つとして、農地が多く水も豊富にあるため、水田の面積が広いことがあげられます。
また、農地が多くあることに加え、野菜などの生産に適した涼しい気候であるため、他の地域に比べ農家の数が多いのも東北地方の特徴です。年々減ってはいますが、2015年の販売農家数（※1）は約24万戸で、全国の販売農家数の2割近くを占めています。
※1 経営耕地面積が30アール以上の農家、または調査期日前の1年間における農産物販売金額が50万円以上の規模の農業を行っている農家の世帯数。
青森県、岩手県、宮城県の農業は？
リンゴの生産量日本一を誇る青森県。津軽平野を中心に栽培されるリンゴは、全国生産のおよそ6割弱を占めています。青森県は、暑さに弱いリンゴに適した涼しい気候を持ち、また、日中と朝晩の寒暖差が大きいため、糖度の高いおいしいリンゴができるのです。最も栽培されているのが「ふじ」という品種のリンゴ。果汁が豊富で、甘味と酸味のバランスが良いのが特徴です。
北海道に次ぐ面積を持つ岩手県では、変化に富んだ広い農地や気象条件などを生かし、米の生産と園芸、畜産を組み合わせた総合産地となっています。米以外では、生産量全国1位のリンドウをはじめ、ホップ、リンゴ、ピーマンなどが全国的に高い収穫量を誇っています。また、日本最大の民間農場であり観光スポットでもある「小岩井農場」が有名であるように、広大な土地を利用した畜産も盛んです。
北上川、鳴瀬川、名取川、阿武隈川などから作られた平野が広がり、豊かな穀倉地帯となっている宮城県。畜産も盛んで、産出額は肉用牛、鶏、乳用牛、豚の順に多くなっています。野菜では、セリ、パプリカが生産量全国1位、他にはイチゴの生産量も全国上位に入るなど、各地域の風土に合わせたさまざまな農産物が生産されています。
※2 生産量・産出額はいずれも2016年、農林水産省調べ。
秋田県、山形県、福島県はやっぱりお米!?
山形県に広がる庄内平野
次は、東北の中でも特に米の生産が盛んな秋田県、山形県、福島県を見ていきましょう。
秋田県は、雄物（おもの）川、米代川周辺の農地を生かし、全国でも新潟県、北海道などとともに米の生産が盛んな県です。県内の農業における米の割合はなんと半分以上。「あきたこまち」「ゆめおばこ」「めんこいな」など、県オリジナル品種の生産にも力を入れています。米を使った郷土料理、「きりたんぽ鍋」も有名ですね。
山形県には、山と海に囲まれた、豊かな自然あふれる「庄内平野」があります。県の面積の約26%を占めるこの地域は、古くから良質米の産地として知られています。全国の生産量の約7割を占めるサクランボも有名な山形県ですが、県が誇るのは米とサクランボだけではありません。山形県米沢市が誇るブランド牛「米沢牛」は、松阪牛、神戸牛に並ぶ三大和牛の一つとも言われ、グルメにはたまらないブランド黒毛和牛の一つです。
福島県では農業産出額全体の3割を占める米のほか、サヤインゲン、キュウリ、トマト、果物ではナシ、モモなどが、全国でも上位の収穫量を誇ります。福島県は、2011年に起こった東日本大震災の影響を大きく受けましたが、現在も農業の復興のため、風評等に屈しない体制作りに力を注いでいます（※3）。
※3 「ふくしまからはじめよう。攻めの農業技術革新事業」の取組について：福島県
夏の季節風「やませ」がもたらす冷害などに遭いながらも、日本の食の供給源として重要な役割を果たしている東北地方。その広大な土地を生かし、私たちの生活を彩るさまざまな農作物を作り、日本の食卓を支えているんですね。
参考
東北農政局
青森の果樹Information－りんご：青森県
いわての農林水産業（PDF）：岩手県
みやぎの農業（PDF）：宮城県
秋田県農林水産業の現状と課題（PDF）：秋田県
山形県について：山形県
福島県のすがた 農業：福島県
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