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【全国47都道府県】ご当地農業事情 〜北海道地方〜

連載企画:ご当地農業事情

【全国47都道府県】ご当地農業事情 〜北海道地方〜

北海道といえば、雄大な自然、広大な牧場……といった「農業王国」のイメージが強いですよね。農作物ではジャガイモなどが思い浮かぶのではないでしょうか。「北海道産」と聞くだけで、質が良く、おいしそうな気がしてしまいます。北海道には他の地域に比べ、圧倒的な収穫量を誇る農作物が数多くありますが、その土地ならではの気候が、日本の食糧基地としての可能性を生み出しているようです。今回はそんな北海道の農業の特徴をご紹介します。

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農業にもってこいの土地、北海道

他の都府県にはない、広大な大地を持つ北海道は、なんと日本全体の農地面積の約4分の1を占めています。温暖多湿な日本の他の地域と異なり、冬は寒さが厳しく、夏は冷涼で湿度が低くさわやかな気候で、梅雨や台風の影響をほとんど受けないのが大きな特徴です。そのため、病害虫の発生が少なく、低農薬栽培も積極的に取り組まれています。

さらに同じ道内でも地域によって農業の種類が大きく違ってきます。これには北海道という土地が、太平洋、日本海、オホーツク海と異なる3つの海に囲まれた特殊な場所であることが要因です。ではそれぞれの地域で、どんな農業が行われているのでしょうか。

海流と農業の密接な関係

北海道の農業地域は道央、道南、道東、道北の4つに分けることができ、それぞれの地域で特色ある農業が展開されています。
道央・道南では、比較的温暖な気候を利用して稲作を中心とした農業が展開されています。これは道央・道南の沿岸に流れる暖流の恩恵によるものです。特に道内で最も温暖な道南では水稲のほか、野菜・果樹などの多様な農作物を栽培しています。
これに対して道東の中でも釧路・根室地方、そして道北では、それぞれ太平洋側を流れる“親潮”、オホーツク海側を流れる“東カラフト海流”という2つの寒流の影響を受けるため、気候が冷涼で、農作物が育ちにくいという特徴があります。特に、夏の釧路地方では、親潮によって大量の湿気を含んだ季節風が冷やされるため、濃霧が発生しやすくなり、日照時間も少なくなるため、気温も低く、牧草以外の栽培が困難になります。そのため、道東の釧路・根室、また道北では、牧草地を生かした大規模な酪農経営が行われています。一方、同じ道東でも十勝平野、オホーツク地方では冷涼な気候を利用した大規模な畑作経営により、麦類、豆類、テンサイ、ばれいしょ、タマネギなどの生産が盛んです。
このように、北海道では海流がもたらす気候の長所や短所をうまく利用して農業が行われているのです。

作られている農作物と近年の農業

それでは、北海道の有名な農作物を見ていきましょう。北海道が、産出額1位を占める主な農作物としては、小麦、ばれいしょ、小豆などがあります。冷涼な気候で栽培ができるインゲン豆も、十勝地方で多く作られており、作付面積、収穫量ともに全国の9割以上を占めています。また、砂糖の原料でもあるテンサイは、なんと全国シェア100%。十勝地方やオホーツク地方で多く作られ、全収穫量の8割以上がこの2地方に占められています。他にも、暑さに弱く15~20℃程度が生育適温といわれ、北見市で多く生産されるタマネギ、道央・道北で多く作られるカボチャなども、全国産出額1位を占めています(2016年、農林水産省「生産農業所得統計」)。そして、忘れてはいけないのが酪農。乳用牛の飼養頭数は全国の約6割を占め、約80万頭が飼育されています(2017年、農林水産省「畜産統計調査」)。

このように北海道は日本における食料の安定供給に大きく貢献している一方で、道内の農家では高齢化が進み、人手不足が加速するなど深刻な問題を抱えています。そこで近年解決策として、ICTやAIなどの最新のテクノロジーを利用したスマート農業が期待されています。具体的には、無人で自動走行できるロボットトラクター、営農支援サービスの利活用などです(※1)。

また、道は人手不足に悩む道内農家の労働力を確保するため、新たな農業人材として、道外の未就職の若者に対する道内での就農支援にも取り組んでいます(※2)。

北海道という、日本の暮らしを支える食糧の宝庫を次世代へと引き継ぎ、守っていくために、このようなさまざまな技術や制度が日々活用されているのです。

※1 スマート農業プロジェクトチーム報告書 ~北海道の農業と関連するものづくり産業の発展に向けて~(PDF) :北海道経済連合会
※2 北海道農業次世代人材投資事業:北海道

参考
センサスから見た北海道農業(PDF):農林水産省 北海道農政事務所
北海道農業の概要 グラフでみる北海道農業のすがた(PDF):農林水産省 北海道農政事務所
北海道の農産物食材カタログ(PDF):国土交通省 北海道開発局

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