アシストスーツで農作業を楽に 小規模でも導入できる「スマート農業」

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アシストスーツで農作業を楽に 小規模でも導入できる「スマート農業」

アシストスーツで農作業を楽に 小規模でも導入できる「スマート農業」

最終更新日:2018年10月09日

農業は日本の食文化を支える大事な産業です。しかし、従事者の高齢化、後継者問題など、さまざまな課題を抱えています。こうした課題をICTやロボット技術で解決するのが「スマート農業」です。
しかし、いざスマート農業に取組もうと思っても、大規模農業でしか活用できなかったり、莫大な資金が必要だったりすることもあります。もっと、簡単にスマート農業に取組めないものか? そう思って調べてみると、果樹の生産に従事されている、富山司(とみやま・つかさ)さんがクボタのアシストスーツ ラクベスト(ARM-1D)を活用されているとのこと。さっそく富山さんにお話を伺ってみました。

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重労働、危険な作業からの解放する取り組み

スマート農業とは、「ICT、ロボット技術を活用して、超省力化・高品質生産を実現する新たな農業」をいい、
(1)「超省力・大規模生産の実現」
(2)「作物の能力を最大限に発揮」
(3)「重労働、危険な作業からの解放」
(4)「誰もが取り組みやすい農業を実現」
(5)「消費者・実需者に安心と安全を提供」
の5つの視点から取組がおこなわれています。

よく目にするスマート農業の取組は、ドローンを活用して広大な農地の生育状況を監視するとか、ロボットトラクターによる自動走行システムで効率的な作業する、といった大規模な事例ばかりです。
しかし、収穫物の積み下ろしや、長時間にわたり無理な姿勢を維持しなくてはならない作業などの重労働をアシストスーツで軽労化する、といった取組も立派なスマート農業。アシストスーツは、医療・介護機器として開発が進みましたが、今では一般産業用途でも多くの企業が実用化・販売しています。例えば、クボタが生産・販売するクボタアシストスーツ ラクベスト(ARM-1D)、ユーピーアールが販売するパワードスーツ、ユアサ商事が販売するマッスルスーツなどがあります。これらのアシストスーツは実用化して間もないことから、効果を確かめるため、生産現場で実際に使ってみての実証も行われています。

クボタアシストスーツ ラクベスト(ARM-1D)

身体の負担は軽減した

ラクベスト(ARM-1D)のユーザーのお一人が、岩手県赤沢果樹生産組合、組合長の富山司さんです。富山さんは現在、65歳。40年以上も、ブドウとリンゴを栽培しています。ジュースやワインへの加工用がメインですが、生食用ではシャインマスカットやブラックビートも生産しています。

岩手県赤沢果樹生産組合、組合長の富山司さん(左)

──ラクベスト(ARM-1D)を導入した理由を教えてください。

富山:ブドウの栽培の作業をしたことはありますか? 収穫作業をしようとすれば、通常1時間、いや、30分ももたないと思いますよ。

──頭の上のブドウを触ろうと思うと、常に手を上げていないといけないですからね。

富山:手を上げておくだけじゃなくて、頭も上を向くから首にも負担が来るし、背筋も曲げるから腰に来る。肩にも負担がかかります。

──作業は何日も続くのですか?

富山:3、4日もやれば終わります。でも、その作業は朝から夕方まで。それに、ブドウの作業は適期作業なんです。作業する時期が決まっていて早過ぎてもダメ、遅過ぎでもダメ。適正な期間で作業することが重要で、品質も左右されます。例えば、リンゴなどは前もって作業してもいい。早く花を摘むほど、木の貯蔵養分の消耗が少なくなって、結実や幼果の発育には良い効果になります。でも、ブドウは早く作業をしても良い結果が得られるわけではないんです。

──今日は体調が悪いから休むとかができないわけですね。

富山:3、4日しかないから、1日逃がせばダメになります。昔からブドウは「ひとり三反」と言います。30アールです。それが限界なんです。

──大変な作業なんですね。

富山:それに、生食用だと日本人は品質にこだわりますからね。果樹はリンゴでも梨でも桃でも傷をつけると傷をつけたところから痛んでしまう。大量生産ならひとつふたつ痛んでもたいした影響はないかもしれないけれど、数量が少ないとひとつひとつが大事。丁寧に作業しようとすると時間もかかるし、身体の負担も増えますね。

──ラクベスト(ARM-1D)を導入するきっかけはあったのですか?

富山:4年ほど前に、販売店であるみちのくクボタさんが果樹農家を対象にした展示会をやっていて、それを見に行ったことです。こんな製品がある、ということは知っていました。でも、約10万円もするものですからね。導入には悩みました。

みちのくクボタの営業担当係長・冨山昌志(とみやま・まさし)さん(右)

──4年前に導入されて、元は取れましたか?

富山:いや、まだ取れていませんね(笑)。使用するのは1年のうちに3、4日ですからね。でも、ものは丈夫だし、維持管理に負担はない。動力は単3電池4本だけですし、一回、取り付ければ3、4年は持ちますしね。

──畑まで持って行くのですか?

富山:家で背負って畑に向かいます。軽いですから、装着していても負担はないです。

──導入してどうでしたか?

富山:やはり、身体の負担は減りましたね。人間は後戻りのできない動物だから、一度、楽をすると後には戻れないですね(笑)。特に肩と肘は楽になった。でも、しっかり腕を支えるから、下方向の動きが制限される。もう少し動きに余裕があればいいけどね。

──そんな意見をもとにして、更に改良されることが期待できそうですね。

ひとりでも装着は簡単

上を向いての作業をサポート

「楽になったね」と富山さん

今から始めるスマート農業

スマート農業は生産者が行っているさまざまな業務にICTやロボット技術を活用して、簡単、便利にして、誰もが使え、誰もが参加できるようにする取り組みです。
一方で、スマート農業に高い関心を持つ生産者は増えているものの、どのように活用すれば良いかわからない、といった生産者も少なからずいるようです。
しかし、スマート農業はロボットトラクターや、いままで触ったこともないようなデバイスを使うだけではありません。大規模な農機や機器を導入するだけでなく、アシストスーツのように、身体の負荷を軽減させて作業効率をあげるスマート農業もあります。現在、すでに普及しているものもありますが、まだ研究開発の途上のものもあります。すでに発売しているものでも、富山さんのようなユーザーが増えることで、ユーザーの声でさらに改良されて使い勝手のよいものになっていくようです。
あれこれ考え、悩むより、小さなところからまず、取り掛かってみる。そんなことからスマート農業が理解できるのではないでしょうか。そこからアイディアが生まれたり、改良のヒントにつながったりするかもしれません。考えるより手短なところから導入するのがいいかもしれませんね。

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