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国産ホップ農家が意見交換 全国の生産者が「サミット」で交流

国産ホップ農家が意見交換 全国の生産者が「サミット」で交流

苦みや香りをつくる、ビールの大切な原材料といえば「ホップ」。国産ホップの生産量は、過去10年で半分にまで減少しています。一方で、日本でもクラフトビールが定着し始めている今、国産ホップに注目が集まっています。そんな中、国産ホップの生産者が全国各地から集まり、意見交換をする「ホップサミット2018秋」が東京・代官山のスプリングバレーブルワリー東京にて開催されました。

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ホップ農家の情報交換の場に

通常のビールは、収穫したホップを乾燥して圧縮・固形化した「ペレット」を使いますが、とれたてのフレッシュな国産ホップを使ったビールは、香りが華やかで苦みも爽やか。そんな今年収穫した国産ホップでつくったビールを味わえるイベント「フレッシュホップフェスト」が全国各地で開催されています。

担い手の高齢化や後継者不足による生産量減少が叫ばれる国産ホップですが、若手生産者も少しずつ増えてきています。生産者や現状や課題を共有し、情報交換の場とすることを目的に「ホップサミット2018秋」が10月、東京・代官山で開かれました。

山梨、長野、和歌山、大分など、全国のホップ生産者たちが、写真やスライドを使って生産現場の様子を発表しました。
20代のホップ農家・小林吉倫さん(山梨県)は、「自分で重機を使うなど工夫を重ね、生産コストを従来の4分の1~5分の1までに抑えた」と説明。同業の生産者から驚きの声が上がりました。

与謝野ホップ生産者組合の好地史さんは、プレゼンテーションの中に日頃の農作業での疑問を同業者へ投げかけました。「生育速度を均等にするにはどうしたらいいのか」「今年は香りが弱い気がしたが、これはカリウム不足が原因なのか。判断する方法は?」といった問いに対して、「自分は、花が付くころに水溶性のリン酸を入れている。一年に3回ほど、土壌診断で肥料を吸っているか否かを判断した方がいい」など、会場の若手農家から意見が飛び出し、意見交換が活発に行われました。

ビールを軸に、ホップの産地を元気に

ホップ

発表後、採れたてのホップを使ったビールで乾杯するビールメーカーや農家たち

国内最大級のホップの産地・岩手県遠野市では、今年の生産量は43トンと、ピーク時の1987年に比べて5分の1に減少しました。そのような状況を打破しようと、遠野市では「ホップの里からビールの里へ」を合言葉に、ホップの魅力を最大限活かした官民連携のまちづくりが行われています。遠野が掲げる「ビールの里」のビジョンに共感し、県外から遠野に移住し起業を決めた方も。また、驚くべきことに、10名を超える若者が新たにホップ農家を志し、遠野に移住。ホップやビールを軸とした、ワクワクしたまちづくりが進められています。

今年は、キリンなどが出資する農業法人BEER EXPERIENCE㈱が設立。イチジクやマスカットを思わせる香りの希少な国産ホップ「MURAKAMI SEVEN」のブランド化や、海外の最新技術を導入した栽培効率化によるホップの安定供給、ビールのおつまみ野菜「遠野パドロン」の栽培や、「ビアツーリズム」事業を行うことにより、遠野のビールの里構想を更に推進していくことを目指しています。

同社に出向しているキリンの浅井隆平氏は、「日本国内のビール市場は縮小しているが、クラフトビール市場は拡大している。遠野産ホップの生産量は減少しており、新しい仕組み作りが急務の一方で、遠野のホップを通じたまちづくりの成果が注目されている」と語り、「ホップの収穫を祝うイベント「遠野ホップ収穫祭」は、初年度は2,500人だったお客さんが今年は7,500人と、県内外から多くの人が訪れている。新規就農者は3年で12人までに増えた」などと、進捗を共有しました。

「サミット」の最後には、フレッシュホップを使ったビールで、生産者やメーカーが肩を寄せ合って乾杯し、収穫の喜びをかみ絞めながらのひとときを楽しんでいました。
国産ホップで地域やビール文化がもっと面白くなる、そんな可能性を感じることができるイベントでした。

【関連リンク】
フレッシュホップフェスト2018 – ひろげよう!ホップの輪

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