知っておきたい農薬の基礎知識-種類や作用の違いなど-

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知っておきたい農薬の基礎知識-種類や作用の違いなど-

知っておきたい農薬の基礎知識-種類や作用の違いなど-

最終更新日:2018年11月13日

農薬について、どれくらい知っていますか。その種類や作用には、それぞれ大きな違いがあります。また、「農薬」というと環境や人体に悪影響があるというイメージがつきまといがちですが、しっかりと理解したうえで使用するかどうかや使用する種類を判断する必要があります。農薬に関する基礎的な知識をしっかりつけて、改めてその使用方法について考えてみましょう。

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農薬は「農薬取締法」で定義付けされている

農薬

農薬をまく様子(写真提供:農薬工業会)

「農薬取締法」によると、農薬とは、「農作物の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう」とされています。さらに、農作物等の病害虫を防除するために利用される「天敵」も農薬とみなす、としています。(※1)
農薬と聞くといわゆる薬品だと思いがちですが、農作物を守り成長を調整するために使われるあらゆる資材の総称のことを指しているのです。農薬取締法は「国民の健康の保護」と「国民の生活環境の保全」が目的として規定されていて、残留性が高く人に対する毒性が強い農薬は販売が禁止されるなどしています。さらに、使用する人は、必ず登録された農薬を定められた使用方法や使用量を守って使わなければなりません。

※1 農薬取締法(農林水産省)

さまざまな農薬の分類方法

農薬は、有効成分や用途、形状の違いによって分類することができます。その主な分類方法について見ていきましょう。

「化学農薬」か「生物農薬」か

生物農薬

有効成分によって農薬は2種類に分類することができます。「化学農薬」は化学的に合成された物質や天然物等を有効成分とする農業用の薬剤のことで、それに対して「生物農薬」は天敵昆虫や微生物などを用いた「農薬」のことです。「寄生バチ」や「テントウムシ」、「カブリダニ類」などの「天敵」、そして「微生物剤」がこれに分類されます。安全で環境にやさしい農薬として、現在登録数が増えていて、研究も進められています。

用途の違いによる分類

農薬は、使用目的によっても分類することができます。

・病害虫の防除に用いるもの
「殺虫剤」、「殺菌剤」、「除草剤」や「誘引剤」などがこれに分類されます。植物の病気や、害虫による被害を防ぐために用いられます。「誘引剤」は、主として害虫をにおいなどでおびき寄せる農薬のことです。

・成長調整に用いるもの
「発根促進剤」や「着果促進剤」などの「植物成長調整剤」がこちらに分類されます。例えば、種なしブドウを作るために使われる植物ホルモンの一種「ジベレリン」も「植物成長調整剤」に該当します。(※2)

※2 教えて!農薬Q&A(農薬工業会)

ジベレリン

剤型の違いによる分類

剤型とは、粉剤、粒剤などといった、製剤の形態のことをいい、水に薄めるものとそのまま使うものに分けることができます。農薬にはさまざまな形状の製品があり、さらに安全性を高めるために新しいタイプのものも開発されています。

・水で薄めて使用するもの
水で薄めるものには、液状のものと固形のものがあります。固形の物のうち粉状のものは、袋を開けたり水に溶かしたりする際に、空気中に粉が舞うことが安全面で問題となってきていて、最近では顆粒状のタイプが増えてきています。また、こうした水で薄めて使用するタイプの農薬は、作物全体に農薬を付着させる点で優れていますが、不用意に散布すると飛散するなどして、周辺の環境等への影響が生じる恐れがあります。そのため、散布ノズルを飛散しにくいノズルにしたり、飛散防止カバーを取り付けたりする工夫がされています。

キャベツに農薬をまく様子(写真提供:農薬工業会)

・そのまま使用するもの
粒剤、粉剤、油剤などがこれに該当します。使用目的や有効成分の特性等から、これらの剤型が選ばれることがあります。

農薬使用の現状と無農薬や減農薬への取り組み

野菜

日本の農薬使用量は欧州各国に比べて多い現状

農薬散布

日本での農薬使用の現状について考えていきましょう。2006年のデータでは、我が国の農薬使用量は欧州各国に比べて多くなっていて、これは、日本が温暖多湿な気候であることも影響していると考えられています(※3)。日本の気候条件の中で農薬を使用しないで作物を栽培した場合、水稲や小麦では20~30%、リンゴやモモでは70~90%の減収率となった試験データもあり、安定的な農業生産を維持するために農薬は不可欠な資材です。
農薬は登録時に効果と安全性について厳正な審査を受け、問題がないことを確認されたもののみが登録されています。農業生産の安定と、農産物や環境の安全の両立が図られ、努力が続けられています。

※3 平成24年度 食料・農業・農村白書(農林水産省)

農薬を減らす取り組みが進められている

そんな中、農薬の使用量を減らしたり、無農薬で農作物の栽培を行ったりする動きも広まっています。その中で、「有機農業」と「特別栽培農産物」について紹介します。
有機野菜

・有機農業
2006年に「有機農業推進法」が制定され、国や自治体をあげて進められているのが「有機農業」です。法律において「有機農業」は「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと」とされています。その基本理念は環境を守ることに重点が置かれていて、生物や天然物を由来とする農薬は使用可能です。
生産物を「有機農産物」として認めてもらうためには、植え付け前2年以上の「転換期間」が必要になることや、圃場の周辺に「緩衝地帯」を設けることなどの厳しい制約が多くあります。そのため、なかなか認定事業者が増えないという問題点も指摘されています。

キャベツの虫害

キャベツの虫害(写真提供:農薬工業会)

なしの病害

なしの病害(写真提供:農薬工業会)

水田

雑草に覆われた水田の様子(写真提供:農薬工業会)

・特別栽培農産物
「特別栽培農産物」とは都道府県が独自に認証するもので、「有機農産物」との一番大きな違いは、「転換期間」が必要なく、1年の栽培期間中に農薬や化学肥料を減らせば認証事業所となれることです。具体的には、節減対象農薬の使用回数と化学肥料の使用量が、県内など、各地域で慣行的に行われている使用状況の5割以下であれば認められます。販売するパッケージには「無農薬」という表示は認められていません。

こうした取り組みは、生産者も消費者もともに環境を守り、健康増進に努めたいという思いで成り立ちます。生産して、消費して、そうして循環していくことが大切です。

写真提供:農薬工業会

「農薬」は、温暖で雨の多い日本では、農業を行ううえで必要な存在でもあります。使用する際は防除の必要性を見極めた上で、決められた使用方法を守って使用しましょう。そして、農産物を消費する側も農薬についてしっかりと知識を持って、判断していくことが大切です。
 

【協力】農薬工業会

【参考】農薬をめぐる情勢(農林水産省)

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