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ヒエ(稗)ってどんな食材? ヒエの食べ方や栽培方法についても解説

ヒエ(稗)ってどんな食材? ヒエの食べ方や栽培方法についても解説

縄文時代から食べられている日本最古の穀物、ヒエ(稗)。キヌアなど海外から輸入される穀類のブームがいくつか訪れる中、古くから日本で食べられてきたヒエ、アワ、キビなどの雑穀が見直されています。 新たな食材の一つとして注目されるヒエについて、栄養や食べ方、栽培方法を調べてみました。

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ヒエとは

ヒエはイネ科の作物で、アワと並んで古くから食べられてきました。その始まりは、縄文時代に中国から伝来したとする説や、日本が起源という説があります。ヒエという名前は「冷え」に由来するともいわれるほど寒さに強く、土質を選ばないため、稲や麦が不作のときに代用される救荒作物(きゅうこうさくもつ)としても利用される重要な穀物でした。

最近になって見直された理由の一つは、栄養価の高さです。イネ科の穀類ですが、栄養バランスの良さは白米よりもずっと上。動物実験で血中のHDLコレステロール値を高める作用が報告されているほか、タンパク質、腸の働きを整える食物繊維、骨や歯を作る助けとなるマグネシウムなどの栄養素が白米と比べて豊富に含まれています。

ヒエの食べ方

刈り取り後のヒエの乾燥の方法であるヒエ島。岩手県県北で撮影(写真提供:農研機構)

従来は、白米のように炊いて食べるか、白米に混ぜて炊くのが一般的でした。しかし、炊きたてはクセがないものの、冷めるとパサパサになるため、現在ではいろいろ工夫されたレシピが登場しています。

炊いたものをコロッケなどの揚げ物に

炊いたヒエは固めると白身魚の食感に似ているためフライなどの揚げ物にするほか、パラパラ感を生かしてチャーハンにするなどしても、おいしく食べられます。

なお、最近ではアミロースを含まない「もち性」のヒエ、「長十郎もち」が開発されており、こうした品種では「もちもち感」があり食味が大きく改善しています。

ヒエの栽培方法

種をまく時期は5月頃が最適。早生の品種だと、種をまいてから80〜90日で出穂(しゅっすい)します。種をまいた後は、1.5〜2センチくらい土を被せましょう。3センチ以上被せてしまうと、発芽が遅れてしまうことがあるので注意が必要です。

発芽後10日くらい経ったら、混み合っている部分の間引きを行いましょう。その後7日ごとに、計2〜3回ほど間引きを行い、30センチの間に10株くらいがある状態にします。間引き後には、畝間や株間の除草を行いましょう。

出穂後1カ月ほど経ち、茎や葉が黄色く色付き始め、手で握って粒が落ちるようになったら収穫の時期。穂首から40センチくらいの長さに刈ったら、束ねたものをつるして乾燥させましょう。十分に乾いたら、シートなどの上に穂を置き、棒などで叩いて脱穀します。その後、ふるいを使ってゴミなどを取り除いたら、精白を行いましょう。ヒエの精白には水洗・浸漬した後、蒸煮してから精白する黒蒸法(くろむしほう)、水洗・浸漬しないで蒸煮後乾燥して精白する白蒸法(しろむしほう)、水洗浸漬しないで軽く乾燥してから精白する白干法(しらほしほう)などが用いられますが、粒が小さく殻が固いことから精白に手間のかかる穀物と言えます。

網掛けをしたヒエの栽培(写真提供:農研機構)

ヒエはスズメなどによる食害が多いため、出穂後は特に注意が必要です。収穫するヒエが全くなくなってしまうということがないように、防鳥網などでしっかりと対策を行いましょう。

また、ヒエは麦、大豆、ジャガイモなどとの輪作(同一の農地でさまざまな作物を一定の順序で作付けする農法)に適しているため、昭和30年代までは、これら作物を組み合わせた2年3作体系の輪作が行われていました。

ヒエは水田でも畑でも栽培可能であり、栄養価は白米よりもずっと高いので主食としてもおすすめ。皆さんも、この記事をきっかけに、ヒエを食べてみてはいかがでしょうか?
 

監修:農研機構 東北農業研究センター 渡辺 満

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