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大豆の栽培は暦に合わせた作業が重要! 栽培方法の完全マニュアル

大豆の栽培は暦に合わせた作業が重要! 栽培方法の完全マニュアル

日本の食卓に欠かせない大豆。子実が完熟する前に食べる枝豆や、近年では大豆の一種である黒豆も人気です。畑の肉とも呼ばれる大豆は、健康ブームで更なる消費拡大が予測されます。豆腐や納豆、豆乳へ加工するなどアイデアが広がりますね。
マメ科なので連作するのは望ましくないですが、ポイントを押さえれば大豆は比較的栽培がしやすい作物です。地域によっては春から栽培できますので、来年の収穫を目指してチャレンジしてみてはいかがでしょう。

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基本の大豆栽培方法

大豆は、温暖な気候を好みますが、霜害には注意して種まきや植付け時期を選びます。連作は望ましくないので、一度栽培したら3年は同じ場所でのマメ類の栽培を避けてください。

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<下準備>

種の直まき、または苗の定植の2週間前までに畑の全面に石灰をまき、軽く耕しておきます。播種(植付)前に元肥を1平方メートル当たり化成肥料で20~50g、有機質肥料なら1週間前に50~100g施用して土とよく混和し、排水をよくするために幅40cm・高さ10cmほどの畝を作ります。土の温度や湿気を保ち、雑草よけのためにもポリマルチをするとよいでしょう。

<種まきと定植>

豆のおへそ。白目(左)と黒目(右)(写真提供=農研機構)

種をまくときは、直まきでもポリポットまきでも、深さ約2cm程度に3~4粒をまいて、土で覆います。豆の「おへそ」を横に向け、深く埋め過ぎないように注意してください。間隔は、一つの畝に一列で20cmほど離しておきます。なお、ポリポットを使う場合は、6~9cmサイズが適当です。大豆は発芽から生長の初めにかけて土の水分が高いことが苦手なので、土が乾いたら水を上げる程度にします。

5日前後で子葉が地面から出てきます。次の初生葉が開いてくるまでに、2本を残して間引きます。間引くときは、芯が太くてしっかりした芽を残し、元気がないものを抜きます。

子葉が欠けていたり(上部左)、初生葉に傷があったり(上部右、下左)、子葉に傷がある(株左)ものは間引くとよい(写真提供=農研機構)

ポットまきでは、まいてから10~15日後、初生葉が開いてきたら定植します。大豆は茎の部分からも発根しますので、子葉のすぐ下ぐらいまで深く植えても大丈夫です。
子葉がハトなどに食べられないようにするには、当初はポットまきにするか、直まきの場合は2週間ほどは防鳥ネットやテグスを張ったり、べたがけをかけたりしておきます。

初生葉(上)と子葉(下)(写真提供=兵庫県農政環境部 農林水産局)

葉が黄色っぽくなったり生育状況が悪かったりするときは追肥します。本葉が2~3枚出てきたら、株の周りを優しく耕して、株元に土を寄せます。株元の発根が促されますし、倒伏防止にもつながります。花が咲き始めるまでに、2~3回これを行ってください。

土寄せをしたところ(写真提供=農研機構)

本葉が5枚ほど出てきたら、茎の最上部を摘み取って、脇芽の成長を促します(摘心)。脇芽が成長した分枝にはさや付きがよいことが多いです。

右下に赤丸で囲っているのが初生葉。左側に青丸で囲っているのが本葉(写真提供=農研機構)

葉がたくさん茂ると蒸散がどんどん盛んになってきますので、土の表面が乾いたころに適度に水をやります。花が咲く時期に土が乾燥し水を十分吸うことができないと花が落ち、実がつかなくなることあります。さや付きを良くするためには土の水分状態がとても重要ですので、マルチや敷きワラ、水やりをして、土が乾かないようにします。さやが大きくなり始めてからも土が乾きすぎないように適度に潅水してください。

<収穫>

大豆の花が咲いたところ(写真提供=兵庫県農政環境部 農林水産局)

丈が80cmほどに成長し白、紫、赤紫の花が咲いた後、さやが出来てきます。花の色は品種で決まっています。枝豆として食べる場合、種まきから80~90日(早生種)、90~110日(中生種)ほどで収穫できます。株の中央部のさやが膨らんで、実が固くならないうちに株ごと引き抜くか、熟したさやから順番に収穫を。

枝豆が実ったところ(写真提供=兵庫県農政環境部 農林水産局)

大豆として収穫する場合は、さやが黄緑から黄色、さらに薄茶色へと変色し、実が成熟してから収穫します。枯れた葉がほとんど落ち、茎や大部分のさやは乾いて茶色になり、さやを振るとカラカラと音がすると収穫期です。株を根から丸ごと引き抜くか、根元で刈り取ります。さやに入ったまま豆を干して、さやの中の子実を噛んでも歯形がつかなくなるまで乾燥させます。ただし、乾燥が進むと、品種によってはさやが自然に裂けることがありますので、よく注意してください。雨の当たらない風通しのよい場所で株ごと網袋にいれて陰干しするとよいでしょう。

収穫期の大豆(写真提供=農研機構)

実が育つ時期にカメムシがつくと、さやが落ちたり子実にあざができたりしますので対処が必要です。大豆を防虫ネットで覆ったり、カメムシを大豆から払い落としガムテープなどに張り付けて処理したり、効果のある家庭用の農薬などで防除しましょう。

青立ちした大豆の株(写真提供=農研機構)

大豆栽培は土作りが肝

大豆栽培に適しているのは、日当たりがよい場所で、有機質を多く含み、保水力のある土です。作付け前に堆肥を入れてよく土を耕しておくことで、土中の有機物を増やし、保水性を増します。
大豆は丈夫な作物ではありますが、強い酸性やアルカリ性は苦手なので、土中酸度はpH6から6.5程度を目安に、石灰などで土作りをします。根に付いた根粒菌が空気中の窒素を固定してくれるので、窒素肥料は少なめで大丈夫です。

黒大豆の栽培方法と時期

黒大豆。黒豆ともいう

黒豆は子実の薄皮が黒色の大豆の種類で、薄皮の部分にアントシアニン系の色素を多く含むため黒い色をしています。黒大豆は晩生のものが多いですが、栽培方法は基本的に通常の大豆と変わりません。
通常の大豆と比べて大きく育ち、分枝も横に広がることから倒伏しやすくなりますので、株元にしっかりと土寄せしたり、支柱を用いたりして倒伏を防ぎます。そうすることで、さや着きも良くなって、一般の白い大豆と比べると粒の大きい子実が収穫できます。
一般に秋から出始めの黒豆は北海道産が多く、一般の大豆と同様のあっさりした味ですが、正月のお節料理で人気のある「丹波黒」は濃厚な甘みが特長です。近年は「エダマメ」としても人気が高まり、東北地方が産地の茶豆のエダマメと同様に、需要が伸びています。

暦に沿った栽培管理

大豆は20~25度ほどのやや暖かい気温でよく育ちますが、極端な暑さや寒さへの耐性はありません。冷涼地での早播きは晩霜害のおそれがあります。そのようなことを考慮して、種まきは、冷涼地では5月下旬から6月中旬、中間地では6月上旬から7月上旬、暖地では6月中旬から7月中旬が適当とされています。まくのが遅れたときは、植え付け間隔を狭くしたり、遅まきに向いた品種にかえたりして対処します。
大豆には様々な品種がありますが、一日の日の長さ(日長時間)や温度に対する開花・結実の反応で夏大豆型、秋大豆型、中間型に分類できます。かつて西日本では春播きし夏に収穫する夏大豆と夏播きし秋に収穫する秋大豆が作られていました。夏大豆は温度に敏感ですが、日長には反応が鈍い品種です。逆に秋大豆は日長が短くなると開花や結実が進む種です。夏大豆型には夏大豆のほかに北海道の品種が含まれます。秋大豆型には九州や四国の晩生の品種や丹波黒などが含まれます。本州で栽培されている大豆品種の多くは中間型品種です。
 収穫までの栽培期間の長短で品種を早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)に分けることがあります。早生品種は早播きに適しますが、晩生種は茂りすぎてしまうので早播きには適しません。栽培する時期や地域に合わせて育てる品種を選んでください。
大豆の生育時期、その時期に行うべき農業作業、注意すべき病害や虫害の防除などを整理してカレンダーに書き込んだ栽培暦を地域の生産者向けにJAや普及指導センターが作成しています。インターネットに出ているものあります。実際の作業には自分の地域の栽培暦を参考にするとよいでしょう。

大豆はプランターでも栽培可能

連作をせず、水はけをよくしておけば、大豆は栽培が比較的やさしい作物。もちろん、プランターでも育てることができます。
野菜用の土をプランターに入れ、畑にまくときと同様に株の間を20cmほどとって種をまきます。種は1か所に3~4粒ずつまきます。芽が出るまでは、土が乾いていたら水をやる程度でOK。芽が出たら間引きます。
苗から栽培を始めたい場合は、茎が太く、葉の色が濃い、元気そうな苗を選びます。苗と同じぐらいの穴を掘り、そこへ苗を植え替えて株元に土をかけ、底から水が出るぐらいたっぷり水をやります。
定植以降は、基本の育て方と大きな違いはありません。ただし、プランターだと土の深さが限られますので、土の乾き具合に注意して、水やりを怠らないよう気をつけてください。生育が進むと葉が茂って倒れやすくなりますので、支柱やテープを使って倒伏を防ぎましょう。

【取材協力・写真提供】
兵庫県農政環境部 農林水産局/寺尾勇人
兵庫県立農林水産技術総合センター/牛尾昭浩

【監修・写真提供】
農研機構 西日本農業研究センター 浜口 秀生

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