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創業者は日本人 タイ・オーガニック農業の現場を視察

創業者は日本人 タイ・オーガニック農業の現場を視察

マイナビ農業は、タイの農業事情を日本の生産者とともに、視察するツアーを2019年1月21~26日に開催。生産者らは現地バイヤーとの商談会に参加したのち、タイ中部・カオヤイ山脈のふもとで、オーガニック農法で農業を営む「ハーモニーライフ農園」を視察。農園を経営する大賀昌(おおが・しょう)さんにタイの農業事情を聞きました。

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未経験でも奮闘、オーガニック大国で就農


少し意外にも感じられますが、タイはオーガニック先進国です。王室が旗振り役となり、オーガニック農産物の輸出にも力を入れています。有機野菜のコーナーが設けられているスーパーも少なくなく、オーガニック栽培の農地も右肩上がりに増え、消費者への認知も年々高まっているといいます。

首都バンコクから車を走らせて約3時間、在タイ日本人から「タイの軽井沢」と呼ばれる避暑地・カオヤイに到着します。山脈のふもとにある18ヘクタールの農地で、100種類近くの野菜やハーブ、果樹を有機栽培で栽培している「ハーモニーライフ オーガニック農園」を訪れました。

ハウスで育てられていたキュウリの苗

農園を経営する大賀さんは、日本の医療機器メーカーに就職し、現地法人の社長としてタイへ渡航。環境や健康問題に強く関心を持っていたため、農業に興味を持ちます。一年中温暖で、手付かずの広い土地があるタイを舞台に、未経験ながらも農家として、自らの手で安全で環境に優しい作物を生産することを決意します。まだタイでは有機栽培がメジャーではなかった1999年に、カオヤイの農地を購入し、有機栽培を行うハーモニーライフ農園を設立しました。

初めの5年間は虫害に苦しめられ、作物が全滅する被害も経験しました。タイは雨季が6~10月と長いため、根腐れなどの病気が起きがちです。そこで有用微生物の働きに着目し、土壌改良を重ねることで質・量ともに劇的に改善しました。強い甘みが自慢のニンジンは、一年を通して収穫ができているといいます。

タイのオーガニック認証は取得・維持コストが無料

場で参加者に説明をする大賀さん。とれたてのニンジンを試食させてくれました。

現在、農園では世界10か国以上に輸出し、国からオーガニック農業のモデル農園として指定されています。主要な取引先は、厳格な審査基準で知られる、アメリカの高級オーガニックスーパーチェーン「ホールフーズマーケット」です。ホールフーズとの取引は、大賀さんの悲願だったといいます。

また、国内外から合計6000人以上の研修生も積極的に受け入れてきました。半数以上はタイからですが、マレーシア、ベトナム、ラオス、カンボジアなど東南アジア諸国からの訪問が多いといいます。バンコク市内には自社のオーガニックスーパーとレストランを持ち、女性客を中心ににぎわいます。

日本とタイの有機農業の違いとして大賀さんが強調したのが、オーガニック認証取得にかかるコストです。

農園ではタイをはじめ、ドイツ、イタリア、カナダ、アメリカのものなど合計6つのオーガニック認証を得ていますが、いずれも日本の有機JAS認証よりも取得・維持費用は安いといいます。特にタイ農業省の認可「Organic Thailand」は、政府の支援により無料でオーガニック認証を取ることができ、保持のための追加費用は不要だといいます。

日本でアスパラを作っている生産者らが、タイのアスパラ畑を見学

「認証をたくさん取ればよいのではなく、どこに輸出するかを考えて認可を取ることが大切。国によってルールが異なると生産者の負担が大きく、世界共通のものができれば、もっとオーガニック食物の消費が進むのではないか」と話しました。

甘みたっぷりの有機野菜を堪能

視察ツアーの一環として農園を訪れた日本の生産者らは、農園の広大な圃場を見学。地下150メートルからくみ上げた水を貯蔵するため池や、様々な種類の露地野菜やハーブに果樹、ハウスで育てているミニトマトやゴーヤ、日本のキュウリといった野菜の栽培現場を見て回りました。

生産者らは、「肥料の種類は何か」、「それぞれの作物は一年に何回とれるのか」「通年雇用の従業員は何名か」など、日本と異なる条件下での農業経営に関する質問を、積極的に投げかけていました。(※ハーモニー農園では、緑肥や自家製の鶏ふんを使い、レタスは年5~6回のローテーション、生産と加工を併せて約70人を通年で雇用し、社員寮も用意しているということでした。)

モロヘイヤを使った農園オリジナルの加工麺や、甘味たっぷりのニンジンのかき揚げ、バナナの花をカレー風味に炒めた料理など、採れたて野菜をたっぷり使ったランチに舌鼓をうち、タイの有機農業の現場を学ぶ視察を締めくくりました。

【関連リンク】
ハーモニーライフ農園

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