「最近は、園芸愛好家やメディアの方から、『珍しい品種ないですか?』とお問い合わせいただくことが増えています。野菜も同じですが、付加価値の高いものや変わったものが求められる傾向にあります」と荒木さん。園芸ファンにおすすめできる、個性派ながら育てやすい品種3つを紹介してくれました。
アレンジメントに最適!世界初、上を向いて咲くヒマワリ
まずおすすめ頂いたのは、世界で初めて完全に真上を向いて咲く「F1サンリッチUP(アップライト) フレッシュオレンジ」です。
「アップライト」とは「直立」、「真っ直ぐ立つ」という意味で、首を曲げずに上を向くためミニブーケなどに使いやすく、アレンジメントの幅を広げてくれます。
菊やガーベラの真上を向いて花を咲かせます。花粉が出ないので、テーブルや衣類を汚さずに飾ることができます。夏季は種蒔きから45日で開花します。
「ヒマワリは、露地やプールのわきに生えているような元々作りやすい植物」と荒木さんが話すように、親しみやすい花ながら、咲き方が珍しいため、今までと違った楽しみ方ができます。
<育て方のワンポイントアドバイス>
周年での栽培が可能ですが、夏の露地に咲かせたい場合は、4~6月撒きが適します。30℃以上になると発芽が鈍ってしまうため、酷暑の夏場は遮光するなどして地温を下げましょう。
神秘的な香りで夏の夕べを飾る 新しいペチュニアの楽しみ方
ペチュニアは、品種改良が最も進んだ草花の一つ。鮮やかで豊富な花色や八重咲き、絞り咲きなどバラエティーの多さで、幅広い園芸ファンから人気を得ています。
いままでは見た目に光を当てられがちだったペチュニアのなかで、世界で初めて芳香性を持つ品種が誕生しました。
「香りはとても甘く、華やかなイメージです」と荒木さん。ハチミツやローズ、ヒヤシンスを連想させ、夕方や夜中にかけて最も香りが強くなる、というとても神秘的な品種です。
花が咲き進めるにつれ色が変わるため、濃淡のグラデーションを楽しむこともできます。花の香りを近くで感じることができる、プランターや鉢植えがおすすめ。
<育て方のワンポイントアドバイス>
病害虫がなく、株全体がいきいきしていて、株元がぐらついていない苗を選びます。植え付け後は日当たりのよい場所に置き、土の表面が乾いてきたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。開花期は、根を傷めてしまうので高温期の水やりは避け、日が高くなる前の午前中に行います。
花数を増やすためのポイントは、切り戻し(ピンチ)。初心者ほど躊躇(ちゅうちょ)しがちな作業ですが、開花させるまでに2~3回行うことで、わき目の発生を促し多くの花が咲きそろいます。
大人カラーが人気◎ 暑さに強いゼラニウム
ヨーロッパの街の窓辺を飾る鉢花として普及し、日本でも鉢植えや花壇を彩る植物として人気の高いゼラニウム。
以前は暑さが苦手で真夏には咲かず、花がすぐに終わってしまうイメージでしたが、品種改良で対暑性に優れた丈夫な品種がたくさん登場し、花色のバリエーションも増えました。
2018年に発売した「ムーンライト」シリーズは、「夏場もきれいに色づく品種」(荒木さん)。比較的コンパクトにまとまり、開花と生育の揃いがよく、とても作りやすいこともいちおしの理由です。
「人気のものは、アンティーク調で、大人色のものです」と荒木さんが表現する通り、落ち着いた色合いの花と、少しくすんで落ち着いた色の葉がシックで素敵です。
他にも「サニーデイ」シリーズには、真っ赤など基本の花色から、白やピンクの花弁に赤やローズ色の大きな斑点模様が入るといった斬新なものまで、豊富なラインナップが揃います。
「マチルダ」シリーズは、咲き終わった花弁が自然に落ちる「セルフクリーニング」の特性を持つので、花がら摘みの手間があまり掛かりません。一株でこんもりとまとまるのも特徴です。
<育て方のワンポイントアドバイス>
植え付けに適しているのは、3~5月。水はけのよい土を使って鉢植えにし、日当たりの良い所に置きましょう。過湿に注意して、乾燥気味に管理するのが良いということです。長期間咲くので、適宜液肥を与えてください。
タキイ種苗いちおしの3品種、いかがでしたか?ひと味違う長所を持つ、個性派揃いながら、育てやすさが魅力なので、ぜひ今からでもチャレンジしてみてください。
>>種苗会社に聞く、いま育てたいおすすめの花&野菜 記事一覧はコチラ