県下屈指の農業地帯・一戸町とは
岩手県北部に位置する一戸町では古くから、高原野菜の生産を中心とした多種多様な農業を基幹産業としてきました。全国的に有名なのが、東北屈指の生産量を誇るレタス栽培。丘陵地いっぱいに広がる夏のレタス畑は町を象徴する景観の一つで、このほかにも盛んに行われる酪農や、果樹やトマトなどの生産と、県内有数の農業地帯たるゆえんが町のいたるところからうかがえます。
「農業を始めたい」。その夢、一戸夢ファームが応援します!
そんな一戸町に、次世代農家の育成を手掛ける研修施設『㈱一戸夢ファーム』が設立されたのは2013年2月。ここでは同町農業の柱である野菜や園芸品目を中心に、アドバイザーやコーディネーター、地元農家らプロの指導を受けながら農業のイロハを学ぶことができます。やりたい農業カテゴリをじっくり決めつつ、現代農業において必要とされるさまざまな知識や情報、技術を身に着けたのちに満を持して農家デビューできるシステムが構築されており、地域の担い手確保の根幹を支えています。
「IoTなどの革新的な技術に触れられるだけでなく、作りたい品目を重点的に学ぶこともでき、研修生のニーズにも応えやすい。これらが、一戸夢ファーム最大の特徴だと思います」と話すのは、同施設で教鞭を執る高橋寿一さん。特にトマト栽培の環境制御システムについては県下随一の設備を有しており、時代に即した農業を学ぶ上でも非常に有効といえます。研修ではこのほか、実験的に新品種や新栽培技術の開発を行う場面も。先人たちがこれまで培ってきた農業技術や経験を次の世代に伝えるだけでなく、新たな技術を確立して地域に還元するという側面も持ち合わせています。
わたしはこうして農業人へ
心機一転、料理人から農業へ挑戦。屋代英明さんの研修日誌
昨年5月に入校し、一から農業を学んでいる同県二戸市出身の屋代英明さん。これまで15年以上にわたって料理人として活動してきましたが、農業が持つ面白さと可能性に魅せられて就農を志したといいます。きっかけはベトナムでの料理人時代に、仕入先の契約農家農場で野菜を収穫した時のこと。「農業って面白そう。自分も作ってみたい」と直感的に感じたのがはじまりだったといいます。心機一転、農家への転身に挑戦した屋代さん。研修を通して、この思いは確信へと変わっていきました。「やはり農業は奥が深くて面白いです。実験的に農作業を行うこともでき、日々新しい知識や経験を蓄積できるのは大きいですね」。
作業が限られる冬季は、座学で農業知識を深めることができるのも夢ファームを選んだ決め手の一つ。「実家が農業をしているわけでも、自分自身に農業経験があるわけでもなかったので、いかにして農業で生計を立てていくかを勉強したかったんです。ゆくゆくはトマトやニンニクの生産を中心に、どんどん農地を拡大していきたいですね」。敷地内の畑を練り歩きながら、夢ファームでの生活と今後の展望を話してくれました。
夫婦二人三脚で歩むリンドウ栽培
実家近くの農場でリンドウの栽培を営む坂本守さん・久美子さん夫婦。今年3月に夢ファームを卒業し、晴れて新規就農する夢をかなえました。前職では東京都のIT企業に勤務していましたが、「地元に帰って農業をやってみたい」との思いから、Uターン就農に至ったといいます。実家が畜産を営んでいたとはいえ、自身の農業経験はほとんどなかったという坂本さん。「経験もなく、いきなり農業を始めるのは無謀」との久美子さんの一言もあって3年前、夢ファームでの研修を決断しました。
栽培品目は講師である高橋さんの勧めもあり、初期投資の少ないリンドウを選択。研修1年目は町の主要作物を中心に学び、2年目からはリンドウに特化して栽培技術や知識に磨きをかけたといいます。
「夢ファームでは、農業のための基礎的な知識だけでなく、やりたいことを実現するための方法を学びました」と坂本さん。今後もリンドウ一本で作付面積の拡大を目指していくといい、「地域の年配の方でも作業できるような労働環境を整備し、安定的な経営を目指していきたいです」と力を込めました。
就農の夢をバックアップ。一戸町で農家デビューを
岩手県や一戸町ではさまざまな支援制度が整備されており、新規就農者の背中を押しています。
一戸夢ファームでの2年に及ぶ研修期間中も、農の雇用事業による年間最大120万円の給付を受けながら農業を学ぶことができます。
町でも新規就農者の育成を図るため、住宅や農地の斡旋のほか、農業技術や経営管理に関する指導など独自の支援事業を行っています。新規就農者や農業への再チャレンジを試みる方への就農資金の助成も行っており、営農初期の経営安定化を図るための施策が整備されています。
一戸夢ファームでは現在、新規就農などを目指す農業研修生のほか、短期研修生を併せて募っています。「農業をやってみたいけど経験がない…」、「農業に興味はあるけれど、やりたい品目が定まらない…」。こうした思いを抱いている方はぜひ、夢ファームで農業のノウハウを学び、農業人としてのデビューを目指してみてはいかがでしょうか。
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なお、一戸町は2019年6月15日に仙台で開催される「就農FEST」に参加します。
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問い合わせ先
一戸町役場 農林課 農業振興係
〒028-5311
岩手県二戸郡一戸町高善寺字大川鉢24-9
TEL:0195-33-2111
E-mail:nourin@town.ichinohe.iwate.jp
▼白と緑のエッセイ 岩手県一戸町
http://www.town.ichinohe.iwate.jp
(株)一戸夢ファーム
〒028-5134
岩手県二戸郡一戸町奥中山字西田子75-45
TEL:0195-35-3775
▼はじまりは、夢ファーム
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