人気直売所での実証実験

スタッフが利用登録をアシスト
開店と同時に大賑わい
朝9時。開店と同時に徒歩で、自転車で、車で、次々とお客さんが集まってきて、30分もすれば店内は大勢の人であふれ返ります。
2004年に開業し、柏市に根付いた「かしわで」は、柏市民だけでなく、隣の流山市など周辺地域の人たちも足を運ぶ、人気の直売所です。
お客さんのみならず、生産者からの信頼・評価も高く、ネギ、カブ、ホウレンソウをはじめとした地元の農産物を中心に、東は青森、西は愛媛や熊本など、縁のある遠方の農家の果実類も揃え、彩り豊かで個性的な店づくりを行っています。
お客さんがスマホから次々と利用登録
レジでお客さんのカゴの中に入れられる「チョクバイ!」のチラシ。「チョクバイ!」とは、直売所で農産物を売る生産者と、それを買う生活者とをつなぐ、インターネットを利用した新しいサービスのことです。常にスマートフォンを持ち歩く比較的若い世代がチラシに反応するのを見て、このサービスを提供する株式会社ファーマーズ・ガイドのスタッフが口頭で案内。利用登録をお勧めします。
登録にあたっては、自分のメールアドレスがわからなかったり、パスワードの設定に戸惑ったりする人もちらほら。しかし、普段からスマートフォンを使いこなしている人には、別段ストレスを伴う作業ではありません。
電子スタンプの新鮮なインパクト
お客さんにとって、このサービスの最大の楽しみは「電子スタンプ」です。1日1回の買い物ごとに専用のスタンプツールでスマートフォンに“押印”。実際のスタンプを想起する独特の手ごたえと、ポイント獲得のチャリンという心地よいサウンドが新鮮な印象を残します。
開始から5日間で、20~60代の女性を中心にトータル122人が利用登録。その場で登録してくれた人たちには、特別にお米がプレゼントされました。
人気直売所の課題
信頼できる「サポーター」を増やしたい
大手スーパーの攻勢などもあって、直売所を取り巻く状況は厳しくなっている、と語るのは、店長を務める海老原康夫(えびはら・やすお)さんです。
「しかし、うちには1000人のサポーターがいると思っています」
つまり、質の高い農産物を売ることで地域の農業を活性化する、という「かしわで」の設立理念を理解し、支えてくれるお客さんが1000人いるということです。この人たちを大事に考え、同等のレベルのサポーターを増やしていくのが、今後の大きな課題だと言います。
新しい活性化ツールとして
そんな課題に応じる最適なツールが、ファーマーズ・ガイド提案の「チョクバイ!」でした。
「デジタルに強い若い人は、こういうツールをうまく活用するだろうと導入しました。投資費用として利用料もリーズナブルだし、私自身も面白そうだなと思っています」(海老原さん)
海老原さんがこのサービスの趣旨に賛同し、今回の実証実験にも協力した背景には、全国に共通する高齢化問題があります。
双方の世代交代を見越して
「開業15年。当然、生産者も、お客様も、15年分、年を取りました」(海老原さん)
そんな中、海老原さんは過去の常識にとらわれず、情報発信力に長(た)けた若い生産者、新規参入の生産者らがこのサービスを有効活用してくれることをイメージ。お客さんとの活発なやり取りが展開し、この地域の農業・農産物をめぐるストーリーが作られていくことを期待しています。
新たなサポーターとして見込んでいるのは、近年移り住んできた子育て世代など、スマホ使いの若い人たち。その向こうに「かしわで」の未来像が見えているのかもしれません。
直売所のマーケティングをトータルプロデュース

サービスを開発したファーマーズ・ガイドの社長、中島さん
ホームページもメルマガも店内POPも
「チョクバイ!」の特徴は、直売所で農産物を売る生産者と、買い手である消費者とが、ネット上で1対1で話し合えることです。
ファーマーズ・ガイドは、写真や文章などの素材をもとに、生産者にそれぞれのホームページ、メールマガジン、店内POPなどを制作して提供。SNSやブログと同様に、作業の様子、仕事に対する意気込み、旬の作物のニュースなど、タイムリーに生産者の情報を発信できるようにしています。

スタンプ利用登録者に届けられるメールマガジンも「チョクバイ!」のサービスの一部
ネット上でより便利に、より柔軟にコミュニケーション
一方、利用登録者はそれらの情報に対して自由に応援メッセージ、質問、意見や提案などを送ります。それとともに、直売所に来店すれば、先述のチャーミングな電子スタンプを貯めることでお得なクーポンを得られます。いわば、生産者と消費者が互いに協力して、地域の農業を活性化する仕組みになっているのです。
イベントやバスツアーなど、双方が直接触れ合うコミュニケーション企画には、時間や労力の面で限界があります。「チョクバイ!」は、それをネット上でより便利に、より柔軟な形で広げられるツールだと言えるでしょう。
生活者を巻き込むことで直売所は進化する
このサービスを開発したファーマーズ・ガイドの社長、中島慶人(なかしま・よしと)さんは、農家の多品種少量出荷を可能にした直売所の役割を研究。鮮度や安心・安全の上に付加価値を乗せて提供する、よりレベルアップしたステージに移行すべきと考えました。
そして「それは生活者を巻き込むことによって実現できる」と明言します。
確かな手ごたえを感じてサービスを展開
今回の実証実験では、十分な手ごたえを感じたのに加え、直売所が抱える課題もより詳しくつかめたと言う中島さん。「かしわで」での貴重な実績をもとに、今後、地域の農業を盛り上げ、地産地消を促すこのサービスを全国へ広げたいと構想しています。
【関連リンク】
チョクバイ!eスタンプ