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客土なしで夏イチゴを10年連作。安心・安全な蒸気消毒法で労力とコストを大幅削減!

客土なしで夏イチゴを10年連作。安心・安全な蒸気消毒法で労力とコストを大幅削減!

札幌市や新千歳空港から車で約1時間の道央圏に位置する栗山町。この町でイチゴ専門の農家を営む『ファームうかわ』は、連作障害を防いで収量を安定させるため、約15年前に蒸気土壌消毒機を導入しました。効果的な使用方法を長年試行錯誤し、今では土壌消毒に農薬を使わない安心・安全な栽培と、それにかかる時間や労力の大幅な改善を実現しています。「いろいろな土壌消毒を試してきて、蒸気が一番」という代表の鵜川豪紀さんに、そのメリットや導入方法を伺いました。

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病気からイチゴを守るためにたどり着いた消毒法

「蒸気で土壌消毒するようになってから、病気はほとんどありません」と、代表の鵜川さん

約20年前からイチゴ専門の農家を営み、現在は「赤い妖精」という四季なりイチゴ約2万9000株を約54aの規模でハウス栽培している鵜川さん。家族4人と、数名のパートさんが農作業に従事しています。
生産量の約7割はバイヤー契約のため、安定した出荷が欠かせません。「今までいろいろな品種を作ってきて、規格外が少なくて収量に波がないこの品種に落ち着きました。酸味があって中心部まで赤くなるから、ケーキ用やジャムなど加工用に最適なんです」。
収穫がピークを迎える7月末から10月半ばには、1日1000~1200パックを出荷しています。

イチゴは連作障害が起こりやすいため、その対策として導入したのが蒸気土壌消毒機でした。栽培を始めた当初は周辺の農家と同じようにバスアミドやクロルピクリンなどの農薬を使っていましたが、病原菌がどうしても残ってしまう。自身が求める効果が得られるものを探した結果、たどり着いたのが蒸気土壌消毒だったそうです。

「周辺にもイチゴやトマトの産地があるけど、みんな一番悩んでいるのが病気。連作障害は必ず起こるんです。その頃、国の中山間地事業の補助金が北海道にも当たるようになって、自治会でみんなが共同で使えるものをと、真っ先に蒸気土壌消毒機を購入しました」

土耕からハンモック式の高設栽培に替えて蒸気消毒の効果を実感

蒸気土壌消毒は、水道水や農業用水などの水を高温の蒸気に換え、土壌に注入することで病害虫の駆除を行う消毒法です。
毒性がないため、農薬を使用した後なら2~3週間かけなければいけないガス抜きも不要。いいこと尽くめの消毒法ですが、導入当初は効果的な使い方が分からず、納屋にしまいこんでいた時期もあったと言います。

効率的な蒸気消毒の方法を模索し、土耕栽培から高設栽培へ移行

ようやく活用できるようになったのは、ハンモックを使った高設ベンチ栽培に切り替えてからでした。「うちは最初、土耕栽培だったんです。蒸気消毒したら最初は良かったのに、後から病気が倍増してしまう。通路から入ってくる菌が原因だと分かってからは、ベッドが隔離され通路の影響を受けない高設に切り替えていきました」と鵜川さん。
初期投資は大きいものの、「病気で毎年ハウス2~3棟分の収量が減っていたことを考えると2~3年で元が取れる」と、踏み切りました。

培土は北海道の良質なピートモスと火山礫。蒸気消毒をすると水はけが良くなるので株が呼吸しやすくなるそう

効果があることは確信していたので、病気が入っても諦めず、一つ一つ原因を探りながらより効率の良い使い方を模索。今の圃場に最適な方法を確立しました。

蒸気消毒の徹底で省力化と収量UPを同時に実現

土壌中の病原菌や害虫、雑草の種のほとんどは60度以上の蒸気で40分熱すると死滅しますが、鵜川さんのハウスでは80度で1時間かけて消毒しています。

「土の中には石や土の塊もあります。その中まで80度の熱が届くには30分以上かかる。以前はそれが分からず、温度計で80度になったら『終わった』と片付けていましたが、その時点では塊の中の方はまだ50~60度。消毒し切れていないから、結局後から菌が増えてしまっていたんです。消毒に時間をかけるとボイラに使う灯油代はかかりますが、その分、歩留まりが高い。病気が出なくなったおかげで、収量が格段に向上しました」

隔離ベッドに蒸気が送られ、マルチが膨らんでいる様子

土壌消毒は毎年作付け前と、翌年の定植に向けて11月頃に行います。鵜川さんのハウスでは、50mずつマルチを張り、機械につないだホースから複数のベッドに一度に蒸気を送って消毒します。100mのハウス1棟にかかる時間は約8時間。
高設は隔離ベッドの中だけを効率よく消毒できるため、土耕に比べ土壌温度が上がりやすいのもメリットです。消毒後の土は水はけが良くなるため丸一日かけてしっかり水やりし、菌体とボカシ肥料を入れればすぐに植え付けできます。

蒸気消毒後、およそ3~4日後には植え付けしています

「準備は1日でできますし、土壌消毒の3~4日後には植え付けできるので、農薬のガス抜きに2~3週間かかっていたことを考えたら、比較にならないほど効率化できました。高設でイチゴやトマトを作っている人ならきっとすぐ真似できると思います。それに高設にしてから10年近く経ちますが、客土は一度もしていません。土の出し入れにかかっていたコストがほぼ無くなったのもうれしいですね」

時間に余裕が生まれ細かな手入れができるようになったことで、圃場もどんどん良くなってきたそうです。

省力化と安全・安心を両立し、農作業の環境を改善

鵜川さんは「蒸気消毒は農家が安心して使えます。きちんと消毒できて、しかもクリーン。これが一番」と太鼓判

蒸気土壌消毒に使うのは水だけ。農薬を使用しないから人にも地球環境にもやさしく、農作物も安全・安心です。店と取引の際にも、蒸気による土壌消毒は評価が高く、「蒸気消毒で栽培しているので安心です」とアピールしてくれたお店もあったそうです。鵜川さんは「蒸気消毒で作った安全なイチゴという点もウリの一つになりました」と言います。

「当社に入る土壌消毒の問い合わせも、スーパーの店頭で農家さんの取り組みを見てというのが多いですね」と話すのは、昭和39年に蒸気土壌消毒機を国内で初めて開発したパイオニア、株式会社丸文製作所の担当者。長年使っている生産者が日本全国にいるため、連携して情報収集や課題解決のノウハウを提供してくれます。

機械は畑の規模に合わせて選べるよう、小型から大型まで各種あります。「作業の効率化・省力化によるコストダウンはもとより、農家さん自身が安心して使っていただけるのが何より」という言葉に、確かな自信を感じました。

当たり前だと思っていた農作業の負担を劇的に軽減し、胸を張って販売できる商品づくりを、蒸気土壌消毒という一歩から始めてみませんか。



【お問い合わせ】
株式会社丸文製作所
〒433-8121
静岡県浜松市中区萩丘5丁目8番23号
TEL:053-471-9197(代)

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