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牛への愛が止まらない!注目の全国4大酪農サークル

牛への愛が止まらない!注目の全国4大酪農サークル

農業関連の学生サークルの中でも、酪農に特化したサークルがあることをご存知でしょうか。牧場見学から牧草研究、土壌分析、チーズ作りまで、牛への探求心に満ちた奥深い取り組みが注目されています。いま話題の4団体のリーダーに、活動内容や酪農に興味を持ったきっかけを聞きました。

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勉強会がすごい!帯広畜産大学「酪農どうでしょう」

酪農が盛んな帯広の地で、実習や勉強会を行っているのが公認サークル「酪農どうでしょう」。代表の畜産学部3年生の鈴木なごみさんに話を聞きました。

代表の鈴木なごみさん

かつては「山地酪農研究会」というサークル名で山地酪農だけを研究するサークルでしたが、幅広く酪農を知れるサークルとして2014年に「酪農どうでしょう」に一新。部員も20名強から80名まで増えました。
酪農家を目指すメンバーもいますが、関東・関西圏から入学する学生も多いことから、「せっかくだから北海道らしいことをしたい」「牛に触れてみたい」と入部する学生も多いのだとか。

地元の青年部からもオファーがくる!濃すぎる「勉強会」

鈴木さんが代表になって始めたのが、週1回の勉強会です。
「私が酪農で新規就農を目指していることもあり、仕事をするなら知っていた方が絶対楽しくなる!と思い、始めました」
勉強会のテーマは、牛の繁殖、土壌改良、新規就農ノウハウに至るまで多岐に渡るそう。3年生が授業の内容をまとめたり、独自で調べて発表します。
勉強会の存在を聞いた地元の青年部から「一緒に勉強会をしたい」とオファーもくるそうで、その濃すぎる内容が話題になっています。

勉強会のために鈴木さんがまとめた資料

実習と搾乳バイトで現場体験はバッチリ!

月2~3回は牧場へアポイントを取って見学にも行きます。
「家族経営と法人経営とでは規模が違いすし、放牧にするか牛舎にするか、牧場主の考え方で育て方も違います。色々な考え方やスタイルを見て、酪農のことを勉強したいんです」
現場では、牧場主に話を聞いたり草種を調べたりと、その日によって異なります。

熱心に草種を調べるメンバーたち(写真提供:酪農どうでしょう)

とにかく酪農への興味が強い「酪農どうでしょう」の学生たち。学外でも搾乳のお手伝いをする「搾乳バイト」をしている割合も多いのだとか。
「朝3時に起きてバイトに行き、一度自宅に帰ってお風呂に入って学校に行きます。夕方も、講義がなければ再び搾乳に行きます。毎日22時には寝ますね(笑)」
酪農大国・帯広で伸び伸びと活動する姿が印象的でした。

後継ぎが集まる!酪農学園大学「放牧ネットワーク」

雄大な自然に囲まれた江別市のキャンパスが有名な通称“酪農大”。話を聞いたのは、代表の鎌田さんと同期の大竹さん。
数多くの酪農家の娘、息子が通っており、家業を継ぐことを前提に学びにきている学生が多いそう。大竹さんも将来有望な後継ぎの一人です。
「入学当初は跡継ぎに対して乗り気じゃなかったんです。でも実習や研究が楽しくて、今では事業継承が楽しみになりました。酪農の世界にはまっちゃいましたね」

大竹さん(写真左)と鎌田さん(写真右)。キャンパス内の牧草地にて

日常的に実習と勉強会

2人が所属する農食環境学群 酪農学コースは、実習が多く、キャンパス内にある牛舎と研究棟で牛の生態研究もしています。牛の餌となるコーンサイレージは、トウモロコシの栽培から収穫、発酵までを大学内の圃場で実践的に学んでいるそうです。
2人とも授業で十分酪農を学んでいるようですが、サークルではどんな活動をしているのでしょうか。

キャンパスの前には餌用のトウモロコシ畑が広がる

2014年の設立当初は、その名の通り放牧酪農に憧れる学生が集まっていたそうですが、今ではスマート農業経営、肉牛生産、チーズ職人など、それぞれの興味から酪農のことを知りたい学生が集まっているそうです。部員は30名とコンパクトながら、参加率が高く活動頻度も高い点が特徴です。

将来いかせる知識がたくさん!多様な課外活動

放牧ネットワークの活動は、酪農大の牧草地を使って1年がかりでおこなう本格的な植生調査や、飼料会社などプロを招いた勉強会、ヘルパーの人材不足に悩む酪農家と求人に関する意見交換会など、学生とは思えない活動ばかり。
酪農家向けのセミナーのお誘いが来たり、農協や牧場主から直接「うちの牧場を見に来て欲しい」と連絡がくることもあるそうです。

牧場を訪れる学生たち(写真提供:放牧ネットワーク)

将来、酪農関係の仕事に就くことを具体的に見据えているからこそ、自分たちに取り入れられることを積極的に吸収しているように感じました。

自由度が高い!北海道大学「にとべこ」

農や食全体を網羅し、メンバーの興味に応じて自由な活動を展開するのは北海道大学の「にとべこ」。2015年に発足し、現在3代目の代表を務めるのは、農学部農業経済学科3年生の仰木晴香(おおぎ・はるか)さんです。

代表の仰木さん

農業系サークルが盛んな北大で、酪農サークルが無かったことから先輩が立ち上げたそうです。北大に縁のある新渡戸稲造氏の“にとべ”と、子牛の愛称“べこ”を掛け合わせたユニ名称です。
活動内容は幅広く、現場でいきる体験をする「酪農どうでしょう」や「放牧ネットワーク」と比べて、メンバーの興味の赴くままに様々なテーマに取り組んでいます。

チーズ作りにも挑戦!とにかく楽しい「例会」

週1回おこなわれる「例会」では、メンバーによる活動発表からチーズ作り、食に関するセミナーまでテーマの幅が広い点が特徴です。
「北大には酪農家を目指す学生もいますが、フードシステム全般に興味を持っている学生が多いと思います。酪農サークルだからとテーマを狭めず、皆の関心のあることをしています」そう話す仰木さんは、現在スローフードに関心があるそう。本当に興味の幅が広い!

自宅でモッツァレラチーズも作る(写真提供:にとべこ)

2泊3日の牧場合宿で酪農の仕事が身近に

札幌駅前にキャンパスのある北大は、牧場との距離が遠く、普段は牧場見学に行けません。だからこそ、年に2回の合宿には力が入ります。サークルのメインイベントの一つである牧場合宿は、釧路市JA阿寒青年部の協力を得て、阿寒地域の酪農家に受け入れていただき、3日間の酪農体験を行います。
「JA阿寒青年部さんが受け入れ先を複数手配して下さり、夜は交流会もあって色んな話が聞けます。この合宿を機に酪農の仕事に目覚めて、酪農家を志望した学生もいます。遠い存在だった酪農の仕事が身近になって、“やろうと思えばできる仕事”として選択肢のひとつになったことは大きいですね」

阿寒の酪農家に体験合宿に参加した学生たち(写真提供:にとべこ)

都心で酪農の魅力を発信! 日本獣医生命科学大学「うし活Jr.」

2015年に発足された「うし活Jr.」。拠点は、東京・武蔵野市にある日本獣医生命科学大学、略称“日獣”です。4つのサークルの中で唯一東京で活動しており、キャンパスはJR「武蔵境」駅から徒歩2分と消費地に一番近いサークルです。この立地条件をいかし、多くの人に酪農の仕事を知ってもらい、興味・関心をもってもらうことを目的にしており、発足2年でその活動内容が大学から認められ、現在は公認サークルとして後援会から助成を得るまでになったそうです。部員も年々増えており、現在は約50名で活動しています。(2019年9月現在)
部長の佐々木絵里奈さんと、部員の園田つむぎさんに話を聞きました。

園田さん(写真左)と佐々木さん(写真右)

映画や牛の写真展示会から酪農を知る

都市部で活動しているため、牧場地から遠く、日常的に牛に触れることが難しい学生さんたち。だからこそ、酪農家と交流を持ち正しい知識を得ようと「酪農を好きになろう!プロジェクト」と題して、映画「夢は牛のお医者さん」や、酪農家を舞台とした「ひかりのおと」を上映し、また牛の写真を展示するなどして、楽しく酪農を学んでいます。また、全国から酪農家さんを招いて仕事内容をきく機会を設けているそうです。

サークル活動は、酪農に関することであれば何でもOK!細かいルールを作らないことで、色々な観点から酪農を知るきっかけを作っています。定期的な集まりは年1回の合宿のみと、学生の自主性に任せた運営が特徴です。
「日獣は学生数約1,700名とコンパクトで、キャンパスも武蔵境のみ。サークルメンバーとも毎日のように顔を合わせるので、話が進みやすい点が良いですね」(佐々木さん)

山梨県にある大学付属牧場「富士アニマルファーム」で合宿を行う

学園祭や地域活動にも積極的

学生と酪農家との交流にとどまらず、学園祭でスモークチーズやアイシングクッキーを販売したり、中央酪農会議が実施する出前授業「わくわくモーモースクール」の活動支援もしている「うし活Jr.」。支援を通じて学生自身が食農教育への理解も深めることもできるそうです。また、北海道の酪農家さんが開催する新規就農のセミナーにも参加をし、放牧酪農の様子を間近で見ることで、リアルな酪農現場を学ぶ等、活動内容は多岐に渡ります。インプットとアウトプットの両方を行える点が「うし活Jr.」の魅力ではないでしょうか。

4大サークルはお互いの交流も盛んで、学生企画の合同合宿も実施しているそう。牛への探求心と愛情溢れる活動に、今後も注目です!

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