自分で考えて挑戦することで、農業はもっと面白くなる!
「いちごの収穫期には、腰を痛めるパートさんが多いんです」と、上半身をかがめ、通常の収穫時の体勢を見せてくれる遠井さん。「できるだけ長く、いい環境で働いてもらいたいから、改善しようと思い、取り入れたのが高設栽培。立ったままなら、腰に負担が少ないでしょう?」。高設栽培を取り入れたことで、足腰の弱い年配の方でも摘み取りやすさが格段に変わったと言います。
「何かをやらなくちゃ、変わらないんですよ。だから環境とか設備には投資を惜しみません」と、遠井さん。家業を継いで就農し、農業のつらさと厳しさを目の当たりにしたと言います。だからこそ、自身が経営者になってからは、働く人や地元のために農業を変えていきたいと考えるようになりました。そのモットーは「挑戦」。
「採れるだけ採って出荷していれば儲りますよ。だけど、それじゃあ農業って面白くない。自分で考えて挑戦することでいろいろな道ができるのが農業の楽しさだってことを、息子たちにも伝えたいんですよ」。
遠井さんはこの春、息子さんと一緒に道の駅に行き、自身が育てたいちごを商品棚に並べたと言います。「直売って、地元の人の顔が見えたり声が聞けるのが一番いいですよね。やっぱりまずは、地元の人にうちのいちごを知ってもらうきっかけを作って行きたいんです」と、まっすぐな眼差しで語ってくれました。
出会いは”一目惚れ” 農業での挑戦を支える冷蔵自動販売機
そんな遠井さんが今年新たに取り入れたのが冷蔵自動販売機でのいちごの直売。
「自動販売機にはもともと興味があったんです。でも、常温のものしか見かけなかった」と遠井さん。小山で作られているスカイベリーを、地元の人にもっと気軽に食べてもらうために、温度が一定でいちごの品質を保持できる冷蔵自販機をずっと探していたそうです。
出会いは昨年10 月。「農業用品の展示会でピープルさんの冷蔵自動販売機に出会って、これだ! と一目惚れでしたね」と遠井さん。その場で予約し、12 月に遠井さんが管理する水田の側にテントを立てて設置。遠井さんの準備が整った5 月から、農園で栽培したとちおとめとスカイベリーを販売しました。
遠井さんの狙い通り、設置して間もなく「小山でスカイベリーを作っているなんて初めて知った!」と地元の人からの声が届くように。さらに、「スーパーの時間を気にせず、仕事帰りに気軽にスカイベリーを買えるのが嬉しい」と喜ばれているそうです。
また、県外から来た人に少しでも小山をアピールしたいと考える遠井さんにとって、冷蔵自動販売機は、「小山に変わった自動販売機がある」という話題作りにも一役買ってくれたそう。いちごの冷蔵自動販売機という物珍しさから、SNS やブログで紹介されることもありました。
なによりも、“無人で売れる”ということは、忙しい遠井さんにとって大きなメリット。「ただでさえ、いちごの収穫期は時間が足りないんです。それに今はやりたいことがどんどん出ている状態。ロゴを作って農場をブランド化したいし、本格的に6 次産業を始めたい。近い将来はネット通販にも挑戦したい。そうした時間のない中で、無人で(販売を)やってくれるって素晴らしい」と、遠井さんは自動販売機との出会いを喜びます。
当初の目的通り、遠井農園のいちごの認知拡大に役立っている冷蔵自動販売機。それだけではなく、地元・小山の話題化や、農場ブランディングのための時間の確保にもつながりました。ピープルの冷蔵自動販売機は、遠井さんの挑戦を多方面から支えているようです。
農業界初の活用。スーパーではできない売り方にチャレンジ!
遠井さんのいちごを販売した冷蔵自動販売機は、透明の窓がついたロッカー式。販売したいものを中に入れて金額を設定。設定した分のお金を入れ、欲しい商品のボタンを押すと、ドアが開いて商品が買える仕組み。夜は中のLED ライトが商品を明るく照らします。
「使用環境にもよりますが、冷蔵温度は5℃~10℃で、多くの場合野菜は2日ほど品質を保てます。」と、株式会社ピープル・代表取締役の大川和光さん。
続けて、「当社は飲料自動販売機のノウハウを持っています。セキュリティ品質も飲料用と同じレベル。さらに、遠井さんのご希望で防犯ロックも搭載しています」と商品の防犯性について教えてくれました。
同社では、これまで花束やケーキ用の冷蔵自動販売機も開発していますが、農業での活用は遠井さんが初めてなのだとか。初めての活用で高級品種のスカイベリーを扱うことに不安はなかったのでしょうか? 遠井さんに伺ってみました。
「売れないのではという不安はありました。だから、高級感のある平詰ではなくパックにしたり、粒を増やしたりと自動販売機用に買いやすい商品にして様子を見ました」と遠井さん。
「リスクを恐れて何もしないより、新しいものを取り入れていった方がアイデアや発見が広がって、その先につながるモチベーションになる。それが5 年後、10 年後、地域の役に立つことにつながれば楽しいじゃないですか」と、前向きな気持ちで工夫したことを明かしてくれました。
いちごのシーズンが終わった今、遠井さんにはすでに、次の自動販売機活用アイデアが生まれているのだそう。「秋には、自動販売機で自分のお米を売りたいんです。スーパーに行って重いお米を持ち帰らなくても、一合、二合の少量から気軽に新米が買えたら、地元のお年寄りの人に喜ばれるんじゃないかと思って」。真剣な表情で今後の展望を語る遠井さんのお話に頷きながら、「そういう新しいことに当社の製品を活用していただけることは本望です」と微笑む大川さん。
そんなお二人の姿を見て、チャレンジする人にふさわしい出会いがあったことを感じました。
アイデア次第で活用法無限大! ピープルの冷蔵自動販売機
直売にかける時間や労力をカットできるだけではなく、アイデア次第でさまざまな活用ができるピープルの冷蔵自動販売機。遠井さんのように、フルーツの高級品種を手軽に試してもらう、スーパーにはない少量の販売ニーズに答える、など、規格外の販売方法が可能なのも自動販売機ならでは。農作物をブランディングする上で、実験的な販売にも利用できます。
「冷蔵自動販売機の設置は注文から40日ほど。要望があれば設置場所の相談もお受けします」と大川さん。
ピープルの冷蔵自動販売機で直売の可能性を広げ、農業での新たな挑戦に役立ててみませんか?
【お問い合わせ先】
株式会社ピープル
TEL:0120-089-174
【取材協力】
遠井農園
栃木県小山市梁213-4