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十勝/新得 「神々の庭」で営む牛飼いは、家族との時間が残るぜいたくな暮らしでした

十勝/新得 「神々の庭」で営む牛飼いは、家族との時間が残るぜいたくな暮らしでした

カムイミンタラ。アイヌの人々が「神々の庭」とたたえた大雪山系の東にトムラウシという小さな集落があります。日本百名山に数えられるトムラウシ山の麓、秘湯トムラウシ温泉を擁する北海道上川郡新得町屈足トムラウシで『株式会社東大雪肉牛牧場』は約100haの土地におおよそ2700頭の肉牛を飼育しています。

広大な敷地内には約2700頭の牛が暮らす。牛舎内は換気が行き届いており嫌なにおいは全然ない

代表取締役の武藤幸太さんにお会いするなり、一緒に働く上で重視する人物像について伺ってみたところ、少しの間の後に「新規就農」というキーワードが出てきました。独立を前提とした人材募集なのだろうか? ハードルが高くはないだろうか? そんな疑問が頭をもたげましたが、武藤社長の言葉に耳を傾けるうち、次第に社長の考えが分かってきました。

家族と過ごす時間を大切にできる働き方

『東大雪肉牛牧場』はその名の通り、肉牛を育てる牧場です。同じく牛を飼育する酪農とは仕事の内容や時間の使い方が大きく違います。まずは1日の仕事の流れを見てみましょう。

肉牛の飼育は酪農業と比べると遅く、朝は7時が始業です。
100haという敷地面積に散在する18棟の牛舎と仔牛用のハッチを12名のスタッフで手分けして給餌、水やり、哺乳などの作業を行います。10時から30分の休憩を挟んで作業は続き、除糞作業へ移行します。
12時から13時まではお昼休み、ほとんどの職員が敷地内にある宿舎に住んでいるため、それぞれ自宅に戻って昼食を取ります。午後からは残作業を終わらせ、15時からの休憩の後は再び給餌や哺乳の作業となり、17時には1日の仕事が終わります。1日のルーチンは年間を通してほぼ同じで、17時以降はプライベートタイムです。

「これなら家族との生活を楽しめるでしょ?」と武藤社長は笑います。

確かに酪農業と比較すれば1日当たりの就業時間は圧倒的に短い。

また、『東大雪肉牛牧場』ではできるだけトータルに牛の面倒を見られるような作業の分担をしています。「糞の掃除ばっかりやらせるとか、そういう工場的なものの考え方が嫌いなんですよ。俺だって一年中糞の掃除ばかりとか嫌ですもん。できれば最初っから最後まで面倒を見させてやりたい」とは武藤社長の弁ですが、スタッフの中で最も勤続歴の長い内田学さん(43)は仕事についてこう語ってくれました。

内田さんの面接の時は、武藤家の子供たちを含めて家族全員での面接だったそう

牛のケアは、14年経っても毎日が勉強

「地元出身ですし、実家で牛を飼っていたこともあって、仕事できついと思ったことはないんですよね。でも牛のケアが細かくて丁寧なことには驚きました。牛も冬になれば風邪もひきますし、夏には夏バテもします。だから牛の様子を細かく観察して、具合が悪くなる前にケアできてなくちゃいけないんです。勤めて14年経ちますが、今でも毎日勉強です」。

牛のケアが丁寧なことに関しては武藤社長も「そのあたりはうちは進んでると思いますよ。専属の獣医さんと相談しながら、気温の1度2度の違いを考えて餌の量を100g・200g単位でコントロールしてますからね。そうすることで牛の健康を保てますし、薬も減らしていけますから」と自信をのぞかせます。

経営者的な視点で、働き方を決めてほしい

話を冒頭に戻して、武藤社長になぜ新規就農者が求める人物像なのかについても尋ねてみました。
「俺は、社員との壁をなくしたいと思っているんです。一人ひとりが経営者の目線で考えてほしいんです。そのためにはどうしたらいいのか、突き詰めると新規就農してもらうことだなって考えたんです」。

とはいえ新規就農には多くの障壁があります。運良く牧場を経営するための土地が用意できても、設備投資には膨大な資金が必要となり、国の助成制度だけではとても足りません。
「とはいえ、新規就農を本気で志す人を後押ししたい。そのために、最初の資金面の負担を会社が肩代わりするんです。例えば牛舎を1棟預ける。その牛舎はその人の器量で経営をしてもらう。融資の返済などはきちんとやってもらわなくちゃいけないけど、後は効率良く仕事を終わらせて余暇を楽しもうが、家族と過ごそうが自由。究極にはそんなふうにしたいんです。メリット? そうすることで俺が一生“牛飼い”でいられるじゃない」。

俺は起業家じゃない。一生、“牛飼い”でいたい

武藤社長の言葉は真っすぐ心に届く

「俺は起業家とか事業家とかじゃ全然ない。ずっと“牛飼い”をしていたい。1人で2700頭の牛の面倒を見られるわけじゃない。できるだけ社員に任せたい。だから社員みんなに経営視点を持ってほしいし、自分で働き方を選ぶ意識を持ってほしいと思っています。朝早く家を出て、夜遅くに帰ってきて、奥さんと過ごす時間もなく、家族と夕食を囲むことも滅多にない。じゃあ何のために結婚したの? どうして家族を持ったの? そういう生活じゃなくて、何のために働いているか、どういう風に働きたいのか考えてほしいんです。だってうちの牧場なら家族とのつながりがある暮らしができるんだから」。

武藤社長の言葉には、おごりや自慢が無く、どんな発言も真っすぐ聞こえてきます。だからこそ、この社内起業制度も現実感のある構想に思えます。
この牧場が行う社内起業制度には、先代代表の武藤栄次さんの影響があるといいます。トムラウシには現在4軒の肉牛牧場がありますが、このうち2軒は栄次さんの代に当時の武藤牧場から巣立っていったのだそうです。

ウルトラライトプレーンが趣味の栄次さん。トムラウシはこのほかにも登山・釣り・キャンプ…とアクティビティに事欠かない

「うちの父親は上から押さえつけることをしない人。そうやって従業員がそれぞれの道を見付けられるよう育ててきた。俺はまだできてません。そこはまだ父親にはかなわないですし、尊敬してます。でもね、トムラウシに根を下して一緒にコミュニティを作っていってくれる仲間になら、俺も頑張れると思うんです。やれると思うんです」。

トムラウシは外からきた人が多い。だから移住者にやさしい

騒々しい都会の中で働いていたりすると武藤社長の言葉はとても魅力的に聞こえますが、実際に移住するとなるとどうでしょうか。
『東大雪肉牛牧場』で働くことは、トムラウシで暮らすということとほぼ同じ意味だと考えてもいいでしょう。冬場の交通事情などもあり、スタッフの大半は敷地内にある職員住宅で暮らしています。他県から来た人も多く、今年で勤続7年目になる高橋義隆さん(46)も大分県から移住しました。前職は建築設計の仕事でしたが、デスクワークが原因で腰を痛めたことをきっかけに、北海道移住を考えたのだそうです。当初は農業を志すつもりはなく、『東大雪肉牛牧場』に勤めたのは偶然だったそうです。

「飼育している牛が次第に元気に育っていくのが喜び」と語る高橋さん

「北海道に行こうと言い出したのは僕なんですけど、僕よりも家内の仕事が先に決まって、新得町の地域おこし協力隊でトムラウシに赴任になったんです。当然、僕も一緒についてきて、仕事を探してるならトムラウシで働けばいいじゃないかって、ここを薦められた訳です」。

地域コミュニティの一員として

移住するまでは不安もあったそうですが、トムラウシには高橋さんと同じように移住してきた人や山村留学でやって来てそのまま居ついてしまった人など道外から来た人も多いので、田舎にありがちな排他的な感じはなく、同時に適度な距離感を保ってくれるのでプライバシーについても全く心配はいらなかったとのこと。
先輩の内田さんは「ここで働くために最も大事なことは地域に溶け込むことじゃないかな」と説明してくれました。
トムラウシでは地域一帯が1つのコミュニティです。月に1回程度は地域のイベントがあり、トムラウシに住む人たちがみんなで企画し参加します。学校の運動会は、地域のイベントとして位置付けられ、牧場スタッフは早出して牛の世話を終わらせてから全員で参加します。牧場の同僚とは職場でも地域行事でも一緒なので気心が知れており、ベタベタしない一体感があるようです。牧場で働くことは、地域とのつながりの中で暮らしていくということであり、武藤社長が求める人材を「“地域コミュニティ”を活性化させる仲間」として考えている理由もそこにあります。

牧場スタッフの雰囲気は笑顔で分かる

今、『東大雪肉牛牧場』では新規のプロジェクトが立ち上がろうとしています。
交雑牛(F1)の素牛(もとうし)の育成、ホルスタインのメスの育成、ホルスタインの一貫肥育の三本柱に和牛の繁殖という柱を加えようとしているのです。
新規プロジェクトを推進していくためには人材が必要です。ですが単なる労働力を求めている訳ではありません。『東大雪肉牛牧場』はトムラウシでの人間らしい生き方を共有してくれる仲間を求めています。武藤社長は必ずトムラウシでの暮らしに共感してくれる仲間がいるはずだと信じています。ただ、トムラウシの素晴らしさが知られていないだけなんだと。
トムラウシとはアイヌ語で「花の多い場所」という意味もあるそうです。この神々の遊ぶ庭、花の多い場所で働くという意味を、まずはこの牧場を知るというところから始めてみませんか?

株式会社東大雪肉牛牧場
北海道上川郡新得町字屈足トムラウシ169番地
TEL:080-9410-3377
FAX:0156-69-6029
HPはこちら

なお『株式会社東大雪肉牛牧場』は、2019年11月10日(日)に東京で開催される『マイナビ就農FEST』に参加します。
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