山形県ブドウ発祥の地で育まれた『山形おきたま産デラウエア』
山形県南部に位置する置賜(おきたま)地域は、米沢市・長井市・南陽市と、高畠町・川西町・小国町・白鷹町・飯豊町の3市5町から成るエリアです。福島県との県境には吾妻連峰、南西側には飯豊連峰、新潟県との県境には朝日連峰と山々に囲まれた美しい景観が訪れる人々を魅了します。昼夜の寒暖差が大きい気候は農作物の栽培に適しており、山々から湧き出るミネラル豊富な水と共においしい米や果物、野菜を育てています。
そんな恵まれた気候風土で栽培され、生産量日本一を誇るのが『デラウエア』です。南陽市鳥上坂のぶどうの碑に「ここは江戸時代初期にぶどう栽培が始まった山形県ぶどう発祥の地」とあるように、古くからブドウ栽培を行なっていた置賜地域では明治に欧州種や米国種のデラウエアの栽培を始めたことで産地として盛んになったとされています。生産者が丹精込めて育てたデラウエアはそのおいしさから全国にファンを広げ、2006年には『山形おきたま産デラウエア』として地域団体商標に登録されました。
雨よけハウス導入でさらなる品質向上と安定した生産量をキープ
ブドウがおいしく育つ条件はいくつかあります。水はけの良い土地であること、日照が十分あり、昼夜の寒暖の差が大きいこと。成熟期(夏場)に雨が少ないこと。これらの条件を満たした 高畠町亀岡地区の園地でデラウエア栽培を行なっているのが鈴木隆宏さんです。
取材に訪れた8月下旬は最盛期の出荷を終え、越冬のために雨よけハウスのビニールを剥がす作業が行われていました。「雨よけハウスを導入することで雨が直接房に当たらなくなるため、病気の感染を防ぐことができ、安定供給ができています」と、話す鈴木さんは8年前からブドウ栽培に従事。家業である農業を家族と一緒に行なっています。
今ではほとんどのブドウ農家が導入している雨避けハウスは病気予防だけではなく、デラウエアの特徴である糖度の高さにも大きく影響しているそうです。「ハウスは安定した環境を保つことができるので、酸抜けの過程が順調に進むという利点があります。古くからブドウ栽培を行なってきた生産者の経験や知恵が実を結び、デラウア生産量日本一につながったのではないでしょうか」。
鈴木さんをはじめ、若手の結束が強い亀岡地区では更なる品質向上を目指し、情報交換や勉強会を積極的に行なっています。「種なしブドウを作るジベレリン処理や摘果、樹勢管理など、ブドウ栽培は確かに大変な面もあります。しかし、手をかけた分だけ応えてくれる楽しさはそれ以上です。
地域の財産である『山形おきたま産デラウエア』を守るために、おいしく美しいデラウエアづくりにこだわっていきたいですね」。こうした生産者の弛みない努力によって現在では栽培面積、出荷量ともに日本一となった『山形おきたま産デラウエア』。地域の宝を守り続けるためには、新たな担い手の育成が今後の大きな課題になります。
四季とともに生きる喜びを! JAが新規就農者を支援
ブドウ栽培は植え付けから収穫まで2〜3年かかるため、新規就農者にとってはハードルが高いイメージがあるかもしれません。そんな不安をブドウ園の斡旋や技術支援によってサポートするのが、山形おきたま農業協同組合(以下JA)です。
「ブドウに限らず、JAではこれまでも新規就農者にさまざまな支援を行なってきました。経験豊富なベテラン農家さんの丁寧な指導もあり、そのまま定住を選択した方もいます」と、話すのは営農企画課の小関勝彦課長補佐。
JAでは農業技術の習得から経営指導を行っているほか、販売においても地域の生産組織や行政と連携しながら、安心して就農できる体制を整えています。「果樹王国と言われる置賜地域はデラウエアのほかサクランボやラ・フランス、リンゴなど多彩な果樹作物の産地です。
他にも米や野菜、米沢牛と豊富な農畜産物があります。いろいろなことにチャレンジすることができるのも、置賜の魅力のひとつです」。小関さんが話すように、吾妻山や飯豊連峰などの山々に囲まれた盆地を最上川が流れる自然豊かな置賜は、「農業をやりたい!」という夢を叶えるにぴったりな地域です。19世紀の女性旅行家イザベラ・バードが「東洋のアルカディア(理想郷)」と讃えた置賜地域でぜひ、全国に誇る高品質な農作物を育ててみませんか? その暮らしはきっと、あなたの理想郷になることでしょう。
■お問い合わせ
JA山形おきたま 営農経済部営農企画課
住所:山形県東置賜郡川西町大字上小松978−1
電話:0238-46-5300
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