いま求められる農地改良。カギは「省力化」と「大区画化」

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いま求められる農地改良。カギは「省力化」と「大区画化」

いま求められる農地改良。カギは「省力化」と「大区画化」
最終更新日:2019年11月07日

「全国土地改良大会 岐阜大会」が、10月16日に開催されました。土地改良の必要性を発信する本大会では、関係者約4,000人が集結し、18社が最新事例を紹介しました。台風や集中豪雨による水害が多発し、農地管理に対する危機意識が高まるなか、土地改良の現場ではどのような取り組みがされているのでしょうか。大会の模様を紹介します。

土地改良の課題とこれから

全国土地改良大会は、農業を魅力ある産業としていくために、それを支える土地改良事業の役割を次世代に引き継ぐことを目的とした大会です。主催は全国土地改良事業団体連合会ならびに岐阜県土地改良事業団体連合会。土地改良法で認められ、全国に約4,500組織ある「土地改良区」の協同組織で、農地の整備や農業水路の維持管理を行うほか、住民の方と連携した地域づくりや地域農業の振興のための活動を行っており、「水土里(みどり)ネット」の愛称で親しまれています。

岐阜県で伝わる谷汲踊り(たにぐみおどり)がオープニングを飾る

基調講演では、農林水産省の奥田透(おくだ・とおる)氏が、土地改良事業の歴史から今後の方向性、土地改良事業を契機とした農村振興事例について発表されました。
令和元年7月より施行された「農業用ため池の保全及び管理に関する法律」では、ため池の所有者等による届出の義務付けや、防災工事の施工命令や代執行を行う規定が整備されました。

ため池は全国に約17万箇所あるといわれています。それらは江戸時代以前に築造されたものや築造時期が不明な施設も多く、老朽化が進行しています。また、権利所有者が不明で、複雑化していることも問題になっています。平成30年7月に西日本を襲った豪雨災害をはじめ、昨今の集中豪雨によるため池の決壊や、それに伴う家屋への被害のおそれを鑑みて、ため池の管理や整備が進められています。

今後の政策としては、担い手が活躍できる農業基盤づくりを推進すべく、農地の大区画化や汎用化を実施するほか、老朽化した農業用水利施設の補修や更新、農村地域の洪水被害防止のための対策を実施するとしています。

加速する防災対策と省力化

NTNマイクロ水車。水路の幅に合わせて上に乗せるように設置する。

最新事例を紹介するブースでは、さまざまなメーカーからスマート農業の事例やデモンストレーションが行われていました。なかでも、NTN(大阪府大阪市)と開成工業(熊本県熊本市)の共同ブースでは、互いの強みをいかした防災・省力化対策サービスを展開していました。
NTNが開発した小水力発電機「NTNマイクロ水車」で蓄電された電気を使い、開成工業が開発した「KS 水管理システム」で、河川や水利施設をカメラで監視。異常時にはゲートと連携して制御できるというもの。「NTNマイクロ水車」は落差工事が不要で、水路にそのまま設置するだけで発電が可能だといいます。

活用が期待されるKS 水管理システム

「KS 水管理システム」は、日々、量水板や開度計をチェックする農家の巡回手間を削減することもできます。また、マイクとスピーカーを繋ぐことで、現地への注意喚起放送を行うことも可能です。
開成工業の松浦 繁揮(まつうら・しげき)氏は「KS水管理システムは、下流域の水門のほか、上流河川やため池など、現地にいくことが難しい場所にも適しています。特に、水害の際は見回りにいくこと自体が危険行為なので、遠隔制御システムは有効です。しかし、操作には電気を引かなくてはならないという点がネックになっていました。『NTNマイクロ水車』で蓄電された電気が使えれば、活用範囲が広がります」と2社のコラボレーションに期待を寄せています。

岐阜県の取り組み

開催地である岐阜県でも、農地でのICT機器導入を推進しています。県土の86%が森林に囲まれた岐阜県では、清流で潤った農地から数々の名産品が生まれています。また、耕地面積の47%が中山間地域に位置し、河川の上流域で傾斜等も多いことから、洪水・土砂崩れや土の流出を防ぐ等の多面的機能も担っています。

県内農地は、中山間地域から低平地までのほ場条件やかんがい方式の違いがあるため、中山間地域の開水路地区として「岐礼地区」、県内の一般的なほ場(開水路地区)として「段地区」、低平地のパイプライン地区として「下池西部地区」をモデル検証地区とし、ICT機器の導入実験を行っています。

段地区のほ場

導入実験では、見回り労力の軽減を目指し、水位設定や時間設定での自動給水や遠隔操作ができる自動給水栓、遠方から水位と水温を確認できる水田センサーを導入し、検証を行っています。
加えて、中山間地域の「岐礼地区」では、大雨時には河川沿いにある余水吐ゲートを操作する必要があり、危険が伴うため、余水吐ゲートの自動開閉と遠隔監視を導入し、洪水時に速やかにゲート操作ができるかなど、安全性の確保などを検証しています。

岐礼地区に設置された余水吐ゲート

また、大区画ほ場の「下池西部地区」では、落水や洪水時の排水管理に多くの時間を要していること、高温障害対策に効果的とされる夜間かんがいを効率的にできることから、自動排水口も設置し、効果を検証しています。

各地の検証をもとに、全国の農地がより安全で豊かになることが期待されます。

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