ブリーダーが教えるナスの育て方 売り上げアップのための栽培方法とは?

マイナビ農業TOP > ライフスタイル > ブリーダーが教えるナスの育て方 売り上げアップのための栽培方法とは?

ライフスタイル

ブリーダーが教えるナスの育て方 売り上げアップのための栽培方法とは?

連載企画:ブリーダー直伝!売上アップの栽培方法

ブリーダーが教えるナスの育て方 売り上げアップのための栽培方法とは?
最終更新日:2019年12月04日

種苗会社「タキイ種苗」のブリーダー直伝! 直売所出荷の売り上げアップを目指して、押さえておきたい栽培方法のポイントや、ブリーダーいちおしの品種を紹介します。第3回は、夏野菜の人気者、ナスについて解説します。

播種・育苗

播種(はしゅ)は、自根苗を仕立てる場合は、定植予定日から70~80日前に行います。発芽までは、地温を昼28℃、夜20℃を目安に管理して昼夜の温度差をつけるのが発芽ぞろいをよくするポイントです。発芽後は、気温を本葉3枚までは最低16℃前後、本葉6枚までは14℃前後、それ以降は12℃前後で管理します。地温は最低夜温プラス4~5℃を目標にします。苗は12センチ鉢以上のものを用いて少し大きめに仕立て、健全な発根を促します。苗を購入する場合は、土壌病害の発生防止や収量増をねらうためにも、接ぎ木苗をおすすめします。

畑の準備・定植

ナスは乾燥に弱く、水分と肥料を多く必要とする。深耕して有機質を施し保水性のある土づくりとする

ナスは、肥沃(ひよく)で保水性の高い土を好みます。できるだけ深耕し、堆肥(たいひ)を多く施しましょう。10平方メートル当たりの堆肥量は30キロ前後が目安です。元肥は成分量で10平方メートル当たり窒素200~250グラム、リン酸250~300グラム、カリ200~250グラム、苦土石灰は1キロ程度施します。苗の定植は1番花のつぼみが膨らんだころに行います。悪天候などで定植が適期より遅れた場合は、定植後に1番花を摘花し、活着と初期生育を促しましょう。栽植本数は10平方メートル当たり8本前後が目安です。

整枝・誘引

初期は主枝3本仕立てを基本とし、その後、強めの枝6~7本を誘引します。これらから発生する枝を側枝として扱いますが、側枝の整枝は果実の商品性と株の草勢を維持するために重要な管理となります。側枝の1花目の先端に葉を1枚残して摘芯し、収穫の際、2次側枝を1芽残して切り戻します。残した2次側枝が伸びたら同じように摘芯、収穫、切り戻しを繰り返します。

追肥

粒状化成肥料の場合、1回の追肥量は10平方メートル当たり窒素成分量で30グラム程度とします。1番果収穫開始前後から10日間隔ぐらいを目安に、草勢を見ながら適宜追肥を行います。

収穫

ナスはほかの果菜類に比べて果実表面からの水分の蒸散が多く、果実の温度が高いと、すぐに光沢を失ったり、しなびたりします。気温の低い早朝に収穫し、涼しい所で手早く袋詰めすると、商品性の高い果実を出荷でき、直売所ならではの鮮度のよさをアピールできるでしょう。

栽培Q&A

Q. 草勢の強弱の判断基準は?
A. 成長点や花の状態を観察します。
草勢が弱まった場合、成長点近くの茎が細る、つぼみが小さくなる、花が成長点近く(5センチ前後)で咲く、雌しべが雄しべより短くなる、といった兆候が見られます。これらの兆候が表れる前に、早めの追肥を心掛けましょう。

ブリーダーのおすすめ! 直売所これが定番品種

「PC筑陽」。着果促進処理が不要のトゲなし長ナス。果皮もやわらかで食感抜群

「PC筑陽(ちくよう)」は、着果処理の必要がなく秀品率の高い単為結果品種です。ホルモン処理の必要がないので時間を大きく節約できるほか、石ナスが発生しやすい低温期・高温期にも、つやのある良品を出荷することができます。果実はボリューム感のある長ナスタイプで、果肉にやわらかさがあり、焼きナスにするととろりとした食感が好評です。
開花した花はすべて着果しますので、株に着果負担がかかりやすい点に注意してください。追肥の間隔を5日に1度程度と短くするほか、若苗で定植する、1番花を摘花するなど、草勢を強く維持する管理を心掛けましょう。

印象的なふくよかな姿の丸ナス「早生大丸」は店頭でも目をひく

「早生大丸」は、草勢が強く作りやすいF1品種です。その魅力は、なんといっても果実のボリューム感ととろけるようなおいしさです。ソフトボール大の果実を手に取るとずっしりと重く、店頭に並んだ姿は消費者の目を引きます。また緻密(ちみつ)な肉質で形が崩れにくいので、しっかり加熱する調理に適しています。田楽や厚切りのステーキにしても美味ですが、おすすめは断然「ナスフライ」! クシ切りにし、片栗粉をまぶして揚げればビールと相性抜群です。

病気が心配ならこの台木

「トナシム」は複合耐病性の強勢台木です。青枯(あおがれ)病、半枯(はんがれ)病、半身萎凋(いちょう)病、サツマイモネコブセンチュウに耐病性をもつので、土壌病害で困っている、心配だ、という方におすすめです。また根が深く張るので生育後半まで馬力があり、収量アップが期待できます。さらにトゲなし接ぎ木苗を購入される場合は、種苗店に問い合わせてみてください。
自分で接ぎ木する場合は、穂木より2週間程度前に播種します。さらに1~2日の間隔を空け、2~3回に分けて播種すると穂木と軸の太さを合わせやすくなり、より簡単に接ぎ木できるようになります。

酷暑に負けるな! 比較的暑さに強い品種を紹介

夏秋栽培では夏場の高温乾燥による草勢・収量・品質低下が問題になります。比較的耐暑性が強く、草勢の強い長ナスをおすすめします。

「庄屋大長(しょうやおおなが)」(写真左)は、草勢が強くて夏ばて知らず。「筑陽(ちくよう)」(写真右)は、高温期でも高い秀品率を誇ります。

執筆:栽培基礎講座・タキイ研究農場 河西孝昭(かわにし・たかあき)/品種紹介・タキイ研究農場 夫津木大輔(ふつき・だいすけ)

※推奨品種や栽培情報を紹介。「タキイ最前線」本誌デジタルブックも閲覧できるタキイ最前線WEBはこちらから!

あわせて読みたい!
ブリーダー直伝!売上アップの栽培方法
ブリーダー直伝!売上アップの栽培方法
種苗会社「タキイ種苗」のブリーダー直伝!直売所出荷の売上アップを目指して、押さえておきたい栽培方法のポイント や、ブリーダーいちおしの品種を紹介します。
関連記事
生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜ナス編〜【畑は小さな大自然vol.31】
生まれ故郷で覚える栽培のコツ〜ナス編〜【畑は小さな大自然vol.31】
こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。皆さんはナスは本来、木のように大きくなる植物だと知っていましたか?日本では半年で枯れてしまうナスも、生まれ故郷の地域では数年生きる多年草であり、木のようにどんどん大きくなるのです。…
農家が教える栽培方法
農家が教える栽培方法
実が甘く、大きくならない。水やりの正しい頻度が分からない―。そんなお悩みを、生産のプロ・農家が解決します。定番の野菜から一度は育ててみたい果樹や山菜まで、作物ごとに栽培方法のポイントを直伝!

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE

関連記事

タイアップ企画

カテゴリー一覧