農家が選ぶ! 本当に育てたい春夏野菜品種【キュウリ・レタス・ズッキーニ他編】

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農家が選ぶ! 本当に育てたい春夏野菜品種【キュウリ・レタス・ズッキーニ他編】

農家が選ぶ! 本当に育てたい春夏野菜品種【キュウリ・レタス・ズッキーニ他編】
最終更新日:2020年05月16日

農家による農家のためのポッドキャスト「ノウカノタネ」のパーソナリティー、つるちゃんとテツ兄が今年注目の春夏品種について語ります。今回は、キュウリ・ズッキーニ・ゴーヤー、さらにレタス、ホウレンソウについて。味、作りやすさ、売れ筋など、多角的に品種の魅力を掘り下げていくことで、春からの作付けのイメージがよりリアルに見えてくるでしょう。後半にはテツ兄の地域の後輩、多品目野菜農家でテツ兄も一目置く品種マニア・シバティも登場! さらなる盛り上がりを見せる品種談義を引き続きお楽しみください。

<プロフィール>

つるちゃん:福岡で夏秋ナスを中心に栽培する30代農家。園芸公園の果樹指導員として、栽培指導もする。今年は多品目栽培に挑戦する予定なので、新たに育てる品種を探している。

テツ兄:福岡の多品目野菜農家。西洋野菜を中心に、夏場はナス、ピーマン、ズッキーニなどの多品種栽培をおこなっている。ノウカノタネの兄貴的存在で、その新品種研究に対する情熱はヘンタイの域に達している。

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【ウリ科編(キュウリ・ズッキーニ・ゴーヤー)】自分に合った形を選ぼう

キュウリ

キュウリはべと病、うどん粉病がすごく悩みの種なので、どれだけ病気に強いかということが品種を選ぶときのポイントですよね。ただ、家庭菜園だとどうしても出てしまう病気なので、それならいっそ食味を重視して、カリッと歯触りが良く、直売所でも大人気の「四葉(すうよう)」を作ったこともあります。病気になりやすい、水にも敏感で、曲がりやすいっていうのが難点だったんですけど……
それだったら「シャキット」がおすすめだよ。四葉系統の独特のカリカリ感を残したまま、耐病性があがっているんだ。つまりいいとこ取りだね。あとは、自家消費用なら病気に強くてロングセラーの「夏すずみ」「フリーダム」あたりが作りやすいんじゃないかな。

いっそ地這(ば)いキュウリでもいいですよね。あとはミニとか。僕は「ドカナリ千成(せんなり)」を作ったことがありますが、めちゃくちゃたくさん収穫できました。1節に3個も4個も実がなるんですよ。自家消費なら山ほど食べられるからいいですね。ただ、残念ながら直売所ではあまり売れなかったんです……。
キュウリにも地域性があるので、その場所で人気の形はきちんと押さえておいた方がいいね。直売所やスーパーをのぞいて、定番の形を知っておこう!

ズッキーニ

キュウリの次に植えるといったらズッキーニでしょう。ここ数年で日本でも一気に定番野菜になりましたね。「オーラム」「ダイナー」が有名ですが、テツ兄はなにを作っていますか?
僕が作っているのは「ゼルダ」シリーズだね。ズッキーニは初期生育が安定しないことがけっこうあるんだけど、これは安定するのでおすすめだよ。それから、食味は緑よりも黄色の方がいいけど、黄色は柔らかくて流通で傷つきやすいので、販売には緑が向いていると思う。家庭菜園の場合は流通よりも味を重視できるから、黄色にしてみたらどうかな。それから、ズッキーニもオーソドックスな縦長から丸型、円盤型などいろいろな形があるので挑戦してみるのも面白いと思うよ。

ゴーヤー

沖縄の種苗会社だとものすごく種類がたくさんありますね。品種カタログの巻頭6ページがゴーヤ特集なんて……沖縄のゴーヤーに対する熱さを感じる!!
「白願寿(しろがんじゅ)」はつくったことがあるけど白くてすごく大きい。「すずめゴーヤー」は手のひらサイズのかわいいゴーヤーだね。「サラダゴーヤー」はシャキシャキしておいしかったよ。うちの近所の直売所では小さめのほうが売れるので、あんまり大きくなりすぎない品種を選んでいるよ。

ゴーヤーを緑のカーテンにする人も多いですよね。実をならせすぎると樹勢が落ちてカーテンじゃなくなってしまうのでそこは注意です(笑)

【葉物編(レタス、ホウレンソウ)】激戦区! 冬だけじゃない葉物たち

お待たせしました。ここからはもう一人の品種ヘンタイ「シバティ」が登場です! さらにデッドヒートする会話をお楽しみください。

シバティ:多品目・多品種を栽培し、直売所や飲食店に販売している若手農家。毎年さまざまな品種に挑戦し、これまでに作った品種は200種類以上! 現在、博多ヨーロッパ野菜研究会会長。

レタス

僕が作ったことがあるのは「シスコ」「パパレタス」ですが、ほぼ秀品でよくできました。玉レタスはちょっと作りにくいのでポイントは栽培のしやすさ、肥大性、結球性でしょうね。
レタスは種が小さくてまきにくいので、「Vレタス」のようなコート種子を選ぶのも手ですよね。細かい種をきれいにまくのはレタス栽培で一番ストレスがかかるところといってもいいくらいです。僕はカリカリくんという小さなスコップ状の便利グッズを使うようになってからすごく楽になりましたね。
今まで作ってきた中で一番衝撃的な味だったのは「みずさわ」です。レタスって水っぽいのが多いじゃないですか。これは味があって、ジューシーなんですよ。食べた時のジュワ感がたまらない、しかも芯まで食べてもジューシーさは変わらないんです。直売所に出したら大ヒットでした! しかも3期まきで、夏以外は栽培できるのも重要ポイントです。

玉レタス以外で言うと、最近増えてきたのはシーザーサラダで有名なコスレタス(ロメイン)じゃないかな。中華料理の炒め物に使われたりもするけど、加熱してもシャキシャキ感が残っておいしいよね。僕は「晩抽ロマリア」を作っていたけど、シバティはなにを作ってる?
今は「コロッセオ」を作っています。葉肉の厚さと味の良さに定評がありますね。今日も出荷してきたんですけど、1玉が1.2キロぐらいになって収量もとれます。これはおすすめですね。

ロメインレタスの「コロッセオ」(写真提供:シバティ)

他にも個性派のリーフレタスが増えましたよね。メジャーなのは「サマールージュ」のような柔らかくて葉の大きいものですが、切れ込みが大きく葉先が丸みをおびた「グリーンオーク」や、ちぢれが強く玉レタスのようなシャキシャキ食感の「ハンサムレッド」「ハンサムグリーン」など、フリルレタスも人気です。これは葉が小さいので、一枚で使うっていうより、ちぎって使うレタスですね。葉が取れやすいので袋詰めなどの扱いが難しいのが注意点です。

左:ハンサムレッド、右:ハンサムグリーン。(写真提供:シバティ)

なるほど~。自家消費用だと冬はレタスをあまり食べないから、夏に作れるリーフレタスがいいな。
リーフレタスといえば弁当のおかずの下に敷いているイメージですけど、僕はしなしなになるのが嫌いで、玉レタスに似たパリッとした食感が好きです。おすすめは「マザーレッド」「マザーグリーン」、それに対抗する「パリレッド」「パリグリーン」ですね。マザーとパリは食材の下に敷いてもパリッと感が消えないんですよ。色味が良くて食味も良い。自分の中の“パリパリ系の2大巨頭”ですね。

レタスはこれくらいかな。じゃあつぎは……
ちょっと待ったぁー!! 今、キてるのは「半結球レタス」なんです。
玉レタスの周りにリーフレタスがついてるような外見に、中心部は玉レタス特有のパリパリとした食感。まさに玉レタスとリーフレタスのおいしいとこどりです。中でも注目なのが、炒めるのに向いている「炒(ちゃお)チャオ」。味がバリうまです。作付け時期が2月から12月と、小松菜か?ってくらいに年中収穫できるのも魅力ですね。

「美味(びみ)タス」もおすすめだね。半結球レタスは定番のサラダはもちろん炒め・焼き・揚げなど加熱調理にも向いているので、かきあげ、おこのみやき、餃子、ロールレタス、ぺペロンチーノなど、いままでのレタスになかった使い方ができるよ。しかもリーフレタスのように外側から葉をはがしやすいんだ。玉レタスは栽培の難度が高めだけど、これなら手軽に玉レタスの味が楽しめるね。株間によってサイズを変えると使い勝手もいいよ。

ホウレンソウ

ホウレンソウってどこの種苗会社もすごくたくさんの品種を出していて、多すぎて選べないですよ……激戦区ってことですか? 新品種も毎年出ていますよね。
各種苗会社の苦労の結晶ですね。たくさん出すから好きなのを選んで!ということなのかな。選ぶポイントとしてはべと病レース(抵抗性)、黄化が早いか遅いか、問題なく長く収穫し続けられる在圃性、収量、立性(張りが横か縦か)、葉色、葉の形、味、縮み系かどうか、といったところでしょうか。

僕は夏にホウレンソウを作ろうと思って、「晩抽サマースカイ」「スライダーセブン」「サマートップ」など散々試しましたが、本当に難しかった。この辺じゃ夏はホウレンソウの代わりにフダンソウを作れって言われるくらいですからね。九州の平地で夏にホウレンソウを作れたら億万長者間違いなしですよ。僕が作った中では「クローネ」が安定していましたね。葉の表と裏のコントラストがきれいで、これまで作った中で最も荷姿が美しかったです。
ホウレンソウは根が赤いのがよく売れますよね。根が赤いイコールおいしい、みたいな方程式が消費者の中でできあがっているように感じます。一般に販売されているのは葉が丸い西洋種と葉がギザギザの東洋種の交雑種ですが、根が赤いのは東洋種の特徴です。根を赤くしたいなら、「あかね」のような東洋種の血が強い品種を選ぶといいですね。ちなみに露地で作れば赤くなりますが、ハウス栽培だと色は出にくいです。

味で言うと、西洋種のほうが土臭い、ホウレンソウらしい味と言えるのかな。バター炒めやソテーなら西洋種、あっさりしたお浸しなら東洋種と、好みや使い方によって選ぶといいかも。

自家消費用だとべと病レースにこだわる必要もないから、古い定番品種、長く親しまれている品種を選ぶといいかな。それと、ホウレンソウは発芽が難しいからプライマックス種子やネーキッド種子を選ぶのもいいと思うよ。種子の表面を加工して発芽しやすくしているのがポイントだね。

 

たくさんの品種が登場しましたが、あなたが作ってみたい品種はあったでしょうか。ぜひ種苗会社のカタログを取り寄せて、今年の作付け計画を立ててみましょう。計画を練る時には、作業の重なる播種(はしゅ)時期、定植時期、収穫時期を把握して作目を組み合わせることも大切です。
品種談義はノウカノタネのYouTubeチャンネル「ノウカノタネTV」でもお楽しみいただけます!

YouTubeチャンネル「ノウカノタネTV」

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