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1700名を束ねる若き北海道4Hクラブ会長 意欲と源とは

1700名を束ねる若き北海道4Hクラブ会長 意欲と源とは

全国の若手農家約1万3千人が所属する「日本4Hクラブ」には、全国に活動拠点があります。なかでも北海道の組織「北海道アグリネットワーク」は、一大生産地とあって1,700名以上の農家が集います。25歳という若さでこの大組織を束ねているのは平取町の水野弘樹さん。4Hでの取り組みや若手農家ならではの悩みについて話を聞きました。

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親元就農だからこそ、視野を広げたい

――農家の息子として、農業をしようと思ったのはいつですか?

高校2年生くらいの時です。農家の息子だからと何となく農業高校に入ったのですが、進学先の北海道岩見沢農業高校は全7学科あるマンモス校で、農業を学ぼうと広域から生徒が通っていました。そこではじめて、平取町を外から見ることができたんです。
平取のトマトが質・量ともに素晴らしいと実感することができて、地元の農業を守っていきたいと思うようになりました。

農家をやる!と決心して、高校卒業後は「びらとりトマト」の品種「桃太郎」の栽培を学ぶために、タキイ研究農場付属園芸専門学校で2年間学びました。

びらとりトマト

――そしていよいよ就農!……と思いきや、卒業後はワーキングホリディでニュージーランドに行かれていますね。何故でしょう?

農業以外の経験をして、視野を広げておきたかったからです。就農後はきっとできないと思って。
ちなみに留学から帰ってきた後もすぐに戻らず、東京から鹿児島をヒッチハイクしました。

――このご時世で、ヒッチハイクできるものなんですね!

意外とできました(笑)。ご飯を食べさせてくれたり泊めてもらったり、やさしい人ばかりでした。専門学校時代の友人の家にも泊めてもらったりしましたね。本当に良い経験でした。

ニュージーランドでは新しい価値観に触れた

同世代から刺激を受ける4Hクラブの魅力

――満を持して就農されたのですね。4Hクラブに入ったきっかけを教えてください。

親元就農だと畑と自宅の往復なので、人との関わりが減っていくんです。最初は仕事を覚えるだけで精一杯だったのですが、次第に刺激のない日常に飽き飽きしてきました。そんな時、4Hクラブに入っている近隣農家さんに誘ってもらったんです。
平取町では栽培品種も種を蒔く時期も決まっているのですが、それでも農家によって作り方が少しずつ違う。同世代の農家が、どんな事を考えてどう作っているのか話を聞くと刺激になって、積極的に参加するようになりました。

「今も勉強の日々」と語る水野さん(写真提供:サッポロビール株式会社)

――現在は北海道4Hクラブの会長と、平取町の若手農家が集う「びらとり4Hクラブ」会長を兼任されていますね。どんな活動をされているのですか?

北海道4Hクラブでは、若手農家を代表して北海道庁や農水省に訪問し、農業政策や震災対策などについて現場感を伝えたり、意見交換を行っています。
こうした場に参加すると、他の役員や会長の意見を聞くこともでき、とても勉強になります。

びらとり4Hクラブでは、平取町の農業普及や地域を盛り上げることを目指して、地域の子どもたちを集めて食育活動や勉強会をおこなっています。
また、平取町はアイヌ文化が受け継がれる町でもあるので、アイヌの方々が主食として親しんでいたイナキビを復活させようと、休耕地を借りてイナキビの栽培をはじめています。今はきび団子を作りたくて、6次化にむけて動き出しています。
また、アイヌ文化を未来に伝えていこうとグリーンツーリズムができないかと検討もはじめています。

――話を伺うだけでも忙しそうですが、こうした活動が水野さんの活力になっていると感じます。

そうですね。繁忙期の夏場なんかは、夜中に起きて夜まで農作業をして、そこから4Hクラブの活動をして……と寝る間もない忙しさです(笑)が、楽しいです!

4Hクラブは、色んな人と出会える点が良いと思っています。
素晴らしい先輩と出会って、「この人のような農家になりたい、自分も頑張ろう!」と思えたり、同世代と話をして「負けたくない、もっとできるはずだ」と自分を鼓舞することも多いです。

私も会長として、クラブ員の方々に交流の機会を提供していきたいと思っています。

――力強いお言葉、ありがとうございました!

【参考リンク】
全国農業者青年クラブ(日本4Hクラブ)

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