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作業機を装着したままのトラクターが公道走行可能に! 法令違反にならないためのチェックポイント解説

作業機を装着したままのトラクターが公道走行可能に! 法令違反にならないためのチェックポイント解説

このほど国土交通省から、作業機を装着したトラクターの公道走行についての基準緩和認定の公示がありました。つまり、作業機をつけたままのトラクターが公道を走ることができるようになったのです。しかし、ちょっと間違うと法令違反になってしまうかも? そこで、何が良くて何がダメなのか、どのような点をチェックするべきなのか、改めて説明します。

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大前提として、作業機をつけていない状態でも道路運送車両の保安基準に適合したトラクターでなければ、今回の基準緩和は適用されません。どんなトラクターでも公道走行可能になったわけではありませんのでご注意ください。

今回の記事は「トラクターに直接装着するタイプのものであって、移動時に折りたたみや格納できるものは折りたたみ格納した状態のもの」について説明をしていきます。

なお、トラクターにけん引される形で装着する「被けん引タイプ」も規制緩和の対象となっています。
詳細については、こちらのページをご確認ください。

作業機付きトラクタの公道走行について(日農工)

公道走行にあたってのチェックポイントは主に4つ

公道走行における以下の4つのポイントをしっかり押さえましょう。

  • 灯火器類の確認
  • 車両幅の確認
  • 安定性の確認
  • 免許の確認

以下、それぞれに詳しく説明していきます。

灯火器類の確認

作業機を装着したときに、道路上のほかの車や通行人等から、ウィンカーやランプなどの灯火器類がはっきりと確認できることが必要です。
また、作業機を道路走行に支障のない位置まであげた状態でも灯火器類が見えるかどうか確認するようにしましょう。

前から確認

前方から確認できなければならない灯火器類

作業機を上げた状態でちゃんと見えるか確認

後ろからも確認

後方から確認できなければならない灯火器類

作業機を上げた状態でちゃんと見えるか確認

もし確認できない場合は、灯火器類を別途設置

確認をしてみて、灯火器類が見えなくなってしまった場合には、きちんと見える正しい位置に灯火器類を設置する必要があります。その場合には、お近くの販売店などに相談してみましょう。

確認できる場合でも、場所によっては別途設置が必要

作業機を装着した状態で灯火器類が確認できる場合で、かつ最外側から40センチ以内に必要な灯火器類が設置されている場合は、新たに灯火器を設置する必要はありません。

しかし、トラクターや作業機にもともと備わっている灯火器類が、その機械の最も外側から40センチ以内に無い場合は、下記の対応が必要です。

上の図のような状態の場合、以下の対応が必要です。

  • 作業機の前面の両側の可能な限り最外側に、白色反射器を備えること
  • 作業機の後面の両側の可能な限り最外側に、赤色反射器を備えること
  • 保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識を後面に装着すること
保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識

設置しなくても良い場合も

トラクター単体で長さ4.7メートル以下、幅1.7メートル以下、高さ2.0メートル以下で、かつ、最高速度が15キロ毎時以下のトラクターの場合、そもそも車幅灯・尾灯・制動灯・後退灯が設置されていません。このような場合は、新たに設置しなくても問題ありません。

車両幅の確認(1.7メートル、2.5メートルに注意!)

車幅が1.7メートルを超えたら左右両側にバックミラーを設置

車両の大きさに関して、下記を確認しましょう。

  • 長さ4.7メートル以下
  • 幅1.7メートル以下
  • 高さ2.0メートル以下
  • さらに、農作業機を装着した状態で1.7メートル以下

以上を満たさない場合は、左右両側にバックミラーを設置する必要があります。

上の車両は小型特殊・普通自動車運転免許で運転はできず、大型特殊免許の取得が必要です(免許については後述します)。

作業機を装着した状態で2.5メートルを超えたら…

作業機を装着した状態で全幅が2.5メートルを超える場合には、以下の対応が必要です。

① 灯火器類が最外側から40センチ以内に設置されている場合

  • 車両の最外側が分かるよう、作業機の前面および後面の可能な限り最外側に、外側表示板を備えること
  • 保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識「全幅〇.〇〇m」を後面の見やすい位置に表示すること
  • 運転席にも全幅を表示すること

② 灯火器類が最外側から40センチ以内とならない場合

  • 車両の最外側が分かるよう、作業機の前面および後面の可能な限り最外側に、外側表示板を設えること
  • 保安基準緩和の条件となる制限を受けていることを示す標識「全幅〇.〇〇m」を後面の見やすい位置に表示すること
  • 運転席にも全幅を表示すること
  • 作業機の前面の可能な限り最外側に白色灯火器を備えること
  • 作業機の後面の可能な限り最外側に赤色灯火器および赤色反射器を備えること

全幅が2.5メートルを超えていて、灯火装置等がそれぞれ最外側から40センチ以内とならない場合の対応イメージ

また、このようなトラクターで公道を走行するときは、道路管理者から特殊車両通行許可を得る必要があります。道路管理者とは、国道は地方整備局、都道府県道は各都道府県、市町村道は各市町村となります。

安定性の確認(15キロ毎時以下で走行しましょう!)

作業機を装着することでトラクターの安定性(傾斜角度)が変わるため、安定性の保安基準(30度または35度)を満たせなくなる場合があります。その場合は、運行速度15キロ毎時以下で走行しなければなりません。

作業機をつけた車両の総重量が車両重量の1.2倍以上、または作業機等の積載によって重心の高さが上がるものは、最大安定傾斜角度35度以上

安定性が確認され、運行速度が15キロ毎時に制限されないトラクターと作業機の組み合わせは、下記のページに随時リストアップされていきますので、確認してみてください。

日農工ホームページ

免許の確認(大型特殊免許が必要になる場合があります)

作業機をつけていない状態で車体の大きさが長さ4.7メートル以下、幅1.7メートル以下、高さ2.0メートル以下(安全キャブや安全フレームの高さ2.8メートル以下)で最高速度15キロ毎時以下のトラクターで公道走行する場合、小型特殊免許や普通免許での運転が可能です。しかし、作業機を装着したときに幅1.7メートルを超えてしまう場合は、大型特殊免許が必要となりますので、ご注意ください。
普通免許を持っている人が大型特殊免許を取得する場合、指定自動車教習所で技能の教習受講後に卒業検定に合格し、都道府県の免許センターで適性試験(視力や聴力などの試験)を受けて合格することで取得が可能です。
また、指定自動車教習所を卒業せずに免許センターで実技試験を受けることもできます。
農業者の場合、各県の農業大学校でも取得が可能なところがあります。各学校によって時期や定員の制限がありますので、お近くの農業大学校にお問い合わせください。

* * *

作業機の着脱の作業の手間をかけずにトラクターでの公道走行が可能になった今回の基準緩和。うっかりチェックポイントを見逃していて法令違反とならないように注意し、安全に気を付けて走行してください。

【参考資料】
作業機付きトラクタの公道走行ガイドブック(一般社団法人日本農業機械工業会)

【画像提供・監修】
一般社団法人日本農業機械工業会

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