イチジクの育て方について、栽培カレンダーを見ながら解説していきましょう。
イチジクの植え付け
イチジクの植え付けは他の果樹と特別変わるところはありません。12月頃、苗が出回り始めたときに植え付けますが、冬に凍害の恐れがある地域では翌春の植え付けがよいでしょう。
50センチ穴を掘り、堆肥20キロと石灰500グラム、肥料1キロ程度(窒素-リン酸-カリが8-8-8の場合)をよく混和して埋め戻します。深植えにならないように気を付けて、根をできるだけ四方に伸ばした方がよいです。
鉢植えの場合は、市販されている花木用の土(なければ野菜用の培養土でもかまいません)7割に鹿沼土を3割混和して植え付けましょう。
添え木にゆるく結び、接ぎ木部分から3~5芽くらいまで切り詰めます。
イチジクの挿し木
イチジクを増やす際、新しい苗を購入する以外にも、挿し木という手段が用いられます。
もし近くにイチジクを育てている人がいる場合、剪定(せんてい)した枝を一本もらってきて、それを地面に挿しておけば、春から根が出てきて成長します。
地中に埋められる長さは長いほど発根しますが、地上には2芽ほども顔を出していれば大丈夫です。
イチジクの剪定
イチジクの剪定は、家庭果樹の場合はできるだけ簡単に考えましょう。葉が落ちた12月頃から2月くらいの寒い時期、木が休眠している間に剪定を終わらせます。
若木のうちは以下のように枝を横に伸ばすのが将来的に木を低く育てるために重要です。ひもで引っ張ったり、添え木に結んだりして矯正します。
真横に仕立てるやり方が一番簡単で近年人気の仕立て方です。“一文字整枝”と呼ばれる技術で、果実の品質も良くなります。ただし、重要なのは先端だけが少し高くなるようにしておくこと。先端まで下がっていると木全体が弱ってしまいます。
さて、2~3年もすれば本格的に収穫できてしまうのがイチジク栽培の魅力ですが、どう切ればよいのか、その生理について考えましょう。
イチジクは冬の時点で存在している枝には果実がなりません。春になって伸びてきた新しい枝(以下新梢<しんしょう>と呼びます)に果実がなるのです。なので、全ての枝をつんつるてんに切り詰めてあげればよい訳です。
これで終わり。簡単でしょう?
イチジクの肥料
イチジクにも肥料が必要です。ただしやり過ぎは禁物です。枝の勢いが強すぎると感じる場合は、実がならずにどんどん大きくなってしまう可能性がありますから、施肥は見送った方がよいでしょう。
しっかり収穫できている木、鉢植えの場合は必ず肥料を与えてあげます。12月頃に1キロ程度(成分比8-8-8の場合)の有機配合肥料を根元から50センチほど離して散布してください。鉢植えの場合は、鉢の大きさに応じて減量してください。
イチジクの芽かき
イチジク栽培で一番重要なお仕事、芽かき作業は、新梢が発生して、葉が3枚以上ついてからおこなうのが一般的です。しかし、家庭果樹の皆さんは、もう少し待って果実の赤ちゃんがついているのを確認してから芽かき作業を始めることをおすすめします。
あまり早くおこなうと、養分が集中してしまい、新梢は強く伸びますが根元の方は果実が実らず、勢いが収まってきた先端部分にしか実がならないという相談が多いのです。
新梢と新梢の間を、20~30センチ程度のスペースが確保できるように、素手でぽきぽきと芽を外していきます。
これが終わると、あとは収穫を楽しむだけです。
イチジクの収穫
イチジクの収穫適期は、果実に色つやが出てきて、根元の方を手で触ったら少し弾力がある頃。数日のうちに腐ってしまうのであまり自宅から離れた場所ではなく、毎日観察できる場所での栽培をおすすめします。ずっと収穫できますので、長期間楽しむことができます。
イチジクの水やり
「イチジクは水をたくさん必要とするから水はけの悪いところが良い」というのをよく聞きます。しかし、栽培するにあたっては、水はけが良いに越したことはありません。それでも水分ストレスに弱いことは事実で、特に盛夏期に水分が足りなくなると、目に見えて果実が小さくなり、木が弱ってきます。地植えの場合は1週間雨がなければホースで5分ほど、たっぷりと水やりした方がよいでしょう。鉢植えの場合は、毎日水やりを忘れないでください。
イチジクの病害虫防除
イチジク栽培で重要な病害虫には、果実がどろっと溶けてしまう疫病や、ショウジョウバエなどの小さな虫がイチジクのお尻の穴から侵入してしまう、というものがあります。
これらの原因は、実は土壌に住んでいる菌によって起こります。しっかりと防除したい人は、「ランマンフロアブル」や「アミスター10」などの専門の殺菌剤を使用する他ありませんが、散布する時は、下の土も含めて全体に満遍なくかけてあげましょう。
どうしても困っている人は、裏技ですが、全部のイチジクのお尻の穴にマスキングテープを貼ってしまいましょう。物理的に防除できます。
イチジクの栽培方法解説、いかがだったでしょうか。簡単に育てられる果樹なのでお庭に植えてみて楽しんでください。