土量が少なくても農作物が元気に育つ保水力と排水力

『エコカル』(写真手前)と『エコライム』(写真奥)を手に取ったところ。どちらも驚くほど軽量です
広く流通する建設資材を中心に販売する大坪GSIでは、独自技術を生かした農業資材開発に注力。軽量で多孔質な人工軽石『フォームドG』は、多様なニーズに応えられる資材として数年前から量産を本格化しています。「商品には2つ大きな特長があります。1つは、農地の中の水分量を調整できる多孔質であること。もう1つは、気泡の中に植物の栄養となる微生物を入れることで土の活性化を促すなど、何かと上手く組み合わせることで有効性を高められることです」と大坪代表。実際、土量が限られるイチゴ農家などの高設栽培で抜群の保水力と排水力を発揮します。現在は〝多孔質〟の有用性に着目し、液肥や微生物の開発を行うメーカーとタイアップして新たな商品を開発しているそうです。「組み合わせにより大きな相乗効果を生む『フォームドG』は、気泡をミクロン単位で調整可能。目的別に細かなオーダーに応じるなど、人工軽石が必要とされる場面でさまざまな要件に合わせて開発できるのも大きな魅力ですね」

硫酸カルシウムの土壌改良材『エコカル』(左)と福岡県糸島市産の牡蠣殻を使った天然有機石灰『エコライム』(右)
独自の土壌改良材で農業の効率化を図りコスト削減に貢献

代表自ら商品開発に積極的に取り組んでいます(写真左/大坪代表 写真右/椛島企画営業課長)
また、オーダーメイドに応じられる会社の強みを生かしたのが、2019年7月に商品化された『エコライム』です。すでに農業用土壌改良材『エコカル(硫酸カルシウム)』を提供する同社では、牡蠣養殖が盛んな糸島(福岡県)で年間約800tもの牡蠣殻の処分に悩んでいるという新聞記事に注目。糸島漁協の依頼を受け、農協や自治体の協力のもと牡蠣殻を用いた天然の有機肥料を製造、地域農家に販売する新たな仕組みを構築しました。そして後日、農家から高評価を得た商品を他の地域でも販売して欲しいという要望を受け誕生したのが『エコライム』。「どちらもカルシウムを補填する役割は同じ。『エコカル』は中性でカルシウムと硫黄を補填できるところが炭酸カルシウムとの大きな違いです。炭酸カルシウムに比べて約170倍も溶解度が高いというデータもあります。一方、『エコライム』はアルカリ性で酸性土壌の改良に最適。有機分が豊富なので作物にとって良質な土のベッドづくりに適しています」と大坪代表は話します。
オーダーメイドのオンリーワン商品を開発できる環境が整う同社だからこそ、既存商品をベースにオリジナルの機能性を加えることも可能です。同社がめざすのは、付加価値の高い商品開発で農業の効率化やコスト削減に貢献すること。挑戦を続ける同社のものづくりから目が離せません。

「お客様の役に立ちたいという思いからさまざまな商品が生まれています」と大坪代表
[問い合わせ先]
大坪GSI 株式会社
〒839-0241 福岡県柳川市大和町徳益416
TEL:0944-74-6811
<主要事業内容>
採石・砕石事業、産業廃棄物処理・リサイクル事業、運送事業、土木・解体工事業