日本有数の”有機農業のまち” 熊本県山都町(やまとちょう)が農業研修制度を創設。さらに就農しやすい環境に!

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日本有数の”有機農業のまち” 熊本県山都町(やまとちょう)が農業研修制度を創設。さらに就農しやすい環境に!

日本有数の”有機農業のまち” 熊本県山都町(やまとちょう)が農業研修制度を創設。さらに就農しやすい環境に!
最終更新日:2020年09月02日

いまや世界中で取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、有機農業は重点分野として注目されています。ひと言で有機農業と言っても、それを名乗るのには農林水産省が定めたさまざまな基準をクリアしなければなりません。さらに専門的な知識と豊富な経験が必要なため、有機農業の栽培法を身につけ、作物を育てて売るまでには長い年月がかかります。熊本県山都町は40年以上も前から有機農業に取り組み、現在でも盛んに有機農業が行われている有機農業の先進地です。近年増加している有機農業を志して移住する若年層に対し、先輩農家から直接ノウハウを学ぶことができる農業研修制度が2018年に創設されました。山都町の魅力と有機農業の特徴を織り交ぜながら、この研修制度についてご紹介します。

“有機農業のまち”山都町がさらに就農しやすくなった!

町を囲む山々には棚田が広がり、美しくのどかな風景を見せている山都町。熊本県の東部(九州のへそ)に位置しています。江戸時代から受け継がれている郷土芸能『清和文楽』や、日本最大級の石造りの水路橋『通潤橋』があり、多くの見物客で賑わいを見せている山都町は、冷涼な気候と寒暖の差、そして清流とミネラル豊かな土壌に恵まれ、有機農業を行うのには最適な環境を有しています。

自然環境以外にも、
・JAに有機農業研究会があり、有機農業の資材の取り扱いがある。
・学校給食に有機野菜が提供されている。
・新規就農者でも受け入れてくれる出荷先がある。
など、町全体に有機農業に対する理解がある点も”有機農業のまち”たる所以でしょう。
現在では有機JAS認証事業者数が日本一になるなど、”有機農業をやるなら山都町”としてその名を全国に知られるようになりました。

山都町のシンボル『通潤橋』※現在は2020年4月の放水再開に向け復旧工事中

新規就農支援としての研修制度を創設

そんな山都町は2年前、新規就農者を支援するための研修制度を創設しました。この制度では…

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◎就農希望者が現役の農家のもとで直接有機農業を学ぶことができる。
◎空き家への転居には補助金が支給されるなど、移住サポートもある。
◎移住後の生活についても都度専門機関に相談することができる。
◎必要な資材や農機などの手配についても、受け入れ先の農家や地元の方々から協力を得ることができる。
◎担当者が定期的に巡回して就農状況を確認し、新規就農者は細かなアドバイスをもらえる。
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など、難しいとされる有機農業を継続して行うことを支援する手厚いサポート体制が充実しています。

山都町における移住、研修から就農までの流れ

初年度の2018年に3名の研修生が移住しており、3年目となる2020年も現時点で2名の研修生が確定。この制度が有機農業の後継者育成の一助となり、町全体の活性化と有機農業のさらなる発展にもつながると期待されています。

取材に訪れた田上農園で収穫された有機にんじん

周りの誰もが師匠であり家族も同然。有機農業に取り組むには最高の環境

修了を目前に控えた本田さんの就農の決心

研修生の本田渉さんは、2020年4月の独り立ちに向け準備中です。東京出身の本田さんにこの制度を利用したきっかけと魅力について尋ねました。

「小さい頃から自然が好きで、母の実家がある大分の自然に慣れ親しんで育ちました。オーストラリアの大学・東京の大学院で自然環境学などを学び、その知見を生かして東京で就職しましたが、やはり現場の当事者になりたいという思いがずっとありました。

そんな中、東京の就農イベントで山都町を知ったのがきっかけで就農を決意し、家族で移住することにしました。有機農業は手間がかかりますが、植物生理学や生態学の理解の上に成り立っており、ポテンシャルを感じています。師匠の田上さんの、黙々と作業をこなす姿も尊敬しています。

この制度を利用して良かったのは、研修だけでなく生活面でのサポートも充実している点、そして地域の皆さんや受入農家さん、また同期の研修仲間など、相談できる人が近くにたくさんいて横のつながりができた点です。今年独り立ちをしますが、農地や新規就農に係る手続きがスムーズに準備ができたこともありがたかったですね。
まずは1年間、きっちりと野菜を作ることを念頭におき、その後出てくるであろう課題点に真摯に向き合っていきたいと思います」

「大分の祖父母宅で豊かな自然環境に触れた原体験が、山都町で有機農業を志した原点です」と語る本田さん

本田さんを支える師匠、田上さんの想い

本田さんの受入農家である田上(たのうえ)貴士さんは、代々有機農業を続けている田上農園の後継者として、8年前に家族でUターンし就農しました。有機農業や地域の若手農業者で『株式会社 山都でしか』を起業し、新規就農した時の自身の経験と代々続く有機農家のノウハウを伝えています。そのお父様は山都町の有機農業を立ち上げた一人で、学校給食への提供や有機作物による食育を行った、いわば有機農業の先駆者です。

「有機農業は化学肥料や農薬を使わず、除草などの手入れは手作業で行います。今は虫よけのネットなどが開発されたため、昔に比べると作業は簡略化されましたが、慣行農業よりもまだまだ手間がかかるのも事実。でもその分「安全・安心」という付加価値と、なによりも「美味しい」ことから全国に根強いファンがいます。

町を上げて有機農業に取り組む上で山都町は、農地だけでなく住宅環境の支援も充実しています。そして就農を支えてくれる地元の人がたくさんいます。この制度の利用者が今後も増えることで有機野菜がアピールされ、町全体がさらに盛り上がるといいですね」

「お客様が美味しいと言ってくれることがなによりの喜びですね」と田上さん

本気で有機農業に取り組みたいなら、ぜひ山都町へ

農業と移住のマッチングや研修前後のサポートをし、継続した就農の後押しに尽力している兼瀬(かねせ)さんと、山都町役場農業研修担当の中川さんに、山都町への移住と今後の課題について伺いました。

「もともと私も農業を志していましたが、移住者の支援に力を注ぎたいという思いが強くありましたので、大学では移住農村や若年層の移住について学び、ご縁があって今に至ります。農村への移住の良さは、自由にできる空間を広く持つことができ、やりたいことを実現できる点です。ただ、有機農業は多くの手間と時間がかかる上に収量も少ないという、ビジネスにするのには不確定要素が多いため、専業にするにはハードルが高くもあります。ですから今後は、専業農家だけではない人々の受け入れ先としても間口を広げてゆきたいですね」(兼瀬さん)

「この制度の良い所は、農業研修と併せて移住前から移住後のサポートもワンストップで行い、居心地のよい就農環境を提供できる点です。関係機関との連携を密にとっているので、移住就農に関する手続きもスムーズです。就農者は、受け入れ先の農家さんを始め、研修中にたくさんの方とお繋ぎするカリキュラムになっていますので地域全体がサポーターとなり、心が折れることなく就農を続けることができます。これからも、就農者の気持ちに寄り添うサポートをしていきたいですね」(中川さん)

毎年、研修修了後には県やJA、農業委員会、受入農家などを呼んで報告会を行っています(写真右端は山都町長)

■移住、就農に関するお問い合わせ■
山都町役場 農林振興課 農政係

〒861-3592 熊本県上益城郡山都町浜町6番地
TEL0967-72-1136(直通)
山の都地域しごとセンター
〒861-3513 熊本県上益城郡下市158番地
TEL0967-72-9111

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白亜の外壁に木材をあしらったデザインが美しい山都町役場庁舎

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