酪農・畜産農家必見! 畜産クラスター事業活用の効果

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酪農・畜産農家必見! 畜産クラスター事業活用の効果

連載企画:【専門家監修】農業経営の節税・補助金活用ポイント

酪農・畜産農家必見! 畜産クラスター事業活用の効果
最終更新日:2020年02月25日

今回は酪農業・畜産業を支援・強化する「畜産クラスター事業」を紹介します。酪農業・畜産業を営む農業経営者には、この事業を一度または複数回利用されたことがある方も多いのではないでしょうか。今回はこの制度の概要から、制度を利用することによる経営上の効果や、税金の申告上のメリットについて詳しく説明します。具体的な経理処理の例も合わせて紹介しますので、ぜひ自分の経営状況に当てはめて活用することを考えてみてください。

畜産クラスター事業とは

畜産クラスター事業の概要

畜産クラスター事業とは、酪農・畜産分野の生産基盤強化や地域一体となった収益力の向上を行うために、農林水産省が補助金を交付する事業です。地域の関係者(畜産農家、地方公共団体、JA等)が集まって設置した畜産クラスター協議会にて畜産クラスター計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることで補助事業が活用できます。補助金は機械装置の更新や施設整備を行う際に利用できます。
この補助事業を活用した場合、機械や設備導入時の本体価額(税抜き)の1/2の国庫補助を受けられます。付加貸付料や譲渡代金を加味しても実質40%オフで新品の機械や設備を導入できるという、経営者にとって非常にありがたい制度です。支払いは基本的には7年間の分割払いとなります。また、取得に関して従来は「リース方式」のみでしたが、現在は「購入方式」も選択できるようになっています。

畜産クラスター事業の規模要件の緩和

畜産クラスターの目的は収益性の向上であるため、事業を利用後は地域の平均規模(頭数)以上の経営にする必要があります。しかし、メガファームなどの大型経営が多い地域の場合は平均規模自体が大きくなるため、今までは多少の増頭では対象外とされてしまう事例が見られました。そのため今後はその要件が緩和され、全国都府県、または北海道の平均規模以上に増頭すれば対象となるので、利用しやすくなります。

畜産クラスター事業を活用して設備投資をしたら

では、実際に畜産クラスター事業を活用して設備投資を行った際の経理処理を見てみましょう。リース方式、購入方式ともに同様の処理を行います。これはリースという名目であっても、リース期間終了後に借受者に譲渡するという条件が付いている「所有権移転リース」であるため、売買処理を行うことになっています。

ホイルローダーを取得した場合の例

所得税:個人事業主の処理

総支払額である5,815,731円が減価償却を計算する際の基準となりますので、この額で資産計上となります。また、補助金5,100,000円については「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を作成して確定申告書に添付して税務署に提出しましょう。仕訳は下記のようになります。

【仕訳】

機械装置/長期未払金 5,815,731円

法人税:法人の処理

基本的には個人と同様に、総支払額である5,815,731円が減価償却を計算する際の基準となりますので、この額で資産計上となります。
また、補助金5,100,000円については、決算書上の特別利益の国庫補助金収入として経理し、同時に特別損失の固定資産圧縮損として経理することで、法人所得に加算しないことができます。「法人税申告書の別表十三(一)国庫補助金、工事負担金及び賦課金で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する明細書」の作成および提出が必要です。仕訳は下記のようになります。

【仕訳】

機械装置/長期未払金 5,815,731円
機械装置/国庫補助金収入 5,100,000円
固定資産圧縮損/機械装置 5,100,000円

なお、所得が出ない年度や来期以降に所得が増えると見込まれる場合に、あえて圧縮損を計上しないで来期以降の減価償却として残しておくこともできます。今期は収入が増えますが、来期以降の減税にはつながるので、経営状況や今後の見込みを考慮した上で検討してください。

消費税(税率10%で計算)

個人・法人ともに総支払額と補助金額の合算額が仕入税額控除の対象となります。仕訳で表すと下記の通りとなります。

・個人事業主の場合

機械装置/長期未払金 5,815,731円 課税仕入
機械装置/雑収入 5,100,000円 課税仕入
雑収入/機械装置 5,100,000円

・法人の場合

機械装置/長期未払金 5,815,731円 課税仕入
機械装置/国庫補助金収入 5,100,000円 課税仕入
固定資産圧縮損/機械装置 5,100,000円

その他税制の優遇措置について

クラスター事業にて導入した新品の機械について、補助金を除く取得価額が160万円以上であれば、取得価額の7%の税額控除か取得価額の30%の特別償却のどちらかを選択することもできます。
安定して所得が発生する場合は税額控除がお得であることが多いですが、経営状況によりどちらを選択する方が有利か変わるため、確定申告や法人決算の際に検討してみてください。

畜産クラスター事業のポイントまとめ

今回紹介した畜産クラスター事業のポイントは下記の3つです。

①地域全体の酪農業・畜産業の生産基盤強化や収益性向上につながる
②国庫補助事業を活用することで費用を抑えながら新品の機械や設備を導入できる
③節税効果がある

実際に畜産クラスター事業を利用した農業者は「搾乳頭数を100頭から150頭に増やす規模拡大に伴い、搾乳ロボット等の機械更新をしたかったところでクラスター事業をうまく活用することができ、作業効率向上と経営改善を実現することができてありがたかった」と話します。経営にさまざまな良い効果をもたらす畜産クラスター事業、酪農業や畜産業を営む方は活用してみてはどうでしょうか。興味のある方はお近くのJAに相談してみてください。

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