最北の地で酪農を科学する。日本高水準の繁殖成績をもたらす確かな理由

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最北の地で酪農を科学する。日本高水準の繁殖成績をもたらす確かな理由

最北の地で酪農を科学する。日本高水準の繁殖成績をもたらす確かな理由
最終更新日:2020年03月24日

生乳を生産するという一見シンプルに思える行為。しかし乳質・乳量をいかに上げるのかはさまざまな酪農技術の集大成であり、日々どのように牛と向き合い、アプローチし、実践するのかによって結果が大きく変わる世界です。北海道枝幸郡浜頓別町。日本最北端に近いこの地で、日本高水準の繁殖成績を上げる牧場があります。その名も『ふぁ~む未来』。柔らかで優しい響きを持つその牧場を訪れると、科学的なアプローチと牛が安心して暮らせる環境づくりを軸にして、独自の牧場経営に取り組んでいました。

渡り鳥の天国にある1000頭規模の牧場は、牛にも従業員にも優しい環境

北海道枝幸郡浜頓別町は、北海道の中でも最北に位置する宗谷管内にあります。町内のクッチャロ湖は、日本とロシアの間を行き来する渡り鳥が長旅の羽を休める休息地になっており、ラムサール条約の保護区。白鳥(コハクチョウ)が有名ですが、実は国の天然記念物であるオオワシも多くやってきます。そのクッチャロ湖から車で20分程のところにあるのが、今回紹介する『ふぁ~む未来』です。

『ふぁ~む未来』では現在、搾乳牛600頭、育成牛400頭の計1000頭程を飼育中。日本の北限に近い地域において、これほどの規模で経営をする酪農家は数えるほどしかありません。従業員も多く、アットホームな職場環境。労働時間と休みがはっきり分かれており、残業もほとんどなく、正社員は社宅が無料で、すぐに入居可能。有給も取りやすい環境です。ある程度の規模で経営をしているからこそ、従業員の労働環境や福利厚生がしっかりしているのです。

お話をお伺いした専務取締役の阿部さん

きらきらした目。つやつやした毛並み。健康状態の良い牛がお出迎え

『ふぁ~む未来』という文字を目にした時、なんだか温かくてふんわりした印象を受ける人も多いのではないでしょうか? 実際、牛にとっても人間にとっても優しい柔らかさを大事にしており、だから社名も“ふぁ~む”と平仮名にしているのだと、専務取締役の阿部さんが教えてくれました。

牛にとっても優しいというのは自由に暮らせる、ストレスが無いということ。『ふぁ~む未来』に訪れて、まずびっくりするのが、一斉に注がれる牛のきらきらした目とつやつやした毛並み。ストレスが無く健康状態が良い牛は、地肌の油が毛に移り、つやつやとして毛が寝ているそう。反対に健康状態の悪い牛は、地肌に油がないため、毛がパサパサして立っているのだそうです。ではなぜ、ここの牛はストレスなく過ごせているのか。それはスタッフの数が多く、一人一人が牛の状態をきちんと見極めているから。「一頭一頭の牛を見る目を養うことで、調子の悪い牛に早期に対応ができ、症状が重篤化しないようにしています」と阿部さん。誰かにちゃんと見守られているという安心感は、人も牛も同じなのですね。

清潔な牛舎内では、ちょうど午前中の飼料タイムが始まっていました

他にも『ふぁ~む未来』を他の牧場から際立たせている特徴が2つあります。1つ目は、外から牛を買ってくるのではなく、自分の手で繁殖を行い、生まれた子牛を搾乳牛に育てるサイクルを築いていること。もう1つが繁殖成績への拘り。繁殖成績にはいろいろな概念がありますが、一言で言うと出産から次の出産までの期間のこと。これを短くすることで生産性が上がり、個体乳量1万kg以上かつ分娩間隔400日をキープすることができます。この繁殖成績は、日本全国で見ても上位クラスの成績です。

熟練の家畜人工授精師と連携した独自の飼料配合に、高成績の秘密あり

何がこの繁殖成績を可能にしているのでしょうか? それは、酪農を科学していること。具体的には、約10年の実績がある授精師の存在と、牛の状態に合った飼料配合(専門用語でTMR配合と言います)をできることが理由であり、この2つがそろうのは、とても珍しいのです。

家畜人工授精師とは、牛の繁殖のために必要な国家資格。牛は交尾ではなく、人工的に授精させています。牛も人と同じく、子供を産むとお乳が出るのです。出産後、40〜60日たったら次の種付けをし、搾乳を始めて280日〜300日たったら、搾乳を止め、次の分娩に備えて60〜90日間休ませるというサイクルです。乳量との関係で言うと、発情期を見逃さず、次の出産に向けて、適切なタイミングで授精させることで、次の出産への期間が短くなり、生産性が上がるのです。また授精師は、牛の体の仕組みを科学的に理解しています。牛というのは反すう動物のため、食べた物の影響が体に出るまで2~3日かかり、それを待ってしまうと、いろいろな対応が遅くなるのですが、直腸検査をできることにより、牛の体に出る影響を事前にイメージすることができるのです。

牛の検診中の獣医師。たくさんの専門家が一頭一頭の牛の健康を支えている

一方、TMR配合を自社できるメリットも、繁殖・受精をコントロールしやすいということにあります。簡単に説明すると、牛の優先順位は、生命活動を維持⇒妊娠維持・母体維持⇒繁殖・授精となっています。つまり、最初の2つがちゃんと満たされないと、繁殖・授精にエネルギーが回ってきません。また、逆にエネルギーが多すぎると、ホルモンの異常分泌が起こり、繁殖できなくなります。過剰でも不足でも駄目。授精には、絶妙な栄養バランスの調整が必要になるのです。

TMR配合を自社の授精師との連携で適切に行うことで、タイムラグなくタイミングをとらえた栄養管理ができ、優れた繁殖成績につながっています。また、通常は一括でTMR配合を行うところ、『ふぁ~む未来』では乳量別に群を分け、それぞれに合わせたTMR配合を行っています。こうした徹底した栄養管理が、高い繁殖成績を支えているのです。

『ふぁ~む未来』と同じ敷地内にあるTMRセンター『エバーグリーン』で、飼料配合の調整作業を行う杉本代表

免疫のない子牛の生後1週間を守ることが、新人の大切な仕事

『ふぁ~む未来』に入社すると、新人はどのような仕事を任されているのでしょうか? 話を聞いたのは、入社して9カ月、神奈川県出身の秋山さん。前職は、高知で漁師をしていたという異例の経歴です。秋山さんは現在、哺育担当。生まれたての子牛に、ミルクを飲ませる仕事と聞くとほんわかとした幸せなイメージがありますが、その重要さたるや、話を聞けば聞く程、驚いてしまいます。

哺育担当の秋山さん。もともとはアニメを見て、酪農に興味を持ったそう

「生まれたての子牛は免疫がありません。菌やウィルスに無抵抗でさらされている状態です」と秋山さん。免疫が形成されるまでにかかる時間は約1週間。では、その期間は何が子牛を守るのか? それが、母牛の初乳に含まれる“グロブリン”という免疫物質です。生後36時間以内に、どれだけ多くのグロブリンを摂取させることができるか、つまりどれだけ母牛の出した初乳を飲ませることができるかは、文字通り死活問題です。

しかし、これがなかなか簡単ではありません。ミルクを飲まない子牛もいるのです。体温が低いから? 呼吸の状態は? 羊水を飲みすぎていないか? この時に、ミルクを飲まない原因を、いかに早く特定できるかが担当者の勝負になります。秋山さんは、仕事を任された当時を思い出しながら、「最初は、子牛が脱水症状であることも分からず、困っていました。脱水症状が続くと、下痢が止まらず死んでしまうんです。今は鼻の湿り具合を見ることで、脱水かどうかを、すぐに判断ができるようになりました」と語ってくれました。牛の状態を見極め、原因と結果の仮説を立てて適切に対処する。『ふぁ~む未来』の“科学的なアプローチ”は新人の秋山さんにも、しっかりと受け継がれています。

子牛が集まる牛舎は、ほんわりとミルクの香りが広がる心地良い空間

インターンシップを受入中! 就農前に北の大地を訪れて搾乳など酪農体験

『ふぁ~む未来』では、現在インターンシップを受け入れています。「酪農って大変?」「どんなことをするの?」「牧場の雰囲気って?」など、いろいろな疑問を解決できるだけでなく、牧場で働く、先輩社員の声を、じかに聞くことができる機会です。最初に体験するのは搾乳。専務の阿部さんからは「搾乳は作業のフローが決まっているので、初心者でも安心してチャレンジできます。もちろん、手で絞るのではなく、ミルカーという機械を使用。これがずっしとり重たく、片手で支えなくてはいけないので、初日は腕が疲れるかもしれません。でもすぐに慣れるので安心してくださいね」と、メッセージをいただきました。

ちなみに、この搾乳の作業。実はなかなか奥が深く、精度(=乳量)を上げるには、熟練の技が必要とのこと。牛の乳房は、平面ではなく偏りがあるのが普通。乳房底面といわれるこの偏りに対応し、ミルカーの装着を、瞬時にスムーズに行うにはコツがいるそうですが、インターンシップでは、難しいことを考えなくても大丈夫。まずはどのようなものか、リラックスして体験してください。

その他にも、授精師や栄養管理士の講義など、酪農を科学的に考える牧場ならではの機会も用意。この記事で、何か少しでも心が動いたら、まずは世界を悠々と旅する水鳥のように、ふわっと浜頓別町まで飛び、気軽に『ふぁ~む未来』を訪れてください。羽休めでも構いません。この牧場名のような、温かな雰囲気に包まれるはずです。

午前中は、牛の食事の時間。飼料を混合するTMRの車両が、忙しく往来していました


【お問い合わせ先】
農業生産法人 有限会社ふぁ~む未来
TEL:01634-9-3161
FAX:01634-9-3060
E-mail:mirai2008@taupe.palala.or.jp
HP:https://www.mirai2008.com/

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