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近年の賠償事故の傾向は? リスクを知って不測の事態に備えよう

近年の賠償事故の傾向は? リスクを知って不測の事態に備えよう

農作業には危険も伴い、実際に高額な賠償金を負担しなければならない場合には、農業経営が大きく傾く可能性もあります。農家の皆さまに、安心・安全な農業経営をしてほしい! という願いを込めて、私たち共栄火災が、保険会社の目線から近年特に注意したいリスクをご紹介します。うっかり起こるケガや事故から、従業員や隣家から訴えられるリスクまで、要チェックです。

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農業のリスクとは

リスクには、発生防止とリスクが生じた際の損害規模を減少させる「リスクコントロール」と、備えとして保険や共済などによって資金面の準備を行う「リスクファイナンス」があります。

リスクコントロール

自らの手による、経営面や技術面でのリスク対策のことを指します。
・価格安定作物の選択
・経営の複合化・多角化
・リスク低減技術の導入
・労働条件・環境の改善
・情報の収集

リスクファイナンス

予期しない事故や災害によって起こる、経営リスクへの対策を指します。
農業経営者が日頃の心掛けや自己資金だけで、農業を取り巻くリスクに備えることは難しく、できるだけ少ない負担で最大限の経済的な損害に備えることができる保険や共済を活用する方法があります。

損害賠償が発生! 農業現場で多い事故は?

農業現場ではどのようなリスクがあるのでしょうか。共栄火災の保険「農業者賠償責任保険」の利用者のうち、不幸にも事故を起こしてしまい保険金支払いが発生したケースを見てみると、日頃の農作業の中にさまざまな賠償責任リスクが潜んでいることがわかります。

事故率ナンバーワンは「作業ミス(飛び石)」

賠償に発展する事故のトップは「作業ミス(飛び石)」。飛び石によって破損させる物を選ぶことはできないため、近隣に駐車中もしくは走行中の高級車などに被害が及ぶと高額な賠償金を請求されるケースもあります。
【例】
■草刈り作業中、飛び石により隣家に駐車中の自動車のウインドーを損傷させた。
■草刈り機で作業中、隣家に石を跳ねさせたことに気が付かず、隣家の外壁・窓ガラス・サッシ等を広範囲に破損させた。

隣接する農地に損害「農薬飛散」

【例】
■水田に除草剤を散布したところ、除草剤散布後の水が稲作水田からあふれ、隣接する「い草圃場(ほじょう)」に流れ込み、 「い草圃場」のすべての「い草」が枯れてしまい収穫不能となった。
■イチゴの圃場にて農薬散布していたところ、近隣に設置していた養蜂業者の巣箱に誤って農薬をかけてしまい、巣箱の蜂(授粉のためにリースしていた蜂)を死滅させてしまった。
■ブドウ園内の農薬散布をしていたところ、周辺に駐車中の車両に農薬が付着し損害を与えた。

不注意が大事故につながる「農地・施設の管理ミス」

【例】
■作業用建物のトタン屋根が外れそうになっていたことに気が付かず、自然に落下したため隣接する駐車場に止めていた自動車にぶつかり、破損させた。
■圃場に生えていた樹木の枝を伐採していたところ、切り落とした枝が通行人にぶつかり負傷させ緊急搬送された。
■牛舎から夜間、牛が逃げ出し、牧場の柵を越えて公道に出てしまい、公道を走行中の自動車と接触して、破損させた。

高額な損害請求の事例も!

「出荷物への異物混入」のように一度の事故でも損害の額が高額になるケースもあるので要注意です。
【例】
■収穫時に蕎麦(そば)が混入した小麦を出荷してしまい、出荷先で他の生産者の小麦に混ざりこみ、出荷先においてアレルギー物質となる蕎麦の除去作業を行った。(蕎麦除去作業に伴う費用等:6,716千円)
■麦畑に除草剤を散布した際に、突然強く吹いた風によって隣接するタマネギ畑に除草剤が飛散(ドリフト)し、それが原因となってタマネギが生育不良となり、通常通りの収穫ができなかった。(タマネギ代・検査費用・肥料代等:17,339千円)

近年増える労働災害のリスク

農業法人や個人事業主など、人を雇用している場合は、社内にも農業現場のリスクがあります。事業主は、「労働契約法第5条」において、従業員に対する安全の確保と必要な配慮が義務付けられています<安全配慮義務>。
万一、労働災害事故が発生した場合に備えて、国は「政府労災」の制度を提供していますが、最低限の保障となっており、被災従業員の遺族が訴え(民事訴訟)を起こし損害賠償責任を負ってしまった場合には、充分な資力が確保されない可能性もあります。
  
【高額判決の例】
建設業・1億6,524万円(1994年)
食品製造業1億1,111万円(平成122000年)

このように近年では、使用者責任の明確化や労働者の権利意識高揚などの風潮から、労災事故が訴訟となる可能性が高まっています。

農作業中の身体障害、いわゆるケガについては、統計上毎日約200件発生しています。また、農作業中の死亡事故については、世の中の仕事中のケガ(労働災害)と比べると、実に11.6倍の割合で発生しています。

提供:共栄火災保険

【例】
■トラクターを運転中に、操作を誤ってタイヤが路外に逸脱して5メートルの高さからトラクターごと落下して頭部を強打し、死亡した。
■ビニールハウスの覆いを剥がしていたところ、ヒモが足に絡まったため転倒し、足を骨折した。
■水稲苗を人手で運搬中に、地面に落ちていた木片に気が付かずにこれを踏みつけたため、木片に刺さっていた古クギが靴底を貫通して足の裏に刺さり、負傷した。

賠償事例を見てみると、どの農業現場で起きてもおかしくないものばかりです。安全・安心の農業経営をするためには、日頃の心がけと事故に備えたリスクヘッジが大切です。この事例を見てヒヤっとした方は、ぜひ日頃の職場環境や施設管理を振り返ってみましょう。

【参考】共栄火災保険の保険商品

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