未来を志向する牧場。共同経営化したことで、作業効率や労働環境が改善
“スプライズ”という聞き慣れない言葉。同社の所在地「春日」の、春(Spring)と日の出(Sunrise)を組み合わせた造語で、春の暖かな日の出のイメージから命名されました。また「つなぎ合わせる」という意味の「Splice(スプライス)」にも由来します。
牧場を訪れて、まず驚くのがその大きさと新しさ、そしてたくさんの笑顔と笑い声。社名通り、希望に満ちてキラキラしています。設立に至った話を聞くと、「別々に牧場経営をしていた5戸は、それぞれに悩みを抱えていました。後継者がいなかったり、設備投資のタイミングだったり、酪農を進化させたいけど、個々では体力がなかったり。地域の未来を考えると、産業がその地にあることが大切。5戸が一緒になって大規模化や最新設備を導入することを検討しました。共同経営化したことで作業効率が向上し、労働環境が改善されてます」と代表夫人の古田美子さん。

完成当時の写真
同社は、共同経営者とその家族を含めた12名と従業員3名の15名で構成。5年以内の年間出荷乳量6500tを目指しています。搾乳特化型で育成舎はありませんが、生まれてくる仔牛のために、120頭入る哺育舎も。飲み口が2つある哺乳ロボットも2基備え、仔牛の首に付けられたICタグをセンサーが読み取り、哺乳を個体ごとにデータ管理し、後継牛は基本的に生後6カ月まで哺育した後、預託施設へ受け入れてもらいます。

餌寄せロボット。仕事の省力化に貢献する優れもの

古田社長の奥様・美子さんと娘の智子さん。牧場の笑顔と笑い声の中心はこの2人
最新のロータリーパーラーで搾乳体験。生まれたばかりの仔牛の世話も
インターンシップは、3日と5日の2つのコースがあります。いずれも、初日午前に『八雲』駅まで来てもらい(牧場から迎えが来ます)、午後からオリエンテーションがスタート。会社の概要説明や自己紹介、施設見学、仕事説明を行います。
以後、最終日まで取り組んでもらうことは、大きく3つ。
1つ目は搾乳体験です。同社では、ロータリーパーラーという設備を導入しており、搾乳の時間になると、牛が牛舎の区分けごとに集まってきます。牛がロータリーパーラーに入ると、まずは乳頭を刺激するための前搾り。次に乳頭にブラシをかけ、掃除後はタオルで丁寧に拭きます。その後に、ミルカーという機械が登場し、ティートカップ4本をそれぞれの乳頭に装着。搾乳が終わり、カップが外れた後は乳頭に薬を塗ります。
ここまでやると、ちょうどパーラーが一周しており、牛は自分でパーラーから出て、牛舎へ戻るという仕組みになっています。インターンシップで体験するのは、この一連の流れの中で、ティートカップの乳房への装着です。始めはドキドキするかもしれませんが、慣れてくると吸い付くように装着できるようになります。

ミルキングパーラー。50頭をいっぺんに搾乳することができ、約15分で1周する様子は圧巻です

手に持っているティートカップを乳房に装着。担当2人でリズムよく行っていきます
2つ目は牛舎の掃除。お昼に牛が餌を食べている際に、糞掻き、ベッドメイク(おが屑を機械でまきます)、それから水飲み場の掃除もします。牛が気持ち良く暮らしてもらうために、とても大切な作業です。

こちらが水飲み場。おいしそうに水を飲んでいました
3つ目が生まれたばかりの仔牛の世話。ここでは年間600頭以上の仔牛が生まれています。最高で10頭以上生まれた日も。生まれた仔牛は、併設の哺育舎へ移動させますが、一定の期間、哺乳瓶でミルクを与えるので、その担当をしてもらいます。

「やすこ!」とスタッフから呼ばれ、愛情たっぷりに育てられています
職場の雰囲気は若く和気あいあい。休憩中や作業前は笑い声がたくさん
笑顔と笑い声が多い職場。ここで働く15人のうち、4人が20代と、若い人が多いのも特徴です。女性スタッフにお土産のお菓子を持って登場した出張帰りの牧場長の舟橋さんは、「5戸それぞれの強みや蓄積してきたノウハウが違う。全国の品評会で賞を取ったことのある人、飼料生産に強い人。持っている知識や経験も人脈もさまざま。それを生かし合うことができるのが、5戸で集まって共同経営している良さです。今『スプライズファーム』として品評会に初出品する準備も進めています」と語ってくれました。

夕方からの搾乳の前に従業員のお母さんから事務所に差し入れ。愛情たっぷりのおにぎりでエネルギーチャージ
八雲町での新規就農を目指して、『スプライズファーム』で研修中(研修期間:2年)の先輩もいるので、インターンシップだけでなく、将来八雲町へのIターンやUターンを考えている人は、一歩先を行く先輩にいろいろ質問できるチャンスです。
八雲は暮らしやすい土地。その理由を従業員の皆さんに聞いてみました
日本で唯一、日本海と太平洋の2つの海に接する町。地元グルメの「二海カレー」は、八雲の牛乳を使ったホワイトカレーで、町内の飲食店で提供されています。昔からの北海道土産の定番・木彫りの熊やバター飴発祥の地でもあります。
スタッフの皆さんに八雲町の魅力を聞いてみると、「夏はキャンプ、冬はスキー、いい波が来るみたいでサーファーも多いです」「海鮮がおいしい。特に日本海側の熊石地区はアワビで有名です」「休みの日は、函館にも札幌にも遊びに行けます。近い将来、この地区に新幹線の駅が出来るから札幌までさらに行きやすくなりますよ」「露天風呂が気持ちいい“おぼこ荘”という温泉宿があり、600円で日帰り入浴も楽しめちゃいます」「北海道の中では温暖で、スーパーやホームセンター、ドラッグストアもあり、住みやすいです」などの声。
インターンシップだけでなく、酪農の道に進むことを決めたら、ぜひ八雲へ。そんな温かな思いとたくさんの笑顔で従業員の皆さんが待っています。
【お問い合わせ先】
株式会社スプライズファーム
北海道二海郡八雲町春日449-3
TEL:090-8371-8624
E-mail:splices@bz04.plala.or.jp
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