パティシエ絶賛のパイナップルが900万円超の売上
リトルワールドは全国の食の事業者を支援するプロジェクト「チーム・シェフ」を運営している。プロジェクトには有名シェフや6次産業化プランナーなど“食のプロ”が集い、日頃から地域の生産者との付き合いも豊富だ。
新型コロナウイルスの影響で、荒金さんの元には販路を断たれてしまった全国の生産者やメーカーからSOSの声が届いた。何とか力になりたいと、プロジェクトメンバーが各方面で尽力し、食材を購入できる臨時の応援販売サイトを開設。農水省の事業に参画した。
このサイトは、商品情報以上に生産者の情報やSOSの声にフォーカスして紹介している。シェフやパティシエ、農林水産省の6次産業化プランナーからの応援メッセージも特徴だ。
沖縄県西表島でパイナップルを栽培するアララガマ農園の池村さんの商品には、メゾンジブレーの江森宏之シェフからこんな応援メッセージが寄せられている。
池村さんのピーチパインは、桃のような香りがし、パイン自体は芯までサクサク、みずみずしく、甘み、酸味のバランスに優れていて、いくらでも食べられます。また、ゴールドバレルは糖度が高く、パティシエとして手を入れたりせず、そのまま召し上がって頂いても、素晴らしいスイーツです。まさにパイナップルの王様と言える果物だと思います。
パティシエ目線のメッセージと、発信力のある料理人によるSNS投稿が話題を呼び、プレオープンから3週間程で9500円のパイナップルが950セット売れたという。
対象商品を購入すると送料が無料に
インターネット販売推進事業では、牛肉、野菜・果物、水産物、茶、花きといった対象商品の配送料を全額農水省が負担する。同サイトでパイナップルの売れ行きが好調なアララガマ農園のマンゴーも対象商品だ。
一方で対象外の品目もある。このサイトでは、対象品目以外にも今しか買えない魅力的な商品を紹介している。
例えば長崎県五島市の林鮮魚店「五島列島産 天然鮮魚BOX」は、通常は一部の料理店にしか卸されない希少な商品だ。メッセージコメントでは、慈華(いつか)オーナーシェフの田村亮介さんが「日本のトップレベルに君臨する鮮魚店です!」と絶賛している。
北海道芦別市で観光農園を営む大橋さくらんぼ園は、さくらんぼ狩りの時期(7月~8月)には1万5000~2万人が訪れる人気の観光農園。堆肥と有機質肥料のみで栽培されたこだわりの「さくらんぼ南陽」にはファンも多い。今年は来園目途が立たず、約10トンのさくらんぼが破棄される可能性があるという。
こうした足のはやい商品は値下げをして売り捌くという選択もあるが、販売価格はほぼ定価で設定している。荒金さんは「生産者が危機に瀕している時期だからこそ、1円でも多く戻したい」とサイトのポリシーを語る。
また、他のECサイトの活用も推奨する。「農水省の事業では、私たちのサイト以外にも『食べチョク』『豊洲市場ドットコム』『技わざ』が採択されています。ぜひ色々な支援サイトを覗いていただきたいです」と話した。
農水省では5月26日に「国産農林水産物等販売促進緊急対策」特設ウェブサイトをオープンし、インターネット販売推進の他、食育推進事業、農林水産物の販路の多角化推進事業、地域の創意による販売促進事業の4つの支援プログラムを紹介している。
<参考>
食卓から応援!食べてつなげよう支援の輪
農林水産省「インターネット販売推進事業」