クランベリーとは
クランベリーはツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属の植物で、同じく「ベリー」と呼ばれるバラ科キイチゴ属のラズベリーやブラックベリーとは別の種類です。諸説ありますが、花の咲く様子が鶴(クラン)が飛ぶ姿に似ていることからクランベリーと呼ばれるようになったと言われています。実は1~2センチほどの大きさで楕円形をしていて、夏の間は緑色をしており実は硬く、秋になり気温が低くなると深紅から黒みを帯びた赤色に色づいて、熟すと柔らかくなります。実の中は空洞があり白い色をしています。
原産地はヨーロッパから北アメリカの亜寒帯と言われており、特にアメリカはクランベリーの一大生産地です。続いてカナダ、チリ、トルコなどでも多く生産されています。9月下旬から春先にかけて収穫され、アメリカとカナダの秋の祝日である収穫祭で食べられる七面鳥のソースに使われるのが伝統的な定番です。酸味やえぐみが強いため、生食には適しておらず、ジャムやジュース、ソース、ドライフルーツなどに加工されるものがほとんどです。
クランベリーの栄養素と効果
日本ではあまり身近でないだけに、クランベリーの豊富な栄養素については意外と知られていないのではないでしょうか。体にうれしい4つの栄養素について解説します。
ポリフェノール プロアントシアニジン
プロアントシアニジンはポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用を持つことで知られ、皮膚の色素沈着を改善する効果もあるとされています。クランベリーに含まれるプロアントシアニジンは、数ある果物の中でもトップクラスの含有量と言われています。
キナ酸
キナ酸は、キナという樹木の皮から発見された成分で、クランベリーの実やコーヒーの種子などに含まれています。殺菌作用が強く、老廃物の排出を促進するなどの働きがあります。キナ酸が体内に入ると馬尿酸に変化し、尿のpHが弱酸性に保たれることで細菌の繁殖を防ぐことができます。
ビタミンE
強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミンEはホルモンバランスを整える他、血流を促進する効果もあります。冷え性を改善し、いきいきとしたハリのある美肌へ導いてくれます。
ペクチン
ペクチンには、お腹の調子を整える働きがあります。善玉菌を増やして腸内環境を改善したり、腸内の老廃物と結びつき、便のかさを増やしてぜん動運動を促進することで便秘解消にもつながります。腸内環境の改善は肌荒れの予防にもなります。
クランベリーのおいしい食べ方
クランベリーは酸味が強いため加工して食ベることが主流で、約95%がジュースやソースなどの原料になります。日本で生のクランベリーと出会う機会は少ないかもしれませんが、加工品は比較的入手しやすく、手軽に楽しむことができます。中でもおすすめの食べ方をご紹介します。
ジュース
クランベリーは酸味が強いため加糖されているものが多いですが、なるべく甘味料や着色料などの添加物が含まれないものを選びましょう。炭酸水で割るとすっきりと飲みやすくなります。レモンを搾ったり、紅茶や豆乳などで割るなどアレンジしてもよいですね。
ケーキやゼリーのトッピング
クランベリーのきれいな色や酸味をいかしたお菓子はいかがでしょうか。冷凍クランベリーを使うと簡単です。酸味が強いクランベリーは、タルトや甘いケーキに敷きつめてもバランスがよいですし、クランベリーゼリーは、赤い実の色がとてもきれいに映えます。クランベリージュースを使って作るのもよいでしょう。ミントを添えると見た目にもさらにさわやかになります。
ドライフルーツ
ドライフルーツは基本砂糖に漬け込んでいるものが多いため、甘くて食べやすいですが、糖分過多にならないように食べ過ぎには注意しましょう。ヨーグルトに入れたり、ジャムにするのもおすすめです。ドライフルーツはオイルコーティングされたものも多いため、ジャムなどに加工する際はお湯で洗ってから使うとよいでしょう。
クランベリーの正しい保存方法
生のクランベリーが手に入ったら、上手に保存しておいしくいただきましょう。3種の保存方法をご紹介します。
冷蔵保存
酸味が強く比較的日持ちしますが、一度購入時のパッケージから出し、潰れや傷み、カビが生えているものがないか確認しましょう。確認したら再度保存袋に入れて冷蔵庫で保存します。
冷凍保存
冷蔵保存と同様に中身を一度確認してから、よく洗って冷凍用の保存袋にいれ冷凍庫で保存します。
ジャムにして保存
鍋にクランベリー、砂糖、水または白ワインを入れ煮詰め、煮沸消毒した瓶などに入れて保存します。砂糖を入れても酸味が強いので、気になる場合は水の代わりにリンゴジュースで煮るのもおすすめです。お菓子作りや煮込み料理のアクセントにも使うことができます。
栄養効果たっぷりのクランベリーを食べる習慣をつくろう
鮮やかな赤色とさわやかな酸味に元気をもらえそうなクランベリー。輸入食材を扱う店には、旬である秋頃にフレッシュクランベリーが並ぶことがありますので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。体にうれしい栄養効果もたっぷりなので、まずは手軽にジュースやドライフルーツなどの加工品から、食べる習慣をつくってみてはいかがでしょうか。
監修:日本野菜ソムリエ協会