水に溶けやすい性質を生かした施肥法
穂肥(ほごえ)は米の品質と収量を左右する重要な施肥です。しかし、7~8月の猛暑下で重い散布機を背負って田んぼに入るのは、考えただけで重労働です。サンアグロは、自社製品『千代田化成』の溶けやすい性質を活かして、約40年前に水田の水口から流し込む『らくらく施肥法』を確立し提案してきました。
今回初めて実施する農事組合法人アグリテック栃木の簗島さんは、5年前にUターン就農で同法人に入職。2年前から水稲を担当しています。
同法人全体では栃木市内の圃場100ヘクタールの生産を受託。今年は、そのうち55ヘクタールを稲作にあて、残りは麦と大豆をローテーション栽培しています。
「栃木市内でも生産者の高齢化で受託作業が増えています。少人数で圃場をまわせるように、常に農作業の効率化と省力化を考えています」と簗島さん。
そんな中で、普段からサポートを受けている農業資材販売代理店の第一アグリの鹿野さんから『千代田化成』の流し込み施肥の提案があり、今回試してみることにしました。
流し込みを初体験! 田んぼに入らず10分ほどで終了!?
今回は、分茎肥(ぶんげつごえ)として、販売代理店・第一アグリの鹿野裕さん、製造元・サンアグロの小田倉智之さんにレクチャーを受けながら流し込み『らくらく施肥法』を試します。
使用する肥料は、『らくらく施肥法』専用の『千代田化成472』(チッ素14、リン酸17、カリ12)。栃木県のブランド米『なすひかり』を栽培する約30アールの圃場に1袋20kgを投入します。
圃場は事前に水深1cm程度(ひたひた水)にしておきます。圃場の水尻がしっかりと閉じられていることを確認してから水口を開け、入水を始めてから5~10分待ったら、肥料の流し込みをスタートします。
袋の角を切り、水口に肥料をサーッと投入。
肥料の流し込みの時間はわずか10分ほど!あっという間です。
後は肥料の流し込み開始時の水位から8~10cm上昇するまで入水するだけ。水の対流で肥料が圃場に行きわたります。施肥後の3~4日間は落水やかけ流しはせず、圃場に入らないようにします。
「本当に簡単ですね。穂肥作業は炎天下で機械を背負って田んぼに入らなければならず、30アールの圃場の場合は約30分かけて撒いていました。基本は私一人で作業するので、55ヘクタールすべての圃場に肥料を撒くのは重労働。これなら作業の負担は軽減できますね」と簗島さんは『らくらく施肥法』の感想を話します。
『らくらく施肥法』のポイント、『千代田化成』の特長
水口から流し込む『らくらく施肥法』ができる水田には、いくつかの条件があります。
①灌漑水が安定して確保できる
②畦畔の高さが15cm以上
③水口・水尻が独立している
④減水深が1日3cm以下
⑤田面の高低差が少なく平らな水田
これらの条件を満たしていれば、灌漑水の自然な対流で肥料が圃場全体に行きわたり、あらゆる生育ステージ(基肥・追肥)で『らくらく施肥法』を活用することができます。
サンアグロの『千代田化成』は、リン酸2アンモンと硫酸カリを主成分とした中性肥料です。水に溶けやすいため、果菜類などの施設園芸では液肥の素としても使われています。
水稲にも効率よく吸収され、追肥として使うことで低温時の活着、初期生育促進、登熟促進、収量アップ、品質向上が期待できます。地下水や河川などの環境への負荷が少ないことも特長です。
猛暑下、穂肥作業の負担を削減! 品質・収量をアップ!
簗島さんは“農業は重労働”というイメージを払拭したいと考え、午前8時から午後5時までの定時で効率よく仕事ができるように農作業の省力化を模索していました。
「水稲の経験はまだ浅いので、第一アグリさんのような地元の農業資材販売会社から教えていただくことも多いですね」と話します。
「省力化は農家のみなさんが関心を持たれています。私たちもできるだけ農家の方にラクしてもらえるように、少ない人数で大きな面積をこなせる農業資材や方法を探し、提案しています。『千代田化成』の流し込み施肥は、広い圃場でも機材を使わずに一人で簡単に作業ができるので、費用対効果は高いと思います」と第一アグリの鹿野さんは話します。
元肥一発施肥の圃場でも、穂肥をしたほうが品質と収量が安定する場合があります。夏場の農作業は大変で大きな圃場を持つ農家さんほど穂肥をする余裕がありませんが、『らくらく施肥法』は圃場が大きいほど労力の削減に繋がります。
「弊社の『千代田化成』は長年の実績がある肥料で、また、水口から流し込む『らくらく施肥法』はおよそ40年前に確立された方法です。ぜひ、若い世代や新規就農された方にも知っていただき、私たちの世代が取り入れていくことで、農家さんの収益アップのお手伝いをしていきたいです」とサンアグロの小田倉さんは思いを話してくれました。
サンアグロでは自社研究部門で肥料の効果や使用法の研究に務め、全国に営業拠点を置き、地域の販売代理店と協力して現場密着でノウハウを伝え、農家をサポートしています。
今年の穂肥は、『千代田化成』の流し込み『らくらく施肥法』を試してみてはいかがでしょう。
【取材協力】
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