遮光・遮熱用ネットの選び方
遮光・遮熱用ネットは、直射日光による過度な温度上昇を抑制するための日よけです。低遮光~高遮光があり、作物に合った遮光率のものを選びます。どの遮光率が適しているか分からない場合は、農業資材販売店などで聞いてみましょう。
遮光・遮熱用ネットの主なカラーは白、黒、シルバーです。目的にあったカラーを選ぶ必要があります。
野菜や花きの栽培で遮熱目的なら、白いネットがおすすめです。温暖化が進む昨今は、より遮熱効果を高めた白いネットが登場しています。ハウスの外張り・内張り・サイド張りに使われるほか、露地栽培でのトンネル被覆などにも利用されます。白は内部の明るさを保つため光合成を邪魔せず、軟弱徒長になりにくくなっています。
原木シイタケの遮光や菊のシェード目的などには、一般的に、光を遮断する効果の高い黒やシルバーのネットが使われます。遮光が必要な場合は黒、遮光に加えて遮熱も必要な場合はシルバーがおすすめです。
その他、高温対策用のシートとして、ネット状ポリエチレン不織布の製品や、芽出し専用のシートなども市販されています。
明るくて涼しい、遮熱効果のある白いネット
1. ダイオクールホワイト(イノベックス)
「ダイオクールホワイト」はチタンホワイト+温度上昇防止剤入りの高密度ポリエチレンが原料のネットです。ハウスの中は明るく爽やかでも、熱線をしっかりカットするため、高い遮熱効果があります。遮光率は約25~80%のものを豊富にそろえ、多くの作物に対応できます。
家庭やベランダ菜園で使いやすいサイズの、家庭菜園用のパック品も便利です。同社では縫製加工による希望サイズへの加工、周囲のハトメ加工等にも対応しています。
【価格(例)】
クールホワイト620SW(45%・2×2m、家庭菜園用パック)/990円
※ 価格は規格によって変わります。
2. タキイホワイトTWシリーズ(タキイ種苗)
熱吸収がほぼなく、光を約95%乱反射するデュポン社タイベックを使用した「タキイホワイトTWシリーズ」。ハウス内の温度を下げながら、光の乱反射力により内部を明るくします。夏まきの露地ホウレンソウ栽培などでも、トンネル被覆として活用されている製品です。
遮光率は約30~90%を幅広くラインアップ。遮光率約30~35%、約40~45%のものは、ハウスサイド張りの防虫ネットとして、光の乱反射によるアザミウマ対策でも効果が認められています。
【価格】
メーカーまたは農業資材販売店にお問い合わせください。
3. メガクール(三菱ケミカルアグリドリーム)
太陽光線の熱線を約50%吸収し、植物体温や地温の上昇を抑制する遮光ネット「メガクール」。光質をコントロールする機能に優れていて可視光線の透過率は約60~80%と明るく、夏期の育苗におすすめです。ポット苗やセル成型苗の育苗で徒長を防ぎ、がっちりした苗が作れます。
育苗以外の夏期栽培においても、裂果、葉焼け、発根不良といった高温障害の回避に役立ちます。
【価格】
農業資材販売店にお問い合わせください。
※ フィルムタイプは取り扱い終了となりました。ネットタイプのみの取り扱いとなります。
光を遮断する黒やシルバーのネット
4. ダイオネット遮光網(イノベックス)
「ダイオネット遮光網」はもっともベーシックな遮光ネットで、カラーは黒とシルバーグレーがあります。遮光が目的の場合は黒を、遮光に加え遮熱性も必要な場合はシルバーグレーを利用します。遮光率は黒が約35~95%、シルバーグレーが約30~75%と豊富にそろい、花き栽培や育苗などに幅広く適用可能です。
家庭やベランダ菜園で使いやすいサイズの、家庭菜園用のパック品もあります(カラーは黒のみ)。同社では縫製加工による希望サイズへの加工、周囲のハトメ加工等にも対応しています。
【価格(例)】
ダイオネット610(黒・45%・2×2m、家庭菜園用パック)/990円
※ 価格は規格によって変わります。
5. ダイオラン(イノベックス)
市松模様が特徴の「ダイオラン」は、森の木陰のような半日陰が作れる遮光ネットです。カラーは黒(遮光率約50%)とシルバーグレー(遮光率約45%)の2色。ランや観葉植物の栽培に欠かせない製品です。
家庭やベランダ菜園で使いやすいサイズの、家庭菜園用のパック品もあります。同社では縫製加工による希望サイズへの加工、周囲のハトメ加工等にも対応しています。
【価格(例)】
ダイオラン50(黒・50%・2×1m、家庭菜園用パック)/990円
ダイオラン50SG(シルバーグレー・45%・2×1m、家庭菜園用パック)/1298円
※ 価格は規格によって変わります。</small>
その他、夏期に役立つ高温対策シート
6. タキイ涼感ホワイト20・30・40・50(タキイ種苗)
6. タキイ涼感ホワイト20・30・40・50(タキイ種苗)
「タキイ涼感ホワイト」はネット状のポリエチレン不織布「ワリフ」を使用した高温対策シートです。ワリフは丈夫で軽く、風通しが良いのが特徴です。タキイ涼感ホワイトには赤外線を効率よく反射する赤外線遮蔽(しゃへい)材が使われているため、温度上昇を防ぐ効果に優れています。可視光線は通すので暗くならず、作物の光合成を邪魔しません。
遮光率は約20~50%のものがあり、わずか20%の遮光率でもハウス内温度が約5℃低下するという結果も出ています(条件によって温度低下の程度は異なります)。
【価格】
メーカーまたは農業資材販売店にお問い合わせください。
7. 芽出たいシート(タキイ種苗)
ニンジンやダイコンなど、暑い時期の発芽が難しい品目に最適な「芽出たいシート」。種まきをした後に、芽出たいシートで直接畝を覆う(ベタがけする)と、遮光効果と蓄熱の軽減により、芽が出やすくなります。
露地栽培でも豪雨や夕立に直接叩かれにくくなり、発芽した種子が傷むのを防止できます。すき間から芽がのぞくまで置いたままでいいので、管理もラクチン。高温と乾燥を防ぎ、芽を出やすくする夏場のお助けアイテムです。
【価格】
芽出たいシート 1×10m(1組2枚入)/4780円
芽出たいシート 1×100m(1本)/11710円
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どんどん厳しくなる夏の高温。今や農業での遮光・遮熱は当たり前となっています。優れた資材を上手に活用して、しっかり暑さ対策を行いましょう。
※ 商品価格はすべて税込み、2020年6月末日時点のものです。
取材協力・画像提供:
株式会社イノベックス
タキイ種苗株式会社
三菱ケミカルアグリドリーム株式会社