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防草シートのメリットとは。効果的な敷き方や雑草対策におすすめの防草シート8選を紹介

防草シートのメリットとは。効果的な敷き方や雑草対策におすすめの防草シート8選を紹介

生命力が強い雑草は、お庭だけでなく農業においても厄介な存在です。畑の畝に雑草が伸びてくれば、作業はしにくくなりますし、そもそも作物に回したい土の栄養分が、雑草に横取りされてしまいます。そんなときに頼れるアイテムが防草シート。しかし、面積が広いと費用もかかるため、製品選びで悩む方も多いのえはないでしょうか。今回は、防草シートの機能について解説しつつ、それぞれの農地におすすめの防草シートを厳選してご紹介します。ハウス内外、露地栽培の通路、田んぼのあぜなど、それぞれの場所に適した製品を利用して、効率的に雑草対策を行いましょう。
(上画像提供:日本ワイドクロス株式会社)

防草シートとは?敷ける場所や主な効果

畑の畝やその周辺、家の玄関周り、庭、ウッドデッキの下など、雑草を生やしたくない場所は意外と多くあるもの。また、そうした場所に限って日頃の手入れが行き届かず、気付いた時には雑草が伸び放題になっている……。雑草は根こそぎ引き抜かないと、すぐまた伸びてきますから、その度に手間がかかってしまいます。

そんな玄関周りや庭などの草むしりの手間を省いてくれるのが防草シートです。
防草シートは遮光性の高い丈夫なシートで、地面に敷いておくことで雑草の光合成を防ぎます。つまり防草シートは、日光をカットすることで雑草の成長を抑えるという、とても便利なアイテムです。

防草シートのメリット

防草シートによって得られるメリットについては、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

1.雑草の手入れから解放される

防草シートの際たるメリットとしては、草刈りなどの手入れを省力化できることでしょう。前述の通り、地面に敷いておくだけで雑草の光合成を防いで成長を抑えてくれるため、一度敷いてしまえば、数年間は手入れをせずとも畑や庭の状態を保つことができるようです。

2.害虫の住み着き防止

雑草が生い茂った環境はハダニやバッタといった害虫が住み着きやすく、作物に被害ができることも考えられます。防草シートを活用して雑草の成長を抑えることで、こうしたリスクを回避することにもつながります。

3.安全性の確保

防草シートを敷くことで雑草の手入れ作業などを省くことができ、これによって間接的に、草刈り作業による熱中症や腰痛などのリスクを回避することにもつながると言えます。

防草シートのデメリット

防草シートは便利である一方、デメリットもあります。これらのバランスを考え、よく検討してから使用するようにしましょう。

1.準備の手間がかかる

これから防草シートを敷こうという場合、平坦な土地ならいいですが、すでに雑草が生い茂っていたり石が転がっていたりすると、これらを取り除くなどの事前準備に手間がかかります。

3.隙間から雑草が伸びる恐れあり

事前に雑草を処理せずに防草シートを敷いてしまうと、雑草がシートを突き破って生えてくることもあります。また、石が転がったままシートをかぶせた場合なども地面との間にすき間ができ、雑草が生えやすくなってしまうため注意が必要です。

2.効果は半永久ではない、耐久年数は10年ほど

防草シートは紫外線や雨などの影響で経年劣化します。数年から10年ほどで敷き替えが必要になることがほとんどです。

防草シートのタイプは2つ!敷布・不織布の違いを解説

防草シートには、織布と不織布の2種類があります。織布タイプは高密度に繊維を織ったシート、不織布タイプはフェルトのように繊維を絡み合わせたシートです。
それぞれ、特徴を解説します。

織布タイプは低コストで設置可能

大面積の農地におすすめなのは織布の防草シートです。厚みのある高性能な不織布の防草シートに比べると、割安でコストが抑えられるためです。一方で、穴があくとほつれやすくなったり、貫通力の強い雑草がすきまからはえてきたりすることがあります。

通常の防草シートのほかにも、高反射剤を練り込んだものや、強度をアップした厚みのあるものなど、高性能な防草シートが販売されています。

不織布タイプは防草効果が高い!

不織布タイプの防草シートには、薄手のものから、多層構造で厚みのあるものまであります。厚みのある高性能な不織布の防草シートは、織布に比べると高価ですが、より防草効果に優れています。シートに織り目がないので、スギナやチガヤといった貫通力の強い雑草を防げるものもあります。耐用年数が長い、ほつれや破れが発生しにくく使いたいサイズにカットしやすい、といった利点もあります。

不織布の防草シートは住宅周りでよく使われています。農地では、水路や農道ののり面などの除草しにくい場所、しっかり防草したい場所に利用されます。

水はどうか

ほとんどの防草シートは透水性があり、水をよく通します。水をまったく通さない不透水性の物も一部ありますが、これは用途が限られており、畑や庭に使うことはまずないでしょう。
ただし、透水性のシートを使うにしても、元々水はけの悪い土壌ではシートの上に水たまりができてしまいます。ですから、場合によってはシートを敷く前に、整地や土壌の改善が必要になるかもしれません。

大面積に最適! スタンダードな防草シート【織布タイプ】

1. ダイオグランドシート/ダイオグランドシート-S(イノベックス)

画像提供:株式会社イノベックス

高密度な強力織物のため遮光性が高く、防草効果の高いシート。ハウス内外、露地栽培の通路、のり面などの防草に適しています。抗菌剤入りの「ダイオグランドシート」と抗菌剤無しの「ダイオグランドシート-S」があり、抗菌剤入りタイプはカビやコケなどの発生を防ぎます。

カラーは黒とシルバーの2色。利用年数の目安は約4~6年(利用環境により変わります)。20センチ間隔のライン入り。

2. ダイオ畦(あぜ)クロス(イノベックス)

画像提供:株式会社イノベックス

田んぼのあぜにおすすめの「ダイオ畦クロス」は、景観になじむグリーンの防草シートです。ダイオグランドシートと同じ高密度な強力織物で、防草効果に優れています。

田んぼは湿気が高く、雑草が茂ると害虫が発生しやすくなります。ダイオ畦クロスを敷くとぬかるみ防止にもなり、地面からの湿気も抑えます。またカメムシ等の害虫発生を抑制し、減農薬にもつながります。

利用年数の目安は約4~6年(利用環境により変わります)。20センチ間隔のライン入り。

3. 大面積専用草なしシート(白崎コーポレーション)

画像提供:株式会社白崎コーポレーション

コストパフォーマンスの良さが魅力の「大面積専用草なしシート」。織が密なうえ、熱処理加工されているため縮みが少ないシートで、高い防草効果を保ちます。耐用年数が約8年と長く、丈夫で長持ちします。耕作放棄地などの広大な土地におすすめです。カラーは黒。

日本製と海外製の2種類があり、海外製ならより高コスパに。海外製には最大1カ所のつなぎ目がありますが、防草効果に違いはなく、直販サイトの品質基準をクリアしています。

4. 防草アグリシート(日本ワイドクロス)

画像提供:日本ワイドクロス株式会社

高密度の強力織物シートで、耐久性と耐薬品性に優れた「防草アグリシート」。高い遮光性を持ち、ハウス内、露地栽培、田んぼのあぜ道に幅広く利用されている農業向けの定番製品です。

同社独自の即効透水性加工が施されているため、ハウス内通路やあぜ道などの泥はね・ぬかるみ防止用シートとしても役立ちます。

カラーは黒、シルバーグレー、グリーンの3色。20センチ間隔でブルーの格子ライン(グリーンは薄いグリーンの格子)、1メートル間隔で赤の格子ライン入り。

特殊加工の高性能防草シート【織布タイプ】

5. アグリシート シャインホワイト(日本ワイドクロス)

画像提供:日本ワイドクロス株式会社

「アグリシート シャインホワイト」は、同社独自のポリプロピレン製シャインホワイト糸で作られた白い防草シートです。高反射剤が練り込まれていて、約90%以上の反射率を誇ります。

トマトやイチゴなどの施設栽培に利用すると、高い反射率により光合成が促進され、収量アップや色づきを良くする効果が見込めます。赤外線も反射するので、地温上昇を抑制する効果もあります。

カラーは白(シャインホワイト)、20センチ間隔の格子ライン入り。

6. 強力アグリシート(日本ワイドクロス)

画像提供:日本ワイドクロス株式会社

同社の従来品「防草アグリシート」よりも強度を大幅アップしたのが「強力アグリシート」です。従来品より寿命が約2倍と長く、張り替え作業の手間を削減できます。きめ細かな高密度織の厚みのあるシートで、防草効果、耐候性、耐久性に優れます。

カラーは黒。20センチ間隔の格子ライン、1メートル間隔の太いライン入り。

水路や農道ののり面などにおすすめの防草シート【不織布タイプ】

7. とことん草なしシート(白崎コーポレーション)

画像提供:株式会社白崎コーポレーション

「とことん草なしシート」は高密度不織布と柔不織布の2層構造の防草シートです。特殊構造で紫外線劣化に強く、耐用年数約10年と長期間にわたって雑草を防止できます。密度と強度が高いため、セイタカアワダチソウ、チガヤ、ヨシ、ススキといった強力な雑草も突き抜けません。遮光率99.9%以上で光合成を防止し、根まで絶やします。

転落の恐れがある水路や農道ののり面など、しっかり防草したい場所におすすめです。カラーはグリーン。

8. デュポン™ プランテックス®(丸和バイオケミカル)

画像提供:丸和バイオケミカル株式会社

「デュポン™ プランテックス®」はアメリカのデュポン社で開発された、ポリプロピレン4層スパンボンド不織布の防草シートです。独自の4層構造で目詰まりしにくく、透水性に優れ、水、空気、液体肥料をよく通します。繊維のすきまが広がりにくい構造のため、雑草の突き抜けに強いのが特徴です。

農地では、ハウス周りや農道などののり面、除草のしにくい電柵下や果樹園の支柱周りなどに利用されています。

240BB、125BB、68Bの3タイプがあり、それぞれ厚みと使用に適した場面が異なります。最も厚い240BBはチガヤ、ハマスゲなどの突き抜け性の強い雑草も防止します。125BBと68Bはシートの上にマルチング材(砂利、バークチップ等)を併用する場面などでの使用がおすすめです。カラーはBBが黒・茶のリバーシブル、Bが黒のみ。

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ご自身の農地に合いそうな防草シートは見つかりましたか? 面積、費用、張り替え作業にかかる労力、耐用年数などを考慮しながら、じっくり考えて選んでみてください。

※ 商品の価格や規格など、詳細については各メーカーまたは販売店にお問い合わせください。

取材協力・画像提供:
株式会社イノベックス
株式会社白崎コーポレーション(直営通販サイト)
日本ワイドクロス株式会社
丸和バイオケミカル株式会社

防草シートの敷き方

ここからは、防草シートの敷き方について順を追ってご説明します。

1.除草・整地

まず防草シートを敷く範囲の雑草を処理し、地面を平らに整地します。今生えている雑草は根こそぎ処理しないと、シートを突き破って生えてくることがありますし、地面に凹凸が多いとシートに隙間ができやすく、日光が当たりやすくなったり、雑草の種が入り込んだりすることにもつながります。

2.シート敷設

続いて、防草シートを平らに敷いていきます。シートが重なり合う部分は最低でも10センチは重ねるようにし、接着剤やテープでしっかり貼り合わせましょう。重なり合う部分が狭すぎると雑草が出てきてしまいます。
シートを敷き終えたら、シートのめくれを防ぐため、シートピンを等間隔に必要な数だけ打っていき、地面に固定します。また、打ったシートピンはテープで覆い、そこから雑草が伸びてくるのを防ぎます。
周囲に縁石や塀などの構造物があれば、そこにかぶせるようにシートを張り、接着剤やピンで固定します。構造物がコンクリートやアスファルトの場合は、専用の特殊ピンを使いましょう。

用途に合った防草シートで雑草にサヨナラ!

防草シートの敷設は、なかなか手間がかかります。広い面積を処理するとなると、プロの手を借りなくてはならないかもしれません。ですが、きちんとシートを敷けば、雑草の心配をすることはありません。経年劣化のためにやがて敷き替えなくてはならないとしても、定期的に草取りをする手間を考えれば、はるかに楽でしょう。
「抜いても抜いても雑草が生えてくる……」とお悩みの人は、ぜひ防草シートを試してみてはいかがでしょうか。

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