豚の種類・品種はいくつ? 品種改良を続ける理由やメリットについても解説

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豚の種類・品種はいくつ? 品種改良を続ける理由やメリットについても解説

豚の種類・品種はいくつ? 品種改良を続ける理由やメリットについても解説
最終更新日:2020年08月19日

豚は野生のイノシシを長い年月をかけて飼育し、家畜化した動物です。雑食でえさの確保がしやすかったことや、多産であること、人に慣れやすく飼いやすいことなどを理由に家畜化が進みました。豚の品種やそれぞれの特徴、品種改良を続ける理由などについて紹介しましょう。

代表的な豚の品種

現在、世界的に普及している豚は約30品種です。その中で代表的なのは次の6種。ただし、これらの純粋種の豚が出回ることはほとんどなく、一般的には交配した交雑種が飼育されています。

ランドレース種

・原産国:デンマーク
・肉質の特徴:薄い脂肪と適度な赤肉の割合でハムなどの加工用に適しています。
・生体の特徴:デンマークの在来種に大ヨークシャー種を掛け合わせて作出された大型の白色種。耳が垂れ、体長が長く、後躯(こうく)が長いのが特徴です。
・その他特記事項:早熟で繁殖能力が高いことで、三元豚(さんげんとん)の掛け合わせに多く使われています。

大ヨークシャー種

・原産国:イギリス
・肉質の特徴:赤肉率が高く、筋繊維が細かい。精肉用・加工用ともに適しています。
・生体の特徴:大型の白色種です。比較的早熟で、多産。
・その他特記事項:三元豚の掛け合わせに多く使われています。

中ヨークシャー種

・原産国:イギリス
・肉質の特徴:肉付きがよく、筋肉質で肉質も良好です。
・生体の特徴:白色で中型の品種。大ヨークシャー種より早く成熟します。
・その他特記事項:かつては日本の豚の95%を占める主要品種でしたが、大型の品種に押されて、1960年代以降、頭数は激減しました。

デュロック種

・原産国:アメリカ合衆国
・肉質の特徴:肉質と肉付きがよく、三元豚の掛け合わせ品種として使われています。
・生体の特徴:赤褐色の品種。耳の先端の2/3が前方に垂れているのが特徴です。
・その他特記事項:体質は強健で、性格は穏やか。

バークシャー種

・原産国:イギリス
・肉質の特徴:他の豚と比べ産子数は少なく、飼育期間が長いことでうまみがあり、歯切れのよい肉質に。
・生体の特徴:イギリスの在来種に中国種などを交配して作出された黒色の品種。四肢や尾の先端、鼻の先が白色(六白)なのが特徴です。
・その他特記事項:鹿児島県の黒豚はバークシャー種です。

ハンプシャー種

・原産国:アメリカ合衆国
・肉質の特徴:皮下脂肪が薄く、赤肉の割合が高いのが特徴です。
・生体の特徴:黒色の品種で、肩から前肢にかけて白帯があります。大型に近く顔は長めで、あごがよく発達しています。
・その他特記事項:1970年代後半までは三元豚の掛け合わせ品種として使われていましたが、1980年代以降は使われることが減り、希少品種となっています。

ブランド豚とは?

ブランド豚とは、地域固有だったり、特別な飼育方法で育てたりした豚のことです。日本国内には400種類以上のブランド豚が存在しているといわれますが、明確な基準や定義はありません。品種の掛け合わせや飼育方法、飼料などが重要な要素となり、それぞれの特徴を作り出しています。

ブランド豚の一例

ブランド名 産地 特徴
かごしま黒豚 鹿児島県 品種はすべてバークシャー種。筋繊維が細かく歯切れがよい、うまみがあるなどが特徴です。
阿波ポーク 徳島県 徳島県が独自に作出した「アワヨーク」に、ランドレース種とデュロック種の系統を交配。赤肉量、肉質、脂肪量、脂肪質等の品質バランスが良い肉です。
黒部名水ポーク 富山県 優良品種同士を掛け合わせ、ミネラルを豊富に含んだ黒部川の伏流水や竹酢(ちくさく)を混ぜた飼料で飼育。柔らかくてジューシーな味わいです。
平牧三元豚 山形県 山形県酒田市の平田牧場でランドレース種、デュロック種、バークシャー種を交配して生産されている豚です。柔らかい肉質とさっぱりとした脂身が特徴です。
アグー豚 沖縄県 沖縄固有の小型の豚で、肥育期間が長いのが特徴です。霜降り肉で脂に甘みとうまみがあります。

豚の品種改良について

豚の祖先であるイノシシは、ヨーロッパ、アジア、北アフリカなどに分布し、各地でそれぞれに家畜化されてきました。その歴史と現在の品種改良について紹介しましょう。

品種改良の歴史

日本では江戸時代から豚の飼育が行われてきましたが、急激な成長を遂げたのは明治から大正にかけてです。当時は日本で育てやすいことなどを理由に、バークシャー種、中ヨークシャー種を中心に飼育されていました。
第二次大戦後は、1960年にアメリカからの援助物資として、欧米原産の大型品種が導入され、バークシャー種、中ヨークシャー種と交雑した豚の生産が行われるようになりました。その後、ランドレース種、大ヨークシャー種などの大型種が発育や繁殖能力の良さなどを理由に導入され、これらの豚を用いた交配がされるようになりました。

品種改良のメリット

もっとも流通している市販の豚肉は、三元豚です。これは品種名ではなく、三種類の純粋種を掛け合わせた三元交雑種のことです。掛け合わせることで雑種強勢効果(※)で強健性を高め、繁殖性や肉付き、肉質の良い豚になります。日本ではランドレース種と大ヨークシャー種を交配させた雑種豚を母豚として、デュロック種の雄を掛け合わせた三元豚が、多く流通しています。

この三元豚はランドレース種の発育の良さと多産であることを受け継ぎ、大ヨークシャー種の赤身と脂身のバランスの良さ、デュロック種のサシの入った肉質の良さを併せ持っています。いわば、三種の豚の良いとこ取り。これによりおいしい豚肉を安定的に流通させることができるのです。

※ 雑種強勢効果:二品種または異なる系統同士を交配して誕生した子(F1または一代雑種という)に、生産性や強健性などの面で両親いずれかの形質よりもすぐれた性質が表れる現象。

豚のえさと品種の関係は?

豚は雑食性で穀類やイモなどの植物性飼料、魚粉や肉粉などの動物性飼料のどちらも食べます。日本ではトウモロコシなどを中心とした配合飼料を豚の成長に合わせて与えるのが一般的です。

えさを工夫しておいしさを打ち出すブランド豚

ブランド豚は、品種だけではなく、飼育方法やえさとなる飼料にも工夫がされ高い品質を誇っています。もっとも有名なブランド豚のひとつにはスペイン産のイベリコ豚があります。約2カ月間ドングリがなる森で放牧して、ドングリ、草、その他の自然の産物のみを食べて育つことで、脂身は甘く、融点が低く、口に入れた瞬間に溶け出すともいわれています。日本でもえさにこだわっているブランド豚が数多く存在します。そのいくつかを紹介しましょう。

北海道ホエイ豚

チーズやヨーグルトを作る際に固形分と分離されてできるホエイ(乳清)を与えて飼育。

平牧三元豚

肉骨粉などの動物性たんぱく質を含まない、トウモロコシや大豆かすなど植物性中心の指定配合飼料を与えています。

TOKYO X

北京黒豚、バークシャー種、デュロック種の三品種をもとに改良。収穫後に農薬がかかっていないポストハーベストフリーのトウモロコシを6.3%含む飼料を使用し、飼料米も与えています。

しまんと米豚

高知県高岡郡四万十町のブランド米「仁井田米」を配合した飼料で育てています。

おさつポーク

宮崎県の南国興産が生産。自社繁殖の三元豚を、出荷前の仕上げ期に甘藷(かんしょ)ミールというサツマイモを使った飼料を与えて育成しています。

これからの品種改良に期待できること

現在、全国の豚の飼養頭数は横ばいであるものの、養豚家の数が急速に減少しています。また輸入の自由化により、安価な輸入豚肉も流通しており、日本国内で生産される豚肉はこれまで以上に質の高いものが求められています。今後はより高度な交配技術や品種改良により、消費者が求める国産豚肉の生産が期待されています。

取材協力:一般社団法人 日本養豚協会

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