ニーズが高まる屋上・壁面緑化用植物
人々に癒しをもたらし、美しく潤いのある都市空間の形成に貢献する建築物の屋上や壁面の緑化は、近年施工面積が増加傾向にあり、ますます注目を集めています。また、建築物の所有者にとっても集客効果が期待できたり、緑化面積への換算による容積率の緩和につながるなどメリットがあります。
屋上緑化などに使用される地被植物はグランドカバープランツとも呼ばれ、その名の通り、植栽地を覆って雑草を生えにくくするという管理上のメリットから人気を得ています。

壁面緑化用植物は、写真のように壁に這わせて使います
一方、壁面緑化では長さ1〜2メートルほどに仕立てられたつる性植物が壁面緑化用植物として使用され、需要が伸びています。
「こうした屋上・壁面緑化用植物は、国土交通省の都市緑地計画の推進や、各自治体からの補助金交付、世界的な建築物の緑化の流行にも影響され、年々ニーズが高まっています」。造園用植物の生産・販売を行う太平洋マテリアル株式会社の緑花営業部長 山﨑 隆弘(やまさき たかひろ)さんは、屋上・壁面緑化用植物を取り巻く状況について、このように解説します。

太平洋マテリアル株式会社の緑花営業部長 山﨑 隆弘さん
ビジネスとしての“農業”を目指し、野菜農家から転作
太平洋マテリアルでは、建築物の緑化について設計段階から携わり、約4000種類もの取り扱いの中から、クライアントの希望に沿った植物を提案しています。
この事業を支えているのが、全国で屋上・壁面緑化用植物を栽培する生産協力農家です。
「誰もが知る商業施設など、都市のシンボルとなる建築物の緑化に貢献できることもやりがいのひとつですね」。そう話すのは、埼玉県で屋上・壁面緑化用植物を栽培する佐藤さん(仮名)。
「もともとはアメリカで果樹栽培を学ぶために参加したのですが、今から26年前に農業を学ぶために参加した派米農業研修で知り合った仲間が、グランドカバープランツの栽培をしていたことで興味が湧きました」と、栽培を始めるきっかけを教えてくれました。

人気急上昇中のフイリヤブラン
帰国後、すぐに野菜農家だった先代の畑をグランドカバープランツ用に整備した佐藤さん。自治体の助成金を利用しながらビニールハウスなどの設備を整備し、少しずつ種類を広げて出荷を増やしていきました。現在は50坪ほどのビニールハウス16棟と露地栽培で、およそ40種類の屋上・壁面緑化用植物を栽培しています。
野菜農家で生まれ育った佐藤さんは、かねてから毎日休みなく働くことが当たり前という、家族経営特有の “メリハリ”のない働き方に課題を感じていたと言います。
屋上・壁面緑化用植物の栽培では、野菜や果物のように収穫のタイミングに気を配る必要がありません。最終的には野外に植栽されるため、デリケートな管理も不要です。そのため、決まった時間に作業をして、決まった曜日に休みを取るという働き方が可能です。

取材時はローズマリーの苗づくりを行っていました
「植物の種類が豊富なので、一年中出荷することができ、年間を通して安定した利益を出すことができます」と、栽培の魅力を教えてくれました。
ビニールハウス1棟から気軽に始められる!低リスクで安定収入を確保
佐藤さんのように、始めから屋上・壁面緑化用植物をメインで栽培するケースはそれほど多くないと、太平洋マテリアルの山﨑さんは言います。
「弊社の生産協力農家は多くの場合、本業の農作物の傍ら試験栽培から始めてもらっています。必要なのは、ビニールハウス半分のスペースだけ。使っていないビニールハウスがある方なら、すぐに始めていただけますよ」と山﨑さん。
「緑化用植物は、キズができたら売り物にならない野菜や果物よりも出荷のハードルが低いので、本業の傍ら手が空いた時間に始められるのが魅力です。発注は、弊社が受注を受けたタイミングで、欲しい商品を育てている農家さんにお声がけするスタイル。本業の繁忙期などでタイミングが合わなければ断っていただいても構いません。忙しい方でも自分のペースで出荷することができますよ」と続けます。

出荷を待つローズマリー
山﨑さんによると、初心者が育てやすいのは、挿し木や株分けで育てるグランドカバープランツ。「その土地の気候に合った栽培品種をご提案することが多いですね。弊社は取り扱い品種が豊富なので、中には自分の土地に自生している植物を親株にして始められる方もいますよ」と話します。
「“水やり3年”と言うように、植物は水の分量やあげるタイミングが重要です。うちは、水やりを一部機械化していますが、始めのうちは手で灌水して、量やタイミングを掴むのがおすすめです」と、佐藤さんは栽培のコツを話します。

灌水中の様子
水やり以外はさほど手がかかりませんが、放置は厳禁。「ほっておいても枯れることはないのですが、品質が落ちてしまうことはあります。日々のルーティンの中で、植物に変化がないか、目配りをすると良いです」と、アドバイスしてくれました。
需要は堅調に伸長。生産者不足の現在が参入のチャンス
都市緑化分野においては、屋上緑化・壁面緑化の施工数は年々増加しており、屋上・壁面緑化用植物のニーズはこの数年順調に伸びてきました。
「生産者の高齢化で、作り手自体は減ってきているので、ある意味今が参入のチャンスです。最初は少量から始めて、徐々に種類や規模を広げていくのがおすすめです」と、山﨑さん。

シバザクラは根強い人気で需要が安定しています
実際に、本業の農作物と並行して生産協力を始めた農家が数年後に本業を辞め、本格的な屋上・壁面緑化用植物の栽培に切り替えた例は少なくないのだとか。
「静岡でお茶の生産を本業にしていた方は、5年ほど前にグランドカバープランツ一本に切り替えられました。お茶もそうですが、野菜や果物などの農作物は価格の変動が激しい。この先、今までと同じように農作物を作り続けることに不安がある方には、屋上・壁面緑化用植物への転作を選択肢のひとつにしていただきたいですね」。そう話す山﨑さんに佐藤さんは深く頷きます。
農作物の転作を検討している方はもちろん、今の農作物と並行して副収入を得たいという方にもおすすめの、屋上・壁面緑化用植物栽培。空いたハウスを利用して、すきま時間から始めてみませんか?
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