肉用牛農家の仕事内容と一日のスケジュール! 向いている人やなり方も紹介

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肉用牛農家の仕事内容と一日のスケジュール! 向いている人やなり方も紹介

肉用牛農家の仕事内容と一日のスケジュール! 向いている人やなり方も紹介
最終更新日:2020年09月16日

私たちの食生活に欠かせない牛肉を生産するのが肉用牛農家です。米や野菜農家ともっとも違う点は生き物を相手にする仕事という点です。朝夕の給餌や掃除など仕事は常にありますが、牛の飼育には達成感ややりがいもあります。牛肉を生産する農家はどのような仕事をしているのでしょうか。向いている人や、そのなり方もご紹介します。

肉用牛農家とは

肉用牛農家は畜産を営む畜産農家の一種で、牛を繁殖させ、飼育し、牛肉を生産・出荷する農家です。畜産とは、肉や乳、卵などの食料を生産する牛、豚、鶏といった家畜や家禽(かきん)を飼育する仕事の総称。養蚕や養蜂なども畜産に含まれます。

今回は肉用牛農家の中でも、牛を飼育し、食肉用として出荷する肥育農家の仕事についてご紹介します。肉用牛農家全般に共通する内容も多いので、興味がある人はぜひ参考にしてみてください。

肥育農家(肥育経営)の仕事内容

牛を繁殖させ飼育し、牛肉を生産・出荷する肉用牛経営は、母牛を育て子牛を生産・出荷する肉用牛繁殖経営と、子牛を購入し、肥育して肉として出荷する肉用牛肥育経営に分けられます。繁殖と肥育のすべてを行う肉用牛一貫経営をする農家もあります。

肥育農家の一日のスケジュール

繁殖農家で生まれた子牛は生後8~9カ月で子牛市場に出荷されます。肥育農家は子牛を購入し、生後約30カ月で出荷します。日々の仕事がどのように行われているかを紹介します。

肉用牛肥育経営の一日

中央畜産会「牛飼いになりませんか?肉用牛経営を目指す方へ」をもとに編集部作成

見回り・牛の健康確認

肥育農家の1日は牛の健康状態の確認から始まります。牛舎を見回りながらえさの食べ残しの有無や、ふんの状態、呼吸なども確認しながら給水器や飼槽(牛が固形飼料を食べる箱)を清掃します。

牛の給餌

肥育農家では1日に2~4回程度に分けてえさを与えます。牛のえさは、大きく分けて、牧草や稲わらの粗飼料と、トウモロコシの実、大豆、綿実、麦などの濃厚飼料の2種類。粗飼料は牛の主食で、濃厚飼料はおかずです。栄養素を補うためにサプリメントを与えることもあります。

牛の給餌

牛房(ぎゅうぼう)の掃除

牛舎内では、柵で囲われた牛房のなかで日常の管理を行っています。牛床(ぎゅうしょう)には、稲わらやおがくず、もみがらなどで作った敷料が床に敷かれ、これを定期的に入れ替えながら、清潔な環境を保ちます。

自給飼料づくり

自給飼料とは、自家用の飼料畑で牧草などを栽培して作る粗飼料のことです。牧草は刈り取ったあと、ラッピングマシーンという機械を使ってポリエチレンのフィルムで密封し、発酵させます。これによって長期間保存が可能になります。また、米農家から譲り受けた稲わらなども粗飼料として使っています。

牧草ロール

ふん尿処理

牛のふん尿は堆肥(たいひ)舎に運び、発酵させて堆肥にします。堆肥は自給飼料の畑に使用するのはもちろんのこと、地域の稲作農家や野菜農家でも肥料として使われています。

肥育農家の年間収入は?

農林水産省の統計では、2018年の肥育牛農家は月平均で約112頭を飼育し、農業粗収益は7601万円となっています。これを維持するための農業経営費は6703万円で、年間の農業所得は898万円でした。

また、独立行政法人農畜産業振興機構の調査によると、1頭あたりの市場出荷の平均販売額は黒毛和種で約119万円、交雑種で73万円です。

肥育農家のやりがい

肥育農家としてのやりがいはどんな点にあるのかをまとめました。

放牧

自然に囲まれてのびのびと仕事ができる

肉牛を飼育する牧場は、北海道や九州、東北、北関東などの自然の豊かな地域に多くあります。大自然の中でのびのびと仕事ができます。

生き物とふれあいながら仕事ができる

牛の世話をし、日々の変化を観察しながら成長を見守る仕事なので、生き物が好きな人にはもってこいの仕事です。

肥育農家に向いている人

健康で前向きに仕事に取り組める人であることが基本で、ほかにはこんな人が肥育農家に向いています。

生き物が好きな人

何よりもまずは動物が好きなこと。毎日、世話をしながら、牛の健康を注意深く観察し、育てることが仕事です。動物に愛情を持てない人には務まりません。

忍耐力がある人

日々の仕事は同じ作業の繰り返しです。健康な牛を育て、収益をあげるという目標に向かってコツコツと努力し続けることのできる人や、根気のある人が向いています。

肥育農家になるには?

肥育農家になるには、大きく分けて2つの方法があります。1つは農家や農業法人、肉用牛ヘルパー利用組合に雇用されること。まったくの未経験でも就職先で技術を学ぶことができます。もう1つは自営として起農し、肥育牛の牧場を経営することです。経験と綿密な計画、さらに資本も必要です。畜産は設備投資に多額の費用がかかるため、独立のハードルは非常に高いのが現状です。まずは、農家や農業法人で技術や経営のノウハウを身につけることが一般的です。

大学や農業大学校、農業専門学校で学ぶ

一口に畜産学科といってもそれぞれの大学や学部、学科によってカリキュラムは異なります。基本的には健康に育て、増やす方法、病気の予防・治療法、畜産業の経営などを学びます。乳製品や食肉加工の製造方法などが含まれることもあります。

牛舎と牛

農業法人の採用試験は?

農業法人や農家での採用は面接で決まることが多く、人柄ややる気を重視。経験はそれほど問われないことがほとんどです。未経験でも前向きに仕事をする姿勢があれば問題ありません。

肉用牛ヘルパーという選択肢

畜産の仕事に携わるもう1つの方法として、肉用牛ヘルパーという選択肢もあります。肉用牛ヘルパーは、365日仕事が続く繁殖農家や肥育農家が休みを取り、作業負担を軽減するための制度です。各地の「肉用牛ヘルパー利用組合」に加入し、登録するとヘルパーとして派遣されます。作業時間帯は朝~夕方が基本です。仕事は、えさやり、牛舎の清掃、牛の健康チェックなどを担当します。

肥育牛の牧場を経営する

自分で牧場を経営する肥育農家になるためには、飼育管理や経営の技術のほかに、牛、農地、施設、設備のすべてを自身で準備し、飼育した肉用牛を自ら販売し、その利益で生計を立てることを目指さなければなりません。農業を起こすのは起業と同じでしっかりとした準備は必要です。

新規就農には5つの条件が必要といわれます。1つには営農技術。肥育牛経営を目指すのであれば飼育と経営管理の技術と知識が必要です。2つめは農地。3つめは施設、設備、家畜、4つめは自己資金。そして5つめが地域の農業者からの信頼です。肉用牛経営を志すなら、この要件を就農までに揃えておくことを目指しましょう。

肉用牛農家の現状は?

肉用牛農家の数は年々減少しています。全国の肉用牛の飼育戸数は1989年には24万戸以上を数えましたが、2019年は4万6300戸でした。これは前年に比べても約2000戸減少しています。飼育頭数は250万3000頭で、前年に比べ1万1000頭減少しました。このうち肉用種は173万4000頭で、前年に比べ3万3000頭(1.9%)増加しています。また、1戸当たりの飼育頭数は54.1頭と、前年に比べ2.1頭増加しており、肉牛を飼育する畜産農家の1戸当たりの規模が大きくなっていることがわかります。

肉用牛飼養戸数

農林水産省「畜産統計」(2019年)をもとに編集部作成

経営継承による新規就農

肉用牛農家が減少している背景に、産地の高齢化と後継者不足があります。農林水産省の2019年の発表によると、日本の農家の平均年齢は66.8歳と、他の産業に比べ高齢化が進んでいます。

後継者難を解消するために、離農する予定の農家に新規就農者が研修に入り経営を継承する「第三者継承」も見られます。あらかじめ経営を継承する前提で研修に入り、経営資産や営農技術、販売先などを受け継ぐというものです。初期費用のかかる畜産経営に就農しやすくなるメリットがあります。

農家への支援制度

肥育農家として就農を考えている人に次のような支援があります。

資料

青年等就農資金
最大3700万円を無利子で融資される制度です。対象は新たに農業経営を始める認定新規就農者(市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人・法人)。施設の建設や機械の購入のほか、家畜の購入費なども対象となります。

農業近代化資金
農業経営に必要な施設の設置、機械の購入等に必要な費用が個人で最大1800万、法人団体は最大2億円が融資されます。

畜産は私たちの生活に必要不可欠な、やりがいのある仕事!

牛肉の生産を含めた畜産は、動物の貴重な命をいただいて生きている私たちの食料を生産する大切な仕事です。農業生産額でも大きな割合を占め、日本の農業を支える意味でも重要な産業です。また、堆肥を生産し、地域の農業に還元し、飼料の生産などを通した耕作放棄地の利用など、循環型の生産システムでも重要な役割を果たしています。

こうした役割を認識して、その地域や環境に合った畜産経営を行っていくことが、日本の食を守ることにつながります。

牛

資料提供:公益社団法人中央畜産会

参考資料:
公益社団法人中央畜産会「畜産担い手ポータル」
公益社団法人中央畜産会「牛飼いになりませんか?肉用牛経営を目指す方へ」

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