粘り強く耐久性に優れた樹齢50~60年の森林資源が充実する和歌山県
和歌山県の森林率(県土面積に占める森林面積)は約8割で、その面積は実に36万haにもおよびます。そのうち木材生産を目的とした人工林の割合が約7割と、全国的に見ても豊富な森林資源を有する和歌山県。現在、樹齢が50~60年を迎える伐採適齢期の木は1億本以上を数えます。
急傾斜の厳しい環境で育まれた『紀州材』は、粘り強く耐久性に優れ、色合いや木目も美しい良質な木材として知られています。
住宅の柱や梁として活用されることの多い『紀州材』ですが、近年は学校などの公共建築物の建材にも用途が広がっています。建材以外でも、間伐材が家具や子どの玩具などの製品に加工されたり、再生可能エネルギーとして木質バイオマス発電でも活用されています。
林業とは「木を植えて伐採する」という単純なものではなく、「長い年月をかけて計画的に育てた木を、計画的に伐り、採れた木を木材にし、それをあらゆる場面で活用する」という壮大な事業です。
その仕事は「育苗」→「植え付け」→「下刈」→「除伐」→「間伐(3~4回)」を経て、「伐採」→「製材」→「利用」となり、伐採されてできたスペースには再び「植え付け」を行うというサイクルの繰り返し。
和歌山県の人工林では、1ha(100m×100m)に3000~4000本の苗木が植えられます。木の成長に合わせ、間伐を行いながら、最終的におよそ800~900本まで絞り込まれる『紀州材』は、正に厳選された優良木材なのです。
「もったいない」と間伐を減らしたり、逆に伐り過ぎても良質な木材を生産することはできません。また、林業の仕事は自然環境の保全に直結しており、間伐を行うことによってバランスのとれた状態をキープしなければ、二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出してくれる“生きた森”にはなりません。
この最高の環境を次世代につなげるためにも「持続可能な森林の管理」と「担い手の確保・育成」が喫緊の課題です。そんな「木の国・和歌山」では支援制度を整備し、これからの林業を担う『きのくにフォレスター』の育成に力を注いでいます。
和歌山県で「林業」の仕事に就くには
和歌山県で林業に携わるには、どんなルートがあるのでしょうか。
◇和歌山県農林大学校林業研修部(1年制)で学ぶ
◇わかやま林業労働力確保支援センター(林業専門の無料職業紹介所)に就職相談
◇森林組合や民間の林業事業体に直接就職
などのルートが用意されています。一つずつ、見ていきましょう。
◆和歌山県農林大学校林業研修部(1年制)で学ぶ
農林大学校林業研修部の『林業経営コース』は、ゼロから林業の知識や技術を身に着けたい方が対象です。1年制で、月曜~金曜、9時~17時までの全日制の学校です。
《Q》和歌山県農林大学校の特徴は?
《A》全国に20校ある林業大学校では、座学と実習を組み合わせた実践的な授業が行われています。その中でも和歌山県の特徴は、現場経験が豊富な百戦錬磨の先輩にマンツーマンに近い環境で学べること。個性派揃いの講師が密度の濃い授業を行います。
《Q》どんな科目がありますか?
《A》林業に必要な基礎知識から育苗、植栽、育林、伐木、搬出などの技術、林業機械の操作、木材加工や木造建築、森林経営計画まで、9つの科目を体系的に学びます。座学と実技の割合は4:6で、実技を重視。反復練習によって、確実な基礎を身に着けることができます。
《Q》資格や免許も取れますか?
《A》研修中に、チェーンソーの取り扱い、刈払機の安全教育、フォークリフト、小型移動式クレーンなど、林業の現場で必要な15種類の資格や免許を取得できます。また、和歌山県では「森林3次元計測用のレーザースキャナー」や「レーザー測量用ドローン」など、最先端技術によるICT林業の確立に取り組んでおり、それらを使いこなせる人材の育成を目指します。
《Q》安全対策について教えてください。
《A》チェーンソー用の防護衣の必要性から、安全な伐倒技術、危険な風倒木の処理など、安全作業のための知識と技術を身に着ける授業にも力を入れています。一昔前は一般的な作業着とヘルメットで作業をしていましたが、今は林業用の防護衣と専用のヘルメットを着用しています。有名アウトドアメーカーがデザインと機能性にこだわったウェアを開発するなど、ファッション性も進化しています。
《Q》どんな方が学んでいますか?
《A》2020年度の学生は18歳~48歳まで9名、うち3名が女性です。高校や大学を卒業後に入学された方や転職希望の社会人、地域も関西や関東出身など、経歴もバリエーション豊かです。
《Q》就職指導もありますか?
《A》林業事業体とのネットワークを利用して、一人ひとりにきめ細かな就職指導を行っています。卒業生は毎年就職率100%を誇ります。研修中にインターンシップを実施して事業体とのマッチングに努めています。
《Q》費用面での助成はありますか?
《A》同研修部での研修中は、年間約140万円の奨学金を活用し必要経費に充てることができます。チェーンソー用の防護衣やヘルメットの購入補助制度もあります。※一定の要件があります。
◆わかやま林業労働力確保支援センターに就職相談
『わかやま林業労働力確保支援センター(略称:労確センター)』は、林業専門の無料職業紹介所です。和歌山県内にある15の森林組合や13の林業事業体と協力し、就職の斡旋と就業に向けたサポートを行っています。国の『緑の雇用事業』で行う研修以外にも、和歌山県オリジナルの研修メニューを用意しています。
<林業就業サポート講習>
1日・6日間・11日間の3コース。林業の基礎から現場見学、チェーンソー資格講習など。
<林業とびいし研修>
現場でのチェーンソー体験、林業会社への訪問などを通して、「林業はどんな仕事なの?」、「自分に向いているの?」といった疑問や不安を解消します。土日での研修対応も可能です。
◆森林組合や民間の林業事業体に直接就職
森林組合は植林や間伐などを通して、森林を育てる保育業務がメインで、民間の林業事業体は伐採と搬出など、木材の生産を中心に手がけています。これらの組織に就職し、給料を得ながら少しずつ仕事を覚えていくことも選択肢の一つです。
林業の仕事には、ハードかつ危険が伴う作業もありますが、林業用の防護衣や高性能林業機械の導入など、働く環境の整備が進んでいます。
また、木を伐る以外にも国有林の巡視、シカなどの鳥獣害対策用の防護柵やネット張り、測量、林業機械の点検とメンテナンスなど、その仕事は多岐にわたります。
林業の仕事、和歌山県での暮らし、就業・移住支援など、さまざまな疑問や不安にお答えします。
日程:2021年1月16日(土)10:00~15:00 ※9:30受付開始
会場:梅田センタービル(大阪市北区中崎西2-4-12) 16階 H会議室
内容:森林組合、林業事業体との面談(入場無料)
また、和歌山県では「森林や林業の仕事」に関する情報提供の機会として『わかやま林業体感セミナー』を東京や大阪で開催(2020年は10月と11月)しています。
森林や林業の基礎知識と、和歌山県の林業の特徴が分かるレクチャーやチェーンソー体験、更には先輩林業就業者の生の経験談をお届けしています。
このように和歌山県では「林業」を仕事にする道は、ひとつではありません。年間を通じて気候が温暖で、山・川・海と多彩な自然が身近にある和歌山県で、これからの林業を担う『きのくにフォレスター』を目指してみませんか?
お問い合わせ
和歌山県 農林水産部 森林・林業局 林業振興課
〒640-8585 和歌山市小松原通1-1
TEL:073-441-2991
Mail:oosawa_k0002@pref.wakayama.lg.jp
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