まるで異国!? 神奈川県にあるオリーブ畑で栽培・加工について聞いてきた

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まるで異国!? 神奈川県にあるオリーブ畑で栽培・加工について聞いてきた

まるで異国!? 神奈川県にあるオリーブ畑で栽培・加工について聞いてきた
最終更新日:2021年01月06日

オリーブの産地というとスペインやイタリアが思い浮かびますが、神奈川県にもオリーブ畑があると聞きつけ、早速訪れてみることに。
オイルへの加工も行っているということで、機械は何を使っているのか、どのようにしてノウハウを身につけたのかなどを聞いてきました!
「オリーブ農家を目指す人が少しでも増えたらうれしい」と話す「ユニバーサル農場」を営む濵田さん夫婦にせまります。

まるで異国!?なオリーブ畑

オリーブを生産している場所というと、地中海沿岸の国々を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。なんと神奈川県にもオリーブ畑があるという噂を聞き、取材に行ってきました。

やってきたのは神奈川県二宮町にあるユニバーサル農場!
JR二宮駅から車で10分くらいの高台に農園があります。車で向かう途中にも道の両サイドにオリーブの木が並んでいます。エメラルドグリーンの葉っぱがそよそよと揺れ、異国情緒あふれた風景にうっとり。

道の途中の木々

森のようにオリーブの木が並んでいます

2ヘクタールあるユニバーサル農場では、試験的に栽培している品種も含めると18種類のオリーブを栽培しています。 約550本ほどの木が植えられています(2020年11月時点)。これだけの広さとなると、何人かお手伝いに来るのでしょうか。

「基本的には、夫婦2人で栽培管理をしていますが、週末は父も農作業をしています。収穫だけは何人かに手伝いにきてもらいますが、550本分の剪定(せんてい)も2人でしますよ」と園主の濵田治郎(はまだ・じろう)さん。

話す濵田さん

園主の濵田治郎さん

2ヘクタールを2人で!?と驚きを隠せません。2人で栽培をするのだけでも大変そうですが、台風などの自然災害や害虫など、さまざまなことにも注意しなければなりません。
特に厄介なのが、害虫のオリーブアナアキゾウムシ。地面に近い部分に卵をうみ、ふ化した幼虫が木の中に入り、内側から食い荒らしてしまいます。

オリーブ畑を歩いていると、オリーブアナアキゾウムシの被害に遭った木がありました。
「マイナスドライバーで虫を取り出すことで、木を復活させています。少しでもその処置が遅いとまるまる1本の木がダメになってしまいます」と濵田さんは言います。

日々、さまざまなことに気を配りながら5カ所に点在するオリーブ畑をこまめにチェックしています。

荒れ地を買い取り、農地を拡大!?

それにしても、神奈川県でこんなにも広い農場をどのようにして手に入れたのか、また、国内で生産している人が少ないオリーブの栽培方法をどのように学んだのか気になります。

ユニバーサル農場の土地には、当初オリーブを栽培する予定はありませんでした。
今から40年前、特許事務所で開いている濵田さんの父親が新品種を扱う種苗登録の仕事をしていたため、試験栽培用に農地を購入したところから農業が始まりました。
さまざまな作物を栽培し、ときにはバラを育てたことも。

案内してくれる濵田さん夫婦

農場を案内する濵田さん夫婦

購入した土地の周りの人がだんだんと農業をやめていき、畑が荒れているという状況がありました。そこで父親がやめた人たちに「畑を譲ってくれないか」と声をかけ、農地を拡大。そこから二宮で新しい作物をやってみようということになりました。二宮はミカン栽培が盛んですが、「ミカンを栽培するのでは、みんなと同じで新しいこととはいえない!」と思った濵田さんの父。仕事関係でヨーロッパについて行った時に見た光景の影響もあり、2004年からオリーブとブドウを栽培することにしました。

ですが、周りでオリーブは栽培されていなかったので、教えてもらえる人は身近にはいませんでした。そこでオリーブ栽培をすでに行っていた小豆島から資料をもらい、最初はそれに忠実にならい栽培しました。それから研修を受けつつ自分たちで経験を積んでいくうちに、栽培のコツをつかんでいったそうです。

50本まとめ買いする人も!? 人気のオリーブオイルに加工するまで

農場をあとにし、向かったのは加工場。日本家屋のようなたたずまいの建物の奥に、搾油機を発見!

搾油機

ほとんどの小規模な農園では、搾油機はイタリアのメーカーMORI-TEM社のオリオミオ・シリーズを使用しているそうです。小さい規模に対応しているのはこのメーカーだけだといいます。
ユニバーサル農場では同シリーズの、1時間に80㎏の実の処理能力を持つタイプを使っています。秋の収穫時期には1日だいたい150kg~200kgを機械にかけるのですが、1回の搾油ごとに必ず清掃をしなければなりません。清掃だけで2時間かかるので、搾油だけで半日を使います。加工の基礎は、小豆島にあるオリーブ農場の加工場を見学させてもらい、ノウハウを学んだそうです。

オリーブたち

農園によって加工方法に違いはあるのでしょうか。濵田さんによると、破砕した実を長めに練る作り手、酸化を気にして短めに練る作り手などに分かれるそう。
イタリアなど海外では機械で収穫するところがほとんどなので、どうしても傷がついた実も収穫することになります。するとどんどん酸化が進んでしまうため練る時間は短めになるのですが、国内産のオリーブは手摘みなのでその分調整して練ることができます。ただ、質の高いオイルを搾るには状態を確認しながら、なるべく短めにするほうが良いそうです。

国産のオリーブオイルの味の特徴としては、手摘みなので傷んでいる実が少ない点や、造り手によっては実の軸を取り除いているため、雑味が入りにくいという点があります。品種を選べば、辛めのオリーブオイル、若草のような爽やかなオリーブオイル、というように品種ごとの特徴が際立つオリーブオイルを作ることも可能です。また、収穫のタイミングの違いからも味は変わってきます。

ユニバーサル農場では熟し始めた実をブレンドしているのでマイルドな風味が特徴です。2020年のオリーブオイルは、どのような味に仕上がったのでしょうか。
「2020年は4種類のブレンドのオリーブオイルです。すべてマイルドな味の仕上がりですが、4種類あれば4通りの味になります。ひとつは青りんごのような味、ひとつはベリーっぽい味、バナナのような味、ナッツのような味などの風味がするオリーブオイルができました」(濵田さん)

同農場のオリーブオイルの味は、AISO(イタリアオリーブオイルソムリエ協会)認定のオリーブオイルソムリエの資格を持つ妻の友美(ともみ)さんも、フルーティーでまろやかな味だと太鼓判を押します。

オリーブのパッケージ

「オリーブオイルは豆腐やおみそ汁にかけるなど和食にも合い、この季節だと柿にも合う」と友美さんは教えてくれました

商品へのこだわりはパッケージにも。小田原市在住の画家のたなかきょおこさんにデザインされた瓶と箱は、化粧品のようなおしゃれさがあります。

オリーブオイルの瓶を取り扱っているメーカーは少ないのですが、搾油機メーカーに紹介してもらうことでスムーズに見つけられました。

酸化を防ぐために遮光する素材を使うため、一般的には黒っぽい瓶が使われます。
同農場でも以前は黒っぽい瓶を使っていましたが、それだとおもしろくないなあと思い、いろいろと話し合って白にしたそうです。なかには遮光性は白い瓶のほうが優れているというメーカーもいたそうです。中身はもちろん、パッケージにもこだわったオリーブオイルは現在年間約500本生産され、地元の観光協会内にあるショップや都内の百貨店や小田原市にあるパン屋(麦踏)などで販売しています。なかには、まとめ買いしていくリピーターもいるのだそうです。

最後に今後の展望を聞いてみたところ、
「オリーブの栽培を始めてから16年目にしてやっと形ができてきたので、これを安定化させて、待ってくれている方たちの期待に応えられるように成長したいですね。実はオリーブオイルはすごく日本人にあった食材。もっと魅力を伝えられるように頑張ります」と話してくれました。

濵田さん夫婦

濵田さん夫婦

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