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日本の畜産・酪農を明るくする20代女子たちの取り組みに迫る

日本の畜産・酪農を明るくする20代女子たちの取り組みに迫る

海外の畜産業を学んでこれからの日本の農業を考える「未来の畜産女子育成プロジェクト」。将来、畜産業を担う女子高校生が海外研修を通して広い視野と新しい視点を持ち、その魅力を日本全国に広めてもらうことを目的に事業が立ち上がりました。2018年、第一回の海外研修の舞台は酪農が盛んなニュージーランド(NZ)。全国から20人の畜産女子が参加しました。プロジェクト参加から2年が経過した今、NZでの学びを胸に、それぞれに酪農の道を突き進む二人にオンラインミーティングで今の思いを聞きました。

「未来の畜産女子育成プロジェクト」とは?

「未来の畜産女子育成プロジェクト」は、公益社団法人国際農業者交流協会(JAEC)が主催する海外研修事業です。青年の海外農業研修「アグトレ」を通して多くの農業者を輩出してきたJAEC。更に若い人たちに将来の職業として畜産に興味を持ってもらうことを目的に、新たなプロジェクトを立ち上げました。

初回の2018年は、酪農が盛んなニュージーランドで10日間の研修を実施。日本全国の農業高校から畜産を学ぶ女子生徒を募り、選考を経て20名がプロジェクトに参加しました。畜産関連業の視察、女性畜産農家へのインタビュー、ファームステイなどを通して現地の畜産業を学び、帰国後は「畜産アンバサダー」としてその魅力を伝える役割を担い、それぞれが目指す酪農の道へ進んでいます。
今回は参加者である「畜産アンバサダー」の二人にお話を聞くことができました。畜産の魅力、楽しさ、思いとは?

畜産女子

「未来の畜産女子育成プロジェクト」詳細はこちらから

畜産の道を進むことに決めた二人の思い【畜産アンバサダー インタビュー】

◇プロフィール紹介(2020年12月取材時)

加藤綾 ◆加藤綾さん(19歳)
愛知県出身。愛知県立安生農業高等学校在学中に同プロジェクトに参加。現在は県内の都築牧場に勤務しています。

森田七海さん ◆森田七海さん(20歳)
岩手県出身。とわの森三愛高等学校(北海道江別市)在学中にプロジェクトに参加。現在は帯広畜産大学に通っています。

Q:まず、畜産に興味を持ったきっかけはなんですか?

加藤さん:高校に入るまで牛を近くで見たことがありませんでした。学校でお世話をして牛の可愛さに魅かれてしまいました。将来、牛と関われる人になりたくて、学べるところを探していたところに「未来の畜産女子育成プロジェクト」の募集を見つけて、「これだ!」と思い応募しました。

畜産女子

森田さん:私は祖父母が岩手県で酪農業を営んでいて、小さい頃からよく母に連れられて手伝いをしていました。牛は身近な存在で、祖父母が働いている姿を見ていて素敵だなと思い、将来牛飼いになりたいと思うようになりました。

Q:「未来の畜産女子育成プロジェクト」に参加してどうでしたか?

加藤さん:ニュージーランドの酪農は、私が知っている酪農と大きく違いました。まず放牧の規模が桁違い!作業方法や根本的な考え方も違う!衝撃でした!また、日本では”農業(畜産)は特殊な仕事”というイメージですが、現地では普通に受け入れられている職業だと思い、より魅力的に感じました。

森田さん:スケールの違いにも驚きましたが、女性が多く活躍していることに刺激を受けましたね。女性の意見も多く取り入れていて、牧場内で重要な役割を担っていることが学びになりました。

畜産女子

Q:NZの経験を経て、今はどんなことをされているのですか?

加藤さん:高校卒業後、愛知県の都築牧場で働いています。女性スタッフが多く、いろいろな仕事をさせてもらえる環境だと思い、この牧場に就職を決めました。今は主に搾乳を担当していて、分娩した牛の補液(体調が整うように色々な栄養の入った水分を与えること)、肉牛の哺乳や肥育も少しやらせてもらっています。まだまだ経験や勉強が必要です。

森田さん:現在、帯広畜産大学の2年生です。私が住む十勝にはさまざまな形態の牧場があるので在学中に幅広い学びができると思い、畜産大学への進学を決めました。現在、学校に通いながら、2軒の牧場でアルバイトをしています。牛が生活の中心!常に牛がいるので、学べることがたくさんあります!アルバイトではなく実習という気持ちで取り組んでいます。
畜産女子

Q:NZの経験から、今意識していることはありますか?

加藤さんアニマルウェルフェア(動物福祉)の取り組みに共感しました。仕事でも牛を搾乳パーラーに追い込む際に叩かない、静脈注射をするときに痛い思いをさせないことなどを心がけています。

森田さん:ニュージーランドは誰もが酪農業に参入しやすい環境が整っています。日本ではまったく牛に触れてこなかった人が新規就農するのは難しい印象なので、大学を卒業して自分が何かできるようになったときは、酪農や牛の情報を発信して、職業として興味を持ってもらえる活動をしたいと思っています。

畜産女子

Q:畜産のやりがい、魅力はなんでしょうか?

加藤さん手をかけたぶん牛の状態がよくなることです。私が勤めている牧場では、乳量が上がらずに大変だったことがあり、試行錯誤していました。前搾りから搾るまでの時間を揃えたり、乾乳牛の餌を変えるなど、みんなで考えて取り組んだ作戦が上手くいったときは、とてもやりがいを感じました。

森田さん:(まだ学生なので)牛を飼うやりがいは、まだ実感できていないかもしれません。ただ、多くの農家さんが健康な牛を飼うことを前提にいろいろな道を通っていることを知り、酪農は正解がないところが魅力ではないかと思っています。

Q:将来の目標を教えてください

加藤さん:牛の顔を見ただけで何でも判断できる人になりたいです。そして経営者を目指したいです! NZとまったく同じことを実現するのは難しいと思いますが、牛と人が共に幸せになれる環境づくりに取り組みたいです。

森田さん牛が牛らしく生きていける牧場を作りたいです。技術が進めば新しい方法も生まれます。海外では既成概念にとらわれず新しいことに挑戦しているイメージがあるので、NZでの経験を生かして日本で新しい方法をどんどん取り入れたいです。

Q:畜産を考えている人にメッセージをお願いします!

加藤さん:もし牛が好きならその気持ちを信じて進もう。嫌なことがあっても牛が癒してくれます

森田さん:酪農・畜産はバリバリ働きたい人にも、のんびり働きたい人にも、いろいろな人に合う職業です。私は元々人見知りだったのですが、酪農高校で仲間と寮生活をして、実習でいろいろな酪農家に泊まり込んだ経験で変わることができました。私の成長する姿を見て、酪農の仕事に反対していた両親も今は認めてくれています。まずは一歩、踏み出すことで何か変わると思います

畜産女子

研修卒業前に描いたそれぞれの思い。NZで学んだことや感じたことが原動力となり、これからの畜産の未来を明るくすることでしょう

―皆さんお忙しいところありがとうございました。

畜産アンバサダーたちが、畜産・酪農業を素敵な仕事にしていく

高校で牛を好きになったのも、プロジェクトのメンバーに選ばれてニュージーランドへ行ったのも、偶然のようで運命だったのかもしれません。
「未来の畜産女子育成プロジェクト」を経て、これからの日本の畜産・酪農を一緒に盛り上げていく大切な仲間ができ、グローバルな視点を持つことができたといいます。ニュージーランドの牧場でノビノビとした牛や女性が活躍する姿をそばで見て、将来、自分がこの世界で生きていく自信がついたのではないでしょうか。10代の学びは一生ものの財産です。

畜産女子

生きものや自然と向き合う酪農・畜産の仕事は大変なこともありますが、それだけに大きなやりがいと無限の可能性に満ちています。畜産アンバサダーの二人の話を聞いて少しでも興味を抱いたら、そこが未来の畜産女子への入口かもしれません。

【お問い合わせ】
公益社団法人国際農業者交流協会
東京都大田区西蒲田5-27-14 日研アラインビル8階
TEL:03-5703-0251
「未来の畜産女子育成プロジェクト」詳細はこちらから

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