ダイコンの栽培暦はこのようになります。春まきは少し難しいので秋まきから始めましょう。
ダイコンの土づくり
ダイコンが奇麗にできるかどうかは土づくりにかかっています。収穫物の大部分が地面の中で大きくなるので当然ですね。
とにかくよく耕しておくことが重要です。土塊があったり石があったりすると、変形したダイコンになってしまいます。とはいえ、家庭菜園ではそこまで気にすることはありません。意外とダイコンの根は強くて、ガタガタの土でもそれなりに真っすぐになりますし、変形したダイコンもご愛嬌(あいきょう)でしょう。
1平方メートルあたり完熟堆肥(たいひ)2キロと苦土石灰100グラムを種まき2週間前に散布してよく耕しておき、1週間経過したら化成肥料を100グラム投入してよく混ぜ、畝を形成します。
ダイコンの肥料
ホームセンターなどで販売している肥料のうち、「冬野菜用」とされている肥料には、主要な肥料成分である窒素・リン酸・カリウムに加えて、ホウ素という成分が含まれています。
このホウ素は、冬野菜に多いアブラナ科(ダイコン、ハクサイ、キャベツなど)にとっては欠かせない成分で、ほんのちょっとでも土壌中にあれば問題ないのですが、全くないと育ちが悪かったり障害がでたりします。
できれば冬野菜を育てる時は、この「ホウ素」が入っているかどうかチェックしておきましょう。
ダイコンの種まき
ダイコンの種は比較的まきやすい大きさです。
いろいろなまき方がありますが、筆者はスジまきという、畝に2列の線をひいて10センチ間隔でズラッとまく方法が好みです。この利点は間引きの項にて後述します。
雨の直前にまくのが理想ですが、しばらく晴れが続くようであればたっぷり水やりをしておきましょう。露地であれば、種まき後たっぷり水を与えれば、よほど高温乾燥が続かない限りは大丈夫です。
ダイコンの間引きと収穫
ダイコンの間引きは、本葉が2〜3枚になったころにおこないます。
主要な時期である秋まきだと、そのタイミングまでは非常に害虫も多いため、害虫被害を受けた被害株や成長の遅いものを優先して撤去し、20〜30センチ間隔になるように間引きます。
この間隔が広ければ広いほどダイコンは大きくなりますし、狭ければ小さいダイコンがたくさん収穫できます。
スジまきしていると、少しずつ間引きをしながら、ダイコン葉→小さいダイコン→大きいダイコンと収穫し続けられますので、長く楽しむことができます。
ダイコンの追肥
ダイコンの追肥は、本葉3枚頃の間引きと同時に1回、本葉6枚頃に2回目をおこないます。スジとスジの間にパラパラとまきましょう。
その頃には雑草も生えていると思いますので、雑草が茂ってしまう前に早めに草取りをして、奇麗な状態にして追肥しましょう。
ダイコンの病害虫
ダイコンはアブラナ科の野菜なので、当然のように害虫の標的になります。無農薬だ!と意気込む人の出鼻をくじくのがダイコンやハクサイなどのアブラナ科をこれでもかと食らい尽くすアオムシ、ヨトウムシ、ダイコンサルハムシなどの害虫です。
ハクサイ、キャベツなどは育苗しておいて、寒くなって害虫がいなくなるまで待ってから畑に植え付けることもできますが、根もの野菜のダイコンには難しい話です。
それでも、9月上旬に種まきするよりは、中下旬にまいた方が害虫被害は少なくなります(寒冷地域では遅すぎると収穫に至らないこともあるので注意)。また、防虫ネットの隙間(すきま)から侵入したアブラムシや、日中土の中に隠れているヨトウムシがネットの中で大量増殖していることもあり困らされます。
発生初期であれば、市販されている天然由来の防除資材で対応できますが、常にチェックして見つけるたびに散布しておかないと、大量発生してからではもうどうにもなりません。
最低限の農薬利用としては、種まきと同時に粒剤の殺虫剤をまいておくことで、最も被害の多い種まき後の1カ月間は害虫被害を免れることができる上、ダイコンの肌をガサガサに茶色くかじるキスジノミハムシやセンチュウ類もある程度防ぐことができます。
さらに間引き、追肥と同時にもう1回、市販の殺虫剤(ダイコンに登録があるもの)を散布すれば、この2回だけで家庭菜園では十分立派なダイコンが手間ひまかけずに収穫できるでしょう。
手間をかけるか、薬を利用するかは、みなさんの判断にお任せします。