畑の害虫図鑑〜センチュウ編〜【畑は小さな大自然vol.56】

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畑の害虫図鑑〜センチュウ編〜【畑は小さな大自然vol.56】

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畑の害虫図鑑〜センチュウ編〜【畑は小さな大自然vol.56】
最終更新日:2019年10月23日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。野菜がうまく育たないときに、なかなかその原因が分からないときがあります。周りに虫も見当たらないし、病気でもなさそう。そんな時は土の中にいるセンチュウが原因かもしれません。センチュウはとても小さくて無色なので目に見えず、どこの土にも無数にいる虫なので、根絶するのはほぼ不可能です。今回は一体どうやってセンチュウの被害を防いだらよいのか、その生態や対策についてご紹介していきます。

センチュウの被害とは?

ネコブセンチュウによってコブができた根

野菜に被害をもたらすセンチュウは、主に野菜の根に寄生して養分を吸うことで、野菜の生育を阻害します。そのため地上部は葉の一部が枯れたり、元気が無くなってしおれたり、成長が遅くなったりします。一度こういった被害が発生すると、翌年以降も発生しやすくなるため注意が必要です。センチュウによる被害の場合、野菜を根ごと抜いて見ると根に無数のコブができていたり、腐っていたりなどの異常が見られるため、これによって判断を行います。

センチュウってどんな虫?

センチュウとは線形動物門の総称で、地球上の多細胞生物の中で最も種類が多いと言われ、地中だけではなく、海中や生物体内に住んでいるものもいます。土の中には無数のセンチュウがいて、植物に寄生するもの以外にも、細菌や糸状菌を食べたり、他の種のセンチュウを食べるものもいるなど、農作物に被害をもたらすセンチュウは数多くあるセンチュウの種類のごく一部でしかありません。悪さをするイメージの強いセンチュウですが、実際には地球の生態系を支える重要な生物と言えます。

農作物に被害をもたらす有害センチュウとしては、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウの3種がその大半を占めています。その名の通り、ネコブセンチュウは寄生した植物の根に無数のコブができ、ネグサレセンチュウは寄生した根を腐敗させたりします。シストセンチュウはメスの体が変形してシストという小さな粒状の体に変化して、卵を乾燥などの不適な環境から守ります。シストセンチュウはマメ科、ナス科などに被害が限定されますが、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウはあらゆる種の作物に被害をもたらします。

センチュウの天敵とは?

センチュウはどこの土の中にも数多くいるため、トビムシ類やダニ類、クマムシ類、アメーバー類など、センチュウを餌とする生物も土の中にたくさんいます。こうしたもともと土の中にいる天敵が増えるとセンチュウの被害は出にくくなると言われています。

センチュウの予防と対策

センチュウは土の中にいて、目に見えず手で捕まえることもできないため、他の害虫と予防・対策法が大きく異なってきます。代表的なセンチュウ対策の方法をいくつかご紹介します。

輪作・混作をする

センチュウの被害は代表的な連作障害の一つで、同じ科の野菜を同じ場所で続けて植えると発生しやすくなると言われています。これは同じような種類の植物ばかり植えることで、その種の植物を宿主とするセンチュウばかりが増えやすくなるからだと思われます。センチュウの天敵となる生物はもともと土の中にいるため、その土壌生態系のバランスを崩さないためにも、地上に植える植物はできるだけ多様な種類を植え、その前後も連作とならないように作付けを計画していきましょう。

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センチュウ対抗植物を植える

植物の中には有害センチュウを殺したり、数を抑制するような化学物質を発するものがあります。これらのセンチュウ対抗植物を畑に植えることで、その数を減らすことが期待できます。センチュウ対抗植物はイネ科、マメ科、キク科のものが多く、代表的なものとしてイネ科のギニアグラス、エンバク、ソルゴー、マメ科のクロタラリア、クリムソンクローバー、キク科のマリーゴールドなどがあります。これらの植物を植えたり、さらに土の中にすき込んだりすることで、センチュウの数を抑制することができます。これらはセンチュウ対策用の品種として、タネが園芸店などに置いてあるところもあります。品種によって効果のあるセンチュウの種類が異なりますので、確認してから購入しましょう。基本的にはマリーゴールドは苗やタネが手に入りやすく、効果のあるセンチュウの種類も多いうえ、地中40センチほどの深層まで効果があるとされているのでオススメです。

土中の有機物を増やす

土の中の有機物を増やすことで、それらを餌とする土壌生物層が豊かになり、そうすると野菜に有害なセンチュウの天敵が増えやすい環境を整えられます。土づくりの基本と言われているような、完熟堆肥(たいひ)を使って有機物の多い土づくりをしていくことは、センチュウ対策以外に健康的な野菜を育てることにもつながりますので、ぜひ押さえておきたいポイントです。

太陽熱消毒

太陽熱を利用して、地温を一時的に高温にすることで土中のセンチュウを減らす方法です。基本的には夏の気温が高く、晴天が続きそうな時期に行います。太陽熱消毒を行いたい場所であらかじめ土作りと畝立てを行ったあと、たっぷりと土全体に水をかけます。そのあと透明なビニールをその上にかけて、風などで飛ばないように端に土をかけて固定し、2〜3週間待ちます。そのあとは耕したりせず、その上に種まきや苗の植え付けを行います。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

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基本の土作りと輪作を徹底しよう

センチュウはとても小さくて目にも見えないため、他の虫と違って、物理的な防除が難しいという特徴があります。またセンチュウ自体はもともと土の中にたくさんいるため、根絶するのはほぼ不可能です。逆にその天敵となる生物も土の中にたくさんいて、そのバランスが崩れなければセンチュウの被害は発生しにくくなります。そのためには有機物の多い土作りを行う、輪作をするなどの畑作りの基本となるところをしっかりと押さえているかどうかが一番の重要なポイントとなります。まだセンチュウの被害が出ていないところも、これを意識して日頃の畑の管理を行っていきましょう。

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